新入社員が職場に配属されてまず大切にする9つのこと
今は人事制度のコンサルタントとして、4月は新しい評価制度を導入する企業の支援に忙しい時期ですが、数年前までは企業の人事として新入社員を迎えて入社式やら研修やらで忙しくしていました。
そんな際に新入社員によく伝えていたことを久しぶりに思い出して書いてみたいと思いますが・・・
実はこのnoteを書こうと思ったきっかけは、知人で今はバンコク(どころかアジア全体)で人事コンサルタントとして活躍されている中村勝裕(Jack)さんが書いたnoteに影響を受けてちょっと書いてみようと思った次第です。
中村さんのnoteは視座の高い内容ですが、野嵜の視点は、
研修が終わって、配属先が決まって、新しい職場に出勤して1カ月ぐらいの期間で、基本的だけど大切な内容。という前提で書いていきます。非常に近視眼な内容ですが、それはそれでご覧いただければ幸いです。
1.初出勤日の前には必ず配属先に連絡をする
初出勤日は非常に不安を感じますが、その不安を少しでも解消するのが、前日までに配属先に連絡することです。
「出勤時間」「出勤する入口」「必要な持ち物」「服装」「お昼の用意」など自分では当たり前と思っていることや研修で聞いていたことが意外に配属先によっては異なる場合があります。私も新入社員の時に、事前に連絡をしたところ配属先に見合う服を持っておらず、前日にユニクロで調達するという苦い思い出があります。
配属先へ直接行って挨拶も兼ねて確認することができれば一番ですが、電話でも問題ありませんので、不安の解消のためにも事前に一度連絡を入れていただくと良いかと思います。
≪補足≫ 事前の挨拶だろうが、初出勤日だろうが「これからよろしくお願いします的」なお菓子とかは必要ありません。以前、奈良県吉野町出身の中途社員さんが地元の名産の柿の葉寿司を初出勤日に持ってきたことがあり、「生ものかよ!」ってツッコんだことがありますが、断固必要ありません!
2.初日のために笑顔と挨拶の練習はした方が良い
初出勤日は新入社員も不安ですが、受け入れる配属先の職場も「どんな新入社員かな」「すぐハラスメント!とか言うタイプだったら嫌だな」とか様々な不安を持っています。
まずそんな相手の不安を解消できるのが、新入社員の笑顔と挨拶です。ただ慣れていない人にとっては、笑顔も挨拶も意外に難しいものです。特に挨拶は100%自己紹介を求められると思って何を話すかを練習しておいた方が良いです。
「の、野嵜晃弘です。よろしくお願いします。。。」(頭ペコッ)
ぐらいの挨拶であれば、
「なんか元気ないね」「今の若いヤツってあんな感じなんだね」
という芳しくない評価があっと言う間に職場内を駆け巡ります。
「名前」「出身」「趣味」「意気込み」ぐらいを笑顔で元気よく挨拶できれば新入社員にとって心地よい評価が職場に流れ、スムーズな人間関係の一歩を踏み出せます。
そういえば、私が社会人4年目の時に来た新入社員の挨拶が忘れられません。彼は職場について一歩足を踏み出した瞬間に
「〇〇〇大学(京都のクイズが強いところ)から来ましたH.Tです!!本日よりどうぞよろしくお願いいたします!!」
と非常に大きな声で挨拶をして、私はもちろん周囲の反応は非常に良かった思い出があります。ちなみにその彼は前職で私よりも早く部長になりましたから、挨拶は彼の武器になったのでしょうね。
3.先輩の話を素直に「聴くこと」と「訊くこと」
自分と相手の不安を解消するのに挨拶と同様に大切なのは、相手の話を素直に聴くこということです。新入社員のあなたがどれだけ大学時代に実績があって、先輩の話がおかしいな。と思ってもまずは話を「素直に聴く」ことが職場に馴染む第一歩です。
愛嬌でも愛想でもどちらでも良いので、周囲に表現してまずは気に入られましょう。それが組織において自分がやりたいことにつながる第一歩です。
どうしても先輩の話や会社のやり方に意見をしたくなったら、いきなり反対意見や主張を述べるのではなく、まずは「訊くこと」をしてください。
「このようなやり方になった背景を教えていただけますか」
「そんな時に先輩はどのようにして取り組んだのですか」
などで質問(訊く)により相手を理解することが大切で自分では気づけない視点がある可能性もありますし、相手や仕事に対して興味関心を占めることもできますので、まずは【言う】ではなく【聴く】と【訊く】を大切にしてください。
4.メモはなんのためにするかと言うと・・・
研修や職場において「新入社員はメモをとりましょう」とは太古から言われている話です。では、なぜメモを取るのでしょうか。
実務的には「聞いたことを見返すため」だったり「同じことを2回聞かないため」だったりが目的とされています、もう少し意識が高くなると「成長の確認のため」あたりが目的になります。
ただ、もうひとつ大切な目的があります。それは
相手に安心感を伝えるためです。
メモを取る際には、伝えてくれる上司や先輩がいるかと思いますが、いくら自分が「すべて理解できている」「絶対に忘れない自信」があったとしても相手はそんなことは知りませんので、
(この新人、わかってるのかなぁ。メモも取らずに大丈夫かなぁ)
と不安を持って指示などを伝えることになります。不安を持ちながらの伝達事項は間違いなく品質は落ちます。それは伝える側の問題ではなく、受け取る側の問題になります。
100%の伝達事項を受け取るためにもしっかりとメモを取りましょう。
5.上司や先輩に声を掛けるときのお作法
4月や5月の新入社員に比べると上司や先輩は10倍ぐらい忙しいです。そんな中で新入社員から「すいません。今いいですか」と取り留めなくフンワリと声を掛けられた場合は、余程こころにゆとりのある先輩か、暇な先輩以外は「ごめん。。。ちょっと忙しい。またあとで」と断られてしまうことはよくあります。
ただ、そこでムカついてはいけません。それは声の掛け方が良くないのです。ではどうすれば良いのか
「〇〇について、3分程度お話を聞かせていただけないでしょうか」
「お客様がお待ちですので、▲▲の判断だけお願いできますか」
などのように「何の話か」と「どれぐらい時間がかかりそうか」を伝えると先輩としては、今、話をするべき内容なのか、後でも良い話なのかを判断してくれます。
上司、先輩に対しては、具体的な内容を添えて声を掛けましょう。
6‐①何があっても遅刻はするな
この項目は新入社員の教科書として名高い岩瀬大輔さんの「入社1年目の教科書」の50項目のうち、一番最初に掲げられている項目になります。
もちろん遅刻はいけませんが、人間ですからウッカリはあります。かくいう私も新入社員の歓迎会でしこたま飲まされ、翌日は当然?のように遅刻してしまった苦い経験があります。
6‐②遅刻した際のリカバリーが大切
では、どうするか。遅刻した際のリカバリーが大切です。どう考えても遅刻になる時はもちろん、ギリギリで間に合うか間に合わないかも合わせて、必ず連絡はしましょう。
そして連絡手段はメールでもLINEではなく、電話です。
理由はお分かりかと思いますが、メールやLINEは「今」見ているとは限りませんので、伝わらない可能性があります。また「自分のミスを言いづらいから逃げた」と思われる可能性もメールやLINEではあります。
例えば、電車が遅延した場合で、電車の中からであればメール等でも仕方ありませんが、基本的には電話です。(遅延した電車の中ではコソコソと「スミマセン・・・電車が遅れまして・・・」と連絡しているサラリーマンをよくみかけますね)
そして理由はどうあれ遅刻して出勤した際には、上司⇒先輩⇒関係各社員⇒同僚とお詫びをしてリカバリーは終了です。
それにしても遅刻した日ってなぜか人に優しくなっている気がするのは私だけでしょうか。
7.自分の仕事の顧客を理解する
「みなさんの顧客は誰になりますか?」
何年か前にあるバイク部品メーカーで新入社員研修(ロジカルシンキング)をした際に、何気なく私が新入社員に問いかけたセリフですが、12名の新入社員は誰一人として正しい答えを出すことができませんでした。
その企業の顧客は、部品を扱う小売店でしたが、それを新入社員は理解していませんでした。つまり「バイクが好き」という理由で仕事を選んだ訳ですが、顧客は理解していなかったということです。
業種によっては顧客はすぐに理解できることもありますが、意外に「誰のための仕事」なのかを理解せずに目の前の仕事をしてしまうことはあります。顧客をイメージしなから仕事をすると意欲や仕事の取り組み方も変わります。まずは「顧客は誰か」を理解しましょう。
また、日本の企業には『次工程はお客様』という言葉もあります。自部署が携わった業務を次の部署に引き継ぐ際には、お客様と思ってお渡しする。という意味です。自部署の次の部署を理解することも、「顧客の理解」になりますので、是非確認してみてください。
8.Bad News is Fast!
この言葉は、私が新入社員だった時に3年目の先輩のSさんから聞いたフレーズです。
「いいか、野嵜、悪い報告は早めに伝えないと自分の周りも大変になるからな。Bad News is Fastだぞ」
と教えてくれました。わざわざ英語で言うのは少しカッコつけのSさんらしくはありましたが、おかげさまで非常に印象的な言葉として今も野嵜の中に残っています。
新入社員のみなさんも、自分の悪い事だろうが、周囲の悪い事だろうが、配属早々に対応できる内容は少ないと思いますので、まずは「すぐに」上司や先輩を頼って報告しちゃいましょう。
バラエティー番組の風船ゲームと同じで自分が持っているとドンドンと風船(問題)は膨らんでしまいます。早めに上司や先輩に渡すことができる。これが組織の良いところです。上手く使いましょう。
9.謝るときは全力で
新入社員にミスはつきものです。もちろんそれを許容してくれるのが組織です。(一般的には)
ただ、許容してくれない場合もあります。それは「聞いていません」「あの人の方がもっと悪い」などと言い訳をする場合です。そんなところで些細なプライドを持ちだすと許容どころか、「あついは言い訳ばかり」とよろしくない評判が流れてしまいます。
まずは
「申し訳ありません。ご迷惑をお掛けしました!」
としっかりと謝れば相手も前向きに今後の指導などをしてくれます。
私は、サラリーマンの最後のキャリアはクレームの責任者をしていましたが、お客様に対してはまずは「ご迷惑をおかけしました」と謝罪が鉄則で、そこからお話を聴いていく。という流れで大きな問題にすることなく顧客対応をしていました。
是非、顧客でも上司でも迅速で全力の謝罪。これができればスムーズに仕事は進みます。
以上、ささやかな内容ですが、社会人の先輩として組織に入るみなさまが少しでもスムーズにスタートできるように書いてみました。
困ったときは周りに助けてもらいましょう。それができるのが組織の良いところです。
ようこそ、社会人生活へ。