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日本の性教育 おかしくない? 性はタブーの雰囲気 私たちから変えていく

性教育の授業は、何だか恥ずかしかった。

高校の保健の授業の中で、1-2時間しかなかったけれど、その時間はクラスメイトも先生もなんだかいつもと違う雰囲気。当時の私は、性教育は自分に必要ないものだと考えていました。

そんな私が、日本の性教育に問題意識を持つようになったきっかけと、7月の性教育特集ポストに関わり、これからの性教育について感じた想いを、みなさんとシェアしてみたいと思います。

頼ったのはインターネットだった。日本の性教育、おかしくない?!

性教育の大事さを痛感したのは、自分が性感染症に感染したことがきっかけでした。

体験したことのない体の変化。
性感染症にかかったら終わりだ、という感覚。
自分は大丈夫なんだろうか?と焦りが襲ってきました。

でも、その時に私が頼りにできたのは、学校で習った性教育でも、パートナーでも、友達・家族でもなく、インターネット。

すぐに周りに相談すれば良かったのかもしれませんが、私は、家族に滅多に自分のことを相談しません。性感染症に感染したかも、と話すのは恥ずかしくて、できませんでした。
また、友達にも、なんて言っていいのかわからない。軽蔑されるのではないかという不安がありました。パートナーにも、嫌われてしまうのではないかという気持ちから、相談できませんでした。
※性感染症に感染していることがわかった場合は、パートナーも検査して一緒に治療するようにしましょう。(私は感染がわかり次第、パートナーに伝えました。)

インターネットには正しくない情報がたくさんあると知っていたけれど、周りの人に話すのは恥ずかしい。誰にも言えないまま、次に何をすればいいのか、この病気は治るのか、とにかくひたすら検索をしていました。

行ったことがない産婦人科に行くのも怖くて、なかなか病院に行く決断もできませんでした。

その後、最終的には病院で適切な治療を受け、無事に完治。それでも「そもそも性感染症にかかったのは、友人の中でも私だけではないのか?」「再発したらどうしよう」と、正しい知識がない私の不安は、お医者さんの「大丈夫」という言葉では解消されませんでした。

そして、ふと思いました。
「生きていく中で一番重要なことのはずなのに、性教育全く役に立ってなくない?」
授業で取りあげられたのは、月経が起こる仕組みやエイズ、性感染症の基礎知識、受精から胎児になる過程などについて。でも、性感染症になったらどんな対処をすればよいのか、身近な人が性の問題で悩んだ時どう相談にのったらいいのかは、教えてくれませんでした。

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どうして自分の体のこと、知っちゃいけないの?7月ポスト制作を通じて感じたこと

どうして自分の体のことなのに、教えてもらえないんだろう。
おそるおそる疑問を口にしてみたら、友達も同じように思っていたことが分かりました。
「ピルって、性交渉を頻繁にしたい人みたいで、なんだかもらいにくい」と、低用量ピルについて偏見を持っている人が多いことに、悩んでいる友人もいました(私も性教育に関心を持つまでは、偏見を持つうちの1人でした。)

日本の性教育では、基本的に、妊娠については取り扱っても性行為や避妊方法を教えてくれません。でも、そもそも妊娠は、体外受精などをのぞき、男性の体を持つ人と女性の体を持つ人が性行為を行わないとできないもの。自分の体を守るためにも、それについて学ぶことはとても大切なことのはずです。

性教育で、例えば性的同意、女性の避妊方法、緊急避妊薬、PMS、性感染症になったときの対処方法や気持ちの持ちようについて教えてくれてもいいのに、そうした情報を教えてくれたのは、学校ではなくて、インターネットでした。

少し興味を持って調べてみると、海外での性教育が日本とは全く違うことを知りました。「日本の性教育って遅れてるんだ!」と気付き、そこから少しでも同じような体験をする人を減らしたいと思い、性教育に取り組むNPO法人で活動を始めました。

日本では性教育=セックスのための教育と考えられがちですが、海外では異なります。人権教育の一部として捉えられているのです。

例えば、ユネスコが作成した国際セクシュアリティ教育ガイダンスによれば、性教育は5歳から行われます。

このガイダンスの中には、年齢ごとに行うべき包括的セクシュアリティ教育が示されています。ちなみに、包括的セクシュアリティ教育とは、ジェンダー平等や性の多様性を含む人権尊重を基盤とした性教育のこと。
例えば、性的同意については、年齢ごとに以下のように学ぶ際のキーアイデアが書かれています。
性教育を始めるべきとする年齢を見ても、性教育、中学校・高校の保健の一部の授業だけで行うことではないと捉えられていることがわかります。

5~8歳:誰もが、自分のからだに誰が、どこに、どのようにふれることができるのかを決める権利を持っている
9~12歳:望まない性的な扱われ方とは何かを知り、成長に伴うプライバシーの必要性を理解することは重要である
12~15歳:誰もが、性的な行為をするかしないかをコントロールする権利をもち、またパートナーに積極的に自分の意思を伝え、相手の同意を確認すべきである
15~18歳以上:同意を認識し、同意を伝える能力に強く影響を与える要因に気づくことが重要である

※一部抜粋。日本語版もあります。大学生は学校の図書館にe-booksの蔵書がある場合もあるので、興味のある方は検索してみてください。

日本では、「性について教えると、性交を助長する可能性がある」とたびたび指摘されてきました。過去にも、性教育に対してバックラッシュが起こったことがあります。

バックラッシュ:政治的な激しい反発のこと。日本では2000年代の男女平等へのバッシングが盛んになり、性教育も例外ではなかった。特別支援学校で性教育を行っていた教員が処分された事件があった。(七生養護学校事件)

でも、「寝た子を起こす」って、本当にそうなんでしょうか。わたしたちが自分の体について知ったら、何で性行為が助長されるんでしょうか。
NPO法人ピルコンのサイトでは、地元の医師会と連携した性教育を行うことにより、中絶率が1/3までに減った事例が紹介されています。

自分たちの体について正しい知識をもつことは、自分の体に自分自身で向き合うために、必要なことなんじゃないでしょうか。

性のことを話すのは「タブー」。刷り込まれている私たち

じゃあ、こんなふうになっているのは何でなんだろう?と考えてみると、性教育の不足以外にも、小さいときから性のことはタブーっていう刷り込みを色々なところでされているからじゃないかと思うんです。

・お母さんのおっぱいを触ると怒る
・おしりを出したら怒る
・赤ちゃんがどうできるか、聞いてもちゃんと説明してもらえない
・生理用品は隠される

性に関する行動をしたり話題を出すと、ただただ怒られるか、隠されるんです。大人も動転したりしているのかもしれませんが、性=怒られるもの・隠すべきものというメッセージを受け取り続けていたら、性について悩んだときに、周りの人と真面目に話すことができなかったりすると思います。
怒るのではなく、なぜおっぱいを触るといけないのか(同意がないから)、なぜおしりを出すことがいけないのか(性犯罪者などから守るために、プライベートゾーンは他人に見せたり触らせたりしたらいけないから)など、正しい知識を説明してほしい。

そしてわたしたちだけじゃなくて、先生も親もきちんとした性教育を受けてないから、この問題と向き合うことがなかなかできていないんじゃないかと思います。

性について自然に話せる雰囲気、私たちの世代から作っていく

「性」は、わたしたちが生きていく上で切り離すことができないトピック。
話しづらいとは感じていても、そう思っている人は少なくないはずです。常に気にしていなくても、なにかをきっかけに改めて「性」について考える機会はあるはずです。

NO YOUH NO JAPANの7月投稿では、性教育を取り上げました。インタビューをさせていただいた性教育ユーチューバーのシオリーヌさんに、はっとさせられた言葉があります。

" まずはちょっとずつ、自分自身が、下の世代に質問されたときに茶化さず答えたり、その話題について自然に扱うことから始められたらいいなと思う。私たちの世代から、この空気感を変えていきたい "

私が高校生の時には想像もできないほど、社会では性について語られるようになってきました。
政治家の方が生理の貧困について取りあげたり、生理休暇や緊急避妊薬というワードもニュースで見ることがあります。
YouTubeや各種SNSで性教育について発信を行う方も増えてきました。
それでも、学校での性教育はまだまだ変わっていないし、性について茶化さず真面目に話す雰囲気は、足りていないんじゃないかなと思うことがたくさんあります。

性はタブーという雰囲気は、私たちの代から少しずつ変えていけるもの。

悩んでいる友達がいたら、正しい情報を発信している団体を紹介する(私のおすすめは、セイシルです!モヤモヤベースでまとめられているので、困ったときに知りたい情報にアクセスしやすいです)。偏見を持っている人には、情報をシェアして話してみる。

きっとわたしたちが日常の中でできることは沢山あります。私も、自分が下の世代に性について聞かれたときには、私が大人になる前に知っておきたかったことを伝えてみたい。
学校でも性教育が十分に行われ、知識がないことが原因で辛い思いをする人が少しでも減る未来になったらと思います。

文=ペンネーム・もえ

参考:
UNESCO. (2020). International technical guidance on sexuality education: an evidence-informed approach.

小川たまか. 政治家のジェンダー意識改革を止めた?2000年代の「バックラッシュ」とは. 2021-03-15.(参照: 2021-08-22)

公益財団法人 日本女性学習財団. 包括的性教育(Comprehensive Sexuality Education)(参照: 2021-08-22)

NPO法人ピルコン. ピルコンが取り組む社会課題. (参照: 2021-08-22)

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