夏の動物園(15首)
粉ポカリが水のポカリになるまでを見ていたかげのない台所
好きなところを口に出し(蝉時雨)ただそれだけがまるでおかしい
どうあがいたってサブカルクソメガネスタバを過ぎて改札口へ
檻全部熱すぎてさわれなかった夏の動物園ぽい気持ち
いもうとが帰宅してきて泣いているその原因も男であること
いやな比喩めいてピアスとピアス穴だらだら飼い犬を抱きしめる
息に耳吸いよせられる インナーコンク開けてないのはいたいからだよ
例えればさかさに立てたケチャップのチューブに近い胴体があり
性欲の呪いを一心に殺すここでやるっていいながらやる
持ち帰りにすればきちんと冷めるからハンバーガーに埋め込むひかり
青りんごサワーはりんごに程遠く新宿駅で互いに迷子
絶滅危惧何類のかがやきだろうキスするために顎を掴めば
かわいいって言っていいから動物に例えまくるのをすぐやめろ
寝起きにはすこしの煙草 死ぬために生きてるわけじゃないという顔
死ぬとかじゃなくてときどき人生が邪魔になるだけ ねっちゅうしょうだ
(初出:2018.8/ネットプリント『ビオトープ』vol.1)