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すれ違う人々とつながる透明な網
街を歩けば何人もの見知らぬ人とすれ違う。
でも彼らは見知らぬ人であり自分にゆかりのある人でもある。
チョンセラン著の『フィフティ・ピープル』を読み終えた。
本作品は韓国の文学作品。
(約)50人の人々を描く連作短編小説だ。
一人一人の物語が心の機微と共に描かれており、それぞれがほんの僅かずつ絡み合う。
救急医師の物語あり、そこに出てくる患者の男性の物語があり、その男性のキャディーをした女性の物語があり、その姉の物語があり‥。
視点が変わると人物像も変わり、バックグラウンドを知った上で読む物語はまた違う面が見えてくる。
佐久間プロデューサーのツイートを見て知った本作。
ツイートに書いてあったことを真似て人物相関図を書きながら読み進めた。
50人以上の登場人物がおり、関係を示す線が飛び交う。
親子関係、思いを寄せる人、病院からたまたま視線があって手を振り合う人。
6次の隔たりというのがあるそうだ。
友達の友達‥と辿っていくと世界中のどの人とも6ステップ以内につながるらしい。
国内に限れば3ステップでつながるとも聞いたことがある。
母親の同僚の子どもの友達が乃木坂46だと言っていた。
無職の自分とトップアイドルも繋がってる。(3ステップ超えたが)
物語を、読み進めていくほど絡み合う繋がりが見えてくる。
たまたま出会った人同士が本当は自分とつながりのある人々。
一人一人は途轍もない個性をもった人たちではない。
でも、それぞれの人生を生きている。
脇役の人生を知ることができる。
ヒーローのいないマーベルシネマティックユニバースのようでもあった。
現実世界もそうなんだな。
道で会う人それぞれに人生のドラマがあり、その設定を辿っていくとどこかに自分が現れる。
著者があとがきでも書いていたが
この世を包んでいるのは「何気なくすれ違う人々をつなぐ、ゆるやかで透明な網」だ。
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