ワクワクの火を絶やさない。NO YOUTH NO JAPANのコミュニティづくり -オンライン夏合宿2020-
少しずつ新しい生活様式が定着しつつあるものの、大人数で集まるのにはまだ慎重にならざるを得ない現在。合宿や研修をオンラインで実施する団体も多くあるようです。
でも、丸一日画面を見つめるなんて疲れの方が大きいのではないか。形だけでZoom上に集まるのではなく、しっかりコミュニケーションを取りたい、もっとコミュニティ内で仲を深めたい。オンラインでのコミュニティづくりは、やはり対面より遥かに難しいものです。
私たち、NO YOUTH NO JAPAN(以下NYNJ)はほぼ全ての活動をオンラインで行っています。そんな私たちなら、オンラインでコミュニティの団結を強くする最強の合宿をつくれるのでは??
そこで今回は、約1年間で培ったノウハウを駆使したNYNJオリジナル「社会を熱く語る夏合宿」の様子をお届けします。
普段、チームやプロジェクト以外での繋がりが少ないメンバーのことをより深く知り、団体の将来を長く見据えた議論や計画づくりをしたいという想いからこの合宿は始まりました。
合宿2日間のタイムテーブル
【1日目】
13:00~13:30 チェックイン
13:30~15:30 ストーリー・オブ・セルフ(根本の経験や想いを語る)
15:50~17:50 衆院選に向けたSNSコンテンツ制作
17:50~18:00 クロージング
18:00 解散
【2日目】
10:00~10:15 チェックイン
10:15~11:05 チームビルディング・レクリエーション
11:20~12:50 社会、政治、NYNJを語るワークショップ
13:50-15:10 2020年度下半期の計画づくり
15:10~15:30 クロージング
15:30 解散
1日目のテーマは、様々な分野で活動するU30世代の横の繋がりをつくること。10の学生団体・NPO法人をお招きし、団体を越えてメンバーの活動の原点を語りあったり、活動の知見を活かしたコンテンツ作成をしたりしました。
2日目に重きを置いたのは、NYNJ内でのコミュニティづくり。プロジェクトの企画運営が中心になる普段の活動では、メンバー間の関係づくりや、団体の将来像の共有が置き去りになりがちです。合宿の機会を使って、オンラインの活動では取り入れにくいレクリエーションや、NYNJが目指すビジョンの再確認、少し先を見据えた中長期の計画づくりを行いました。
ここからは、オンラインでも一体感を高められた「チームビル・ディングレクリエーション」と、NYNJのビジョンを可視化できた、「社会、政治、NYNJを語るワークショップ」を紹介します。
オンラインでもこれだけ楽しめる!オリジナルレクリエーション
合宿で楽しみなレクリエーションの時間。体と頭を使いながらのチームワーク型ゲームは鉄板です。でもオンラインだったら難しいだろうな…と思っているあなたに、NYNJオリジナルゲームをご紹介します。
1つ目の企画は、「絵文字ジェスチャー」。伝言ゲームの要領でSlackスタンプの絵文字をジェスチャーで正確に、素早く伝えるゲームです。
絵文字ジェスチャーの遊び方
①チームの代表が絵文字を選ぶ
②第1走者は第2走者に、ジェスチャーで絵文字を表現して伝える。第2走者は、第1走者のジェスチャーからどの絵文字か推測する
③第2走者は推測した絵文字を、自分なりのジェスチャーで第3走者に伝える
④第3走者以降、最終走者までジェスチャーをつなぐ
⑤最終走者はどの絵文字を表現していたか答える
⑥時間内に最も多くの絵文字を正しく伝達できたチームが勝利
このゲームで使用した絵文字は、NYNJのデザイナーさんが作ってくれたSlackのオリジナルスタンプです。これらの絵文字に込められた想いについてはぜひ、こちらの記事を読んでみてください。
みんなが愛着のある絵文字を使ったゲームは大盛り上がり!さらにこのゲームのポイントは、体を動かせること。オンラインだとずっと椅子に座りっぱなしで疲れてしまいます。長丁場の合宿ではありがたい工夫でした。
2つ目のゲームは「ジブンモノ競争」。与えられたお題に合うものを、自分の家の中から探すゲームです。
ジブンモノ競争の遊び方
①出題者がお題を提示
②参加者は自分の家からお題に合うものを持ち寄る
③出題者が後から明かす「評価基準*」をチームで推測し、その基準に一番合うものを1つ選ぶ
④出題者が「評価基準」を公表。評価基準に最も合うものを持っていたチームが勝利
*評価基準の例:お題「本」の場合「大きさ」や「ページ数の多さ」など。
お題のものが家にあるか無いかではなく、出題者が決めた評価基準を予想できるか、に勝負がかかっているのがこのゲームのポイント。出題者の人柄から予想したり、「〇〇さんこれ持ってるんじゃない?」とメンバー生活を想像して声をかけあったりするので、お互いの新しい一面が見えたりもしました。
最後のお題は「文房具」だったのですが、評価基準を全チームが「NYNJカラー」だと予想。全チームがオレンジとミントグリーンの文房具を選び、それが正解だったのには全員で大爆笑。メンバーのNYNJ愛が溢れた、心に残るエピソードです。
このレクリエーションでは、作り手からも、参加者からも、どれだけNYNJのコミュニティを大事に思っているかが伝わり、心が温かくなりました。コミュニティの文化を生かしたレクリエーションは、メンバーの一体感をさらに高めるのではないでしょうか。オンラインでも楽しさを追求すればここまでできる!と私たちの自信にもつながりました。
ビジョンを見える化 「社会、政治、NYNJを語るワークショップ」
NYNJが掲げているビジョンは、「若者が声を届け、その声が響く社会」をつくること。U30世代が政治や社会について知って、スタンスを持って、行動できる、そしてその若者のアクションが受け入れられる、そんな社会をつくりたいという想いで日々活動しています。
NYNJでは6月に20人以上の新メンバーを迎えました。規模がこれまでより大きくなったことで、ビジョンとして同じ言葉は共有できていても、私たちみんなが同じイメージを描き、同じ方向に向かって進んでいるかが気がかりでした。
そこでこのワークショップでは、NYNJのみんなでつくりたい「若者が声を届け、その声が響く社会」とはどんな社会なのかをとことん深堀りすることにしました。
【ビジョンを深堀るための4つのステップ】
メンバーみんながNYNJで目指す社会を共有するために、このワークショップでは次の4つのステップでビジョンを具体化しました。
①大きな「社会」を身近なコミュニティに分解する
②それぞれのコミュニティでビジョンが実現された状態を想像する
③現状とのギャップを洗い出す
④そのギャップを埋めるために取れるアクションを考える
目指す社会に対して同じイメージを持ちにくいのはどうしてだろうと考えたとき、「社会」という言葉の広さに要因があるのではないかと思いました。
そこで今回はU30世代に身近なコミュニティを小さな社会と捉えて、「社会」を家庭、高校、大学、企業、活動家、SNS、メディア、政治の場という8つに分けてみました(①)。そして、それぞれのコミュニティで「若者が声を届け、その声が響く」状態はどんなだろうと考えました(②)。
どんな社会を目指したいか言葉にしたら、次は現状に目を向けます。目指したい理想の状態と今私たちを取り巻く現状にどんなギャップがあるのかを洗い出します(③)。そしてそのギャップを解消するためにNYNJとして取れるアクションを考えます(④)。
【考えを可視化する工夫】
このワークショップで使用したのはmiroという、オンラインで共同作業ができるホワイトボードツールです。アイデアや意見を書いた付箋をワークシート上に貼ることで、考えを可視化することができます。また、画面が付箋で埋まっていくのを見られるのは達成感もあっておすすめです。
さらに、このワークショップで意識したのは、話し合うだけ、ワークシートを埋めるだけで終わらないこと。せっかく話し合ったことをその場に留めず、これからのアクションにつなげることが重要です。最初の一歩として、合宿が終わってから、それぞれのコミュニティで目指したい社会の状態を1つにまとめて共有しました。
自分たちが目指したい社会をぼんやり抱くのではなく、身近なところから具体的に想像してみる。かっこいい言葉でビジョンを語れても、その理想を実現するステップが見えていないのは、もったいないです。「社会、政治、NYNJを語る」ワークショップでは、NYNJとして目指す社会の全体像が可視化され、これからNYNJが誰に対してどんなメッセージを届けたら良いのか/どんなアクションを取るかを考える指標になったのではないかと思います。
合宿を終えて1ヶ月
オンラインでもコミュニティのつながりは強くできる。そう確信できる濃い2日間になりました。
現在NYNJで活動しているメンバーは約60人。東は千葉県から西は長崎県まで、はたまたイギリスやニュージーランドなどメンバーの現在地は様々です。私が今までで直接会ったことがあるのは、そのうち10人ほど。離れていても、NYNJのメンバーは今では私にとって家族のように温かくて、支え合える大切な存在です。
常に楽しむことを忘れず、目指したい社会を一緒に描く。NYNJのコミュニティづくりのエッセンスが散りばめられた夏合宿は、みんなのワクワクを一層加速させてくれました。
(文=続木明佳)