ロックダウンのニュージーランド・じわじわ世界は変わるのか
ニュージーランドは、この2週間、全国ロックダウンがつづいている。
まさかのコロナ発生だった。オークランドで最初の市内感染者が発見されてから感染者数はぐんぐん増えて、現在は500人を超えた。
日本から見たらなんてことない数字かもしれないが、この国はずっと押さえ込みに成功していたから、インパクトが大きかった。
僕は学校が止まって困っている。
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「ロックダウン」という言葉には怖い響きがあるけど、ニュージーランドの場合はそれほどガチガチでもない。
もちろん商業エリアは止まっている。
でもスーパーは開いていて買い物はできる。
散歩やジョギングもできる。
マウンテンバイクもOKなので、かなり遠くまでいく人もいる。
だから近隣の雰囲気はそれほど変わってない。生活をする上での不自由はそれほどないけど、それでも変化は感じる。
大きな変革がじわじわ進行しているような気がしている。
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実は僕はニュージーランドで「マスク」をしたことがなかった。
もともとこの国には、風邪でマスクをする文化がなかったように思う。
去年のコロナ初期にはマスク売り切れ騒動が起きたけど、なんだかんだ感染者もいなかったので、僕の街でマスクしている人はほとんどいなかった。
今回のロックダウンでは、スーパーや公共交通機関でのマスク着用が「全国義務」になった。
先日スーパーに行ってみたら、ここまで貼るかってくらい、大量の「マスク着用」の張り紙が壁に並んでいた。
買ってから一度も使っていなかったマスクを、僕は初めてつけた。
ニュージーランド人が揃ってマスクしているのが、変な感じだった。こんなにマスクが普通になったのは、これが初めてだろう。
マスクの効果には議論の余地がある、という点で意見が合うニュージーランド人もいるけど、これからはどうだろう。
テレビでも連日マスクが強調されるようになったし、いかにも空気・飛沫感染なイメージの映像ばかり使われる。
最近では、どこかの教授だか医者だかが、「ロックダウンが終わってもマスクを強制にすべきだ。」と主張しはじめた。
こうやってこの国も、マスク当たり前社会になっていくんだろうか。どの国もそうだから、もうその流れには逆らえないのかな。
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コロナ以降、ニュージーランドは「コンタクトトレース」が導入されている。
人々の行動を追跡するシステムだ。
このアプリをみんな携帯に入れていて、街中の至るところに「QRコード」が張られている。店頭でスキャンして店に入る仕組み。
スキャンするかどうかは「任意」ではあるけど、警戒レベルが上がると「義務」になる。
これが、感染経路の特定に効果を示したといわれる。
感染者エリア特定ができれば、街単位でロックダウンを解除できる。それで経済を早く動かせる。それは僕らにとってメリットではある。
とはいえ、当然だけど、政府は僕らの行動をこれですべて把握できる。
効果あったってことは、「任意」の状況でも利用者が多いってことなんだろうか。
これも、いずれ変な教授が「警戒レベルが下がっても義務にすべきだ」とか言い出すかもしれない。
義務になるにしろならないにしろ、みんなが「使うのがあたりまえ」という意識になった段階で、デジタル管理社会の完成だろう。
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なにかと論争な「ワ〇チン」希望者は急速に増えている。
今回をきっかけに対象年齢も下がり、12歳以上が打てるようになった。
「UNITE AGAINST COVID-19」(コロナに向かって団結しよう)
→ 国内で頻繁に見かけるスローガン
ワ〇チンに関しては、これまでは、いつ国内に普及するのか、自分は打つか打たないかが(周りの人たちの間では)争点だったように思う。
最近は「人に迷惑をかけないために打つべきだ!」という意見をちょくちょく聞くようになってきた。
接種者が増えていくほどその声はどんどん大きくなっていくのかな。
僕の周りにも、コロナWに懐疑的な人はいる。
けど、世界の流れは徐々にWパスポートだし、打たなきゃ行動が制限されるか、ムードで国賊扱いか、いずれかの方向に向かうんだろうと思っている。
世界全体が着々と全体主義的なものに近づいている感じ。
そこに得体のしれない嫌ーな感じしか僕はしないけど、きっともうその流れは止められないから、その仕組みの中でうまく生きていくしかないんだろう。
一九八四年(ジョージ・オーウェル)に描かれていたような社会はさすがに勘弁してほしい。
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ロックダウン中はどうも息が詰まる。
誰とも会わず、家にいる時間が長すぎるのかもしれない。
日曜はひさしぶりに近所をゆっくり散歩してみることにした。
心地の良いあたたかい日だった。季節はもうすぐ春になる。
外はのどかだ。大きな庭や道路脇では子供たちが走り回り、湖沿いの遊歩道では、犬の散歩、マウンテンバイク、ジョギング、何人ものひとたちとすれ違った。
あまり見ない4WBバギーで遊歩道を滑走してる家族や、湖でマス釣りをしている人もいた。
ロックダウン中なのにいいんだっけ?と思っていると、横を赤いパトカーが通りすぎて、特におとがめなしだったから、きっといいんだろう。
そしてマスクをしている人は誰もいなかった。
頭の中ではいろいろ考えてしてしまうけど、外の世界、僕の街はまだ平和そのものだ。
これからもこんなニュージーランドであってほしいと思う。