紡ぐ日記「茶色のフリース」
茶色のフリースロールを紡いで、カーディガンを編もうとしている。
ここで言うフリースとは、ユニクロに売っている商品名のフリースではなくて、ひとつなぎの毛のこと。一頭の羊からとれた毛皮状の毛。
なんて贅沢なカーディガン。
紡ぎだしたはいいものの、なかなかコツがつかめなくて苦戦した。
毛によって紡ぐ感覚が全く違う。
羊(ポルワス、ロムニー)、アルパカといままでいくつかの毛を紡いできたけれど一つ一つ異なる紡ぎ心地。
やっとこさ、このフリースの紡ぎに慣れてきた。コツをつかむ前と後で、見える世界が変わる。
毛の種類がなんなのかわからないけれど、毛が絡まりやすくて、太くなってしまったり、引っ張ると抜けてしまったり。
毛によって紡ぐ感覚は違うんだけれど、不思議なことに、どの毛も力が上手に抜けると一気に紡ぎやすくなる。毛の伸びがよくなる。
無駄な力をかけない。毛は優しく伸ばしていく。そうすることで、あたたかい紡毛糸ができる。
一般的な毛糸はほとんど紡毛糸と呼ばれるものだ。
フリースと仲良くなってくると、ちょっとした毛の質感の違いに気づく。
一頭の羊からとった毛といえど、部位によって柔らかさや弾力が少し変わってくる。お腹の毛は柔らかで背中は太陽に当たったり、地面にこすりつけられたりして硬くてしっかり。
触れるとわかる。触れ続けると見えてくる。
いつもは、音楽を聴いたり、映画やドラマを見たりしながら紡いでいるが
今日はすべてやめた。
紡ぎ車と羊毛とわたしだけ。窓の外から聞こえる鳥の声や風でこすれる木々の葉の音。
200gほど紡いだあたりで、左手、左手首に力が入らなくなった。
できるだけ無理な力を入れないようにと紡いでいたが、負荷がかかっていた様子。左手の力を入れる部分変えたりして調整していたが、一度休もうとnoteを書いている。
あと300g紡ぐことができたら、編む工程に移れるかな。
糸が足りなかったらどうしよう。市販の糸と違って、同じものはもう手に入らない。今度から一度に買う量を1㎏にすると決めている。1㎏あれば大抵のものが作れるはず。
今回のカーディガンは、お尻が隠れるか隠れないかくらいの長さで、まっすぐストンと肩から落ちる形。全体的にスマートな雰囲気だけどきつ過ぎず、袖丈は長め、手首のところはゴム編みにして袖が少したまるように。アラン模様で編んで、できればポップルのようなぽこぽこした模様を入れたい。
襟は首にそって丸く、ボタンは茶色に合う上品だけと全体を邪魔しない一癖あるようのもの。
茶色といっても、濃いところもあれば薄いところもあってところどころしろっぽさもある、揺らぎのある色。立体感、奥行きのある色。くぅ~。
さてさて。そろそろ。
左手が復活してきたので作業に戻ります。