「モヤモヤ」を語るための言葉と場所を ゆるっと学ぼう〜「女子らしさ」と「自分らしさ」〜
「今日すっぴんでごめん」謝った自分の言葉に、自分で「何で?」と思った。
「結婚して、子どもをつくる」という価値観が、あまり腑に落ちない気がする。
日常の中で「女子らしさ」「自分らしさ」へのモヤモヤが、ふっと湧いてくる瞬間があります。
10月10日、「ゆるっと学ぼう〜「女子らしさ」と「自分らしさ」〜」と題したイベントを開催しました。
このレポートでは、イベント企画のきっかけとなったNO YOUTH NO JAPAN (以下、NYNJ)メンバーの「女子らしさ」への「モヤモヤ」や、イベントで伝えたかったキーメッセージをお伝えします。
モヤモヤを語る「言葉と場所」を提供したい
日本のジェンダー・ギャップ指数は、世界121位(153カ国中)。
「イクメン」「リケジョ」「嫁にやる・いく」などの性差をことさらに強調する言葉。まだまだ男性が多い管理職や政治家。
これでいいのかな、と疑問をもった経験が、皆さんにもあるかもしれません。
「サウンドエンジニア」(音楽CDや映画・ゲーム音楽の録音、コンサート音響に携わる職業) を進路選択の1つ にしている、と親に話すと「男性が多い職業だよね…」と、渋い顔をされてしまったことが。普段、男女で何かを分ける人ではなくても、人は生きてきた環境の無意識の固定観念に引っ張られているのだなと感じた瞬間でした。
(イベント企画者・あかり)
「女性差別って過去のものじゃなくて今の私を取り囲んでいるもの」と気付いたのは20歳になってから。それまで意識していなくても、「女性に向けられてる規範や役割にもっと前から気付いていたら、いろんな場面で違う選択をしていたのかも」と考えます。 (イベント企画者・せい)
わたしたちが生きる日本社会には、まだまだ、あるべき「女子らしさ」や「女性像」が残っています。
「女子だから〜」「女子なのに〜」と言われることに違和感はあるけれど、一体、何が問題なのかをうまく説明できない。
このモヤモヤを、誰とどんな言葉で共有したらいいのか分からない。
そんな想いを抱える方に、もどかしさを語るための言葉を共有したい。
「女子だから生きづらい」という気持ちを、安心して話せる場所をつくりたい。
そして、「自分の苦労は『女子』だから、仕方がないもの」と諦めなくていいことを知ってほしい。
日常の中にある「女子らしさ」の背景を知り、「自分らしさ」について、私たちNYNJと一緒にゆるっと考えていく機会をつくるために、「ゆるっと学ぼう〜「女子らしさ」と「自分らしさ」~」イベント企画が立ち上がりました。
「女性像」って、どうして問題なの?
当日のタイムライン
【前半】
① オープニング&自己紹介、アイスブレイクなど
② レクチャー(25mins)
(1)日本の「今」ってどうなってるの?
(2)作られた「女性像」ってなに?
(3)「女性像」なにが問題なの?
(4)「自分らしさ」を大切にしたい!わたしたちができる行動って?
③ 感想シェア!(10mins)
④ クロージング(10mins)
【後半】
自由参加のおはなしタイム(25mins)
イベントは、前半にNYNJメンバーからのレクチャー、後半はNYNJメンバーと参加者の皆さんとのおはなしタイム(参加自由)という2部構成で行いました。
レクチャーでは、テレビCMや広告のキャッチコピーを紹介し、そこに隠された「あるべき女性像」を分析。「『女性像』が存在することって何が問題?」という問いについて考えました。
「女性らしくなりたい」と願う個人の想いは、悪いものでも、否定されるべきものでもありません。
問題なのは、料理や家事が得意、常にメイクをして可愛く・キレイである、世話をするのが好き…といった「女性はこうあるべき」「この枠の中にいる人が女性」という固定的な「女性像」が、無意識にわたしたちの中に植えつけられてしまうこと。
それによって、個々人の望むあり方が無視されたり押さえつけられてしまうこと、性差がない社会や管理職や議員といった女性であっても選択肢に入れていいはずの選択肢を、無意識に想像できなくなることが問題なのです。
あるべき女性像の刷り込みは、男性に対するあるべき「男性像」の押し付けにもつながっています。
「モヤモヤ」は共有しよう
お話タイムも盛り上がり、またイベント後にこのイベントをシェアしてくれた参加者の方々もいらっしゃいました。
参加してくださった方からは
「イベントを通して、自分は自分らしくいていいんだと思えた」
「女性らしさにモヤモヤしていたけれど、同じことに違和感を覚えている人がいることを知ることができてよかった」
「イベント後に感想を自由に共有するお話タイムが充実していた」
「いろんなデータによる男女比を見られて勉強になった」
などの感想をいただきました。また、
「自分が男性に男性らしさを押し付けていることがあるのかも」
「女子はメイクをするのが当たり前だと思っていましたが、よく考えたらなぜスッピン=「失礼」なんだろう。当たり前を疑うことの大事さに気づかされました」
という発見をしてくださった方も。安心して率直な想いを共有できる時間をつくることができたのではないかと考えています。
参加してくださった方、そしてこのレポートを読んでくださった方が、「女子らしさ」という社会からの押しつけよりも「自分らしさ」を大切にして、心地よくいられる択肢を選んでいってほしいと思っています。
そしてさらに、このモヤモヤ感を、身近な方にも少しずつ共有してみよう・話してみようという気持ちになっていただけたら、とても嬉しいです。
NYNJメンバー一人ひとりが行っている「女子らしさ」より「自分らしさ」を大事にするためのアクションの例です。
知識は道具。まずは「ゆるっと」学んでほしい
日常のふとしたモヤモヤは、あなただけのものではないかもしれない。
小さな違和感を見過ごさないで、まずは気軽に、もう一歩それに踏み込んでみてほしい。
「ゆるっと学ぼう」イベントシリーズは、小さな疑問や違和感を出発点に、その関心を広げるための最初の入口になりたい、という想いからはじまっています。
知識はモヤモヤを語るための道具。
「ゆるっと学ぼう」シリーズでは、今後も様々なトピックを取り上げます。
耳だけの参加も大歓迎。ぜひ、モヤモヤを探る言葉を聞きに、お気軽にご参加ください!
(文=米田由実、名倉早都季)