<2021年版自己紹介>NO YOUTH NO JAPANの意味って?
2021年2月、NO YOUTH NO JAPANのインスタグラムのフォロワーさんの数は、6万人目前となりました。私たちの名前を目にしていただく機会が増えてとても嬉しいです。
ただ、ネットで検索すると「NO YOUTH NO JAPAN 意味」という検索ワードがすごくよく出てくるんです。団体名の意味を知りたいと思っている方が多いと思うのですが、結局のところ「NO YOUTH NO JAPANって『なんかいい感じ』だけど何者?」ということがイマイチはっきりしていないのではと思い至りました。
ということで、NO YOUTH NO JAPANの意味から始めて、私たちが何を目指しどんなことをしている人たちなのか、2021年版の自己紹介をしていきたいと思います。
1 NO YOUTH NO JAPAN の意味
まずは団体名。文字通りで「若い世代なくして日本はない」という意味です。この発想が明確になったのが、北欧デンマークで立ち上げメンバーが衝撃を受けた経験でした。
代表の能條や共にNYNJを立ち上げたメンバー、そしてデザイナーさんが出会った場所は、デンマークでした。2019年当時のデンマークでは、若い世代の気候変動対策を求めるアクション”Fridays For Future”が盛り上がり、金曜日に広場いっぱいの若者が集まることが日常。また12年に一度のEU議会選挙・国政選挙のダブル選挙が行われたことで、学生が大学で議論をする場面をよく見かけたり、中学や高校にも議員が訪問するといった話も聞きました。
若い世代の投票率が80%を超える国では、同世代の多くが投票に行っているという事実もさることながら、若い世代が自分のスタンスや意見を持っていて、それを政治家が大事にして政治に反映していることがすごい。
結局若い世代の人数よりも、上の世代の人数が多いことは北欧も日本と同じです。しかしデンマークでは、「次の世代の意見を聞かず彼らに嫌われては、自分や政党や社会が上手くいかなくなる」と上の世代が分かっているし、若者はそう思わせるだけの行動をしている。そんなふうに感じました。
それに対して日本は、若い世代がいてもいなくても政治や社会は変わらない、とわたしたち自身が感じることも多い。
デンマーク国政選挙の開票速報を学生たちがパブリックビューイングしている様子
「若い世代なくして日本はない」、だから投票しよう、なんて言われつくしたきれいごとかもしれない。
でも、私たちは本気で若い世代の声を大事にした社会を見てしまった。
だから「若い世代なくして日本はない」と本気で思える同世代を、日本でも増やしていきたい。
そんな衝撃と意志から、「NO YOUTH NO JAPAN」という名前は生まれています。
団体名のちょこっと小話
ちなみに、NO YOUTH NO JAPANはもともと2週間限定の2019年参院選のためのプロジェクトの予定でした。しかし、インスタグラムのフォロワーさんが一気に1.5万人に到達、たくさんの反響をいただき、私たちにはもっとできることがあるはず!と活動を団体として継続、2020年8月に一般社団法人化して今にいたります。
当初プロジェクト名の候補には、 VOTE FOR FUTURE なんかがありました。こちらは投票に行くだけでなく、投票も含めたわたしたちが生きたいと思う社会をつくるアクションをしよう、ということがより重要だったという経緯で不採用に。ここで投票がプロジェクト名に入っていたら、今の活動の広がりは無かったかも…なんて思ったり。
2 メンバーにとっての「コミュニティ」としての意味
そんな発端から生まれたために、NO YOUTH NO JAPANは団体となった今も、選挙啓発団体でも政治オタクの集まりでもありません。
つまり、参加しているメンバーにとって、NO YOUTH NO JAPANは選挙や政治を変えるための場かと言うと、それはちょっと違うように感じます。
そもそも設立当初のメンバーも、デンマークの選挙や若い世代を見るまでは、今ほど「わたしたちの生きたい社会をつくろう」というメッセージに確信があった訳ではありませんでした。この記事を書いている私も、設立メンバーの一人です。そして正直言うと、政治に対しては今でもまだ苦手意識のある人間でもあります。
ただ、わたしたちの生きたい社会をつくる、そのために若い世代の声が必要だという確信がほしい、そのために自分が何か行動したい。社会をすぐに変えることは難しいけれど、まずは現状に「違いをつくる」ための一歩を踏み出したい。
原動力がそこにあるからこそ、選挙や政治が主の関心でなくても、NO YOUTH NO JAPANで活動する意味があるし、活動したいと思います。
もちろんこれは私個人の動機で、それぞれのメンバーに異なる動機があるはずです。
政治それ自体へ課題意識を持つ人もいれば、環境問題、ジェンダー、貧困問題など一人ひとりの関心は様々。また、学校での勉強や部活動と両立してNYNJに参加している高校生や、仕事と平行してNYNJで得意を発揮している社会人もいて、大学生の学生団体とは言えない世代の広がりもあります。
それでも、社会に小さな違いをつくるために若い世代の声を届けたいという想いを共有しているからこそ、選挙・政治屋さんではない、色々な世代の色々な関心をもった人の集まる場にできているというのが私の解釈です。
この点で、メンバーにとってのNO YOUTH NO JAPANの意味は、単なるメディアでも新しい挑戦をする団体でもなく、同じ志を共有する「コミュニティ」なのだと思います。高校生から社会人まで、約70名もが全国から集まり、コミュニケーションの工夫が溢れる場にできるのはこの意味のおかげです。
3. U30世代のソーシャル系最強のインスタメディアへ
NO YOUTH NO JAPANの役割という点で言うと、NO YOUTH NO JAPANが果たしていきたい意味は、単なる「ためになる情報が手に入るメディア」ではありません。
端的に言うなら作り手が思っているのは、U30世代のためのソーシャル系最強のインスタメディアです。フォロワーさんの多い大手のニュースメディアよりずっと同世代に同じ目線から寄り添って、情報の発信をするだけではなく、色々な場所から人・情報・活動が集まるようなプラットフォームでありたいと思っています。
「U30世代のための政治と社会の教科書メディア」と私たちはよく言っていますが、教科書として利用できる、ということが1つのポイントです。
学校の授業やマスメディアの発信が教えてくれないけれど、ほんとは知っておきたい本質やかゆいところに手が届く内容であること。特定の思想や内容の発信に限定されないけれど、1つ1つに作り手からのラブレターばりの強い思いがのっかっていること。私たちが思う教科書には、そんなエッセンスがあります。
これまでは、選挙でU30世代にとっての争点になりそうなテーマを月1つ取り上げるポストの特集企画(2020年)や、今まさに世の中で起こっていることを解説するストーリーを中心に制作してきました。
また「〇〇について知るハードルを下げたい」「こういうことに引っかかってほしい」という意図をより効果的にするために、ポップで楽しくかつ緻密にデザイナーさんが仕上げるグラフィックにもこだわってきました。
4. 「第一歩」を一緒に踏み出す存在へ
もう一点付け加えると、「NO YOUTH NO JAPANの役割」はインスタグラムメディアにとどまらない、ともいえそうです。
一番大きなゴールとして掲げているのは、「若者が声を届け、その声が響く社会」。そのために今必要なのは、社会を大きく変えることではなくて、同世代の第一歩をつくることだと思っています。
政策や法律をつくるように求める運動や、ステレオタイプな価値観がアップデートされることはもちろん大事。でもまずは、社会で起きていることにちょっと関心を持ったり、1人でモヤモヤしている人が誰かと話したり、ただ知ってるだけのことに意見をもったり、そんな小さな変化がたくさんのU30世代に起きるような仕掛けづくりから始めることが必要です。
そのために私たちがやってることの1つが、分かりやすいメディア発信をして、ちょっと政治や社会に興味を持ち始めた人が考えたり人と話しをするための素材を生み出すこと。
またイベントを開催したり記事を書いたりすることは、関心をもった話題について、もう一歩深く考えたい人へのヒントを提供したり、関心を同世代で共有したり、自分にできる行動から始めたいという人にとっての、挑戦しやすい場を用意すること。
さらに、政治家さんとのインスタライブを開催したり、選挙や気候変動・ジェンダーなど特定トピックのために活動している団体のハブとなることは、すでに強いモヤモヤや意見を持っている人が新しい一歩を踏み出すための機会をつくること。
地方選挙でプロジェクトに取り組むことは、地元の身近な人に寄り添うことで「選挙を通して地域から生きたい未来を考える」という第一歩を、色々な角度から考えるということ。
【最近NO YOUTH NO JAPANがチャレンジしていること】
・Instagramの運営
・様々なプラットフォームで記事執筆
・イベントの開催
・地方選挙「VOTE FOR MY TOWN」プロジェクト
・「Instagramで政治家と話そう」プロジェクト
・書籍「政治の教科書(仮)」の執筆
・団体さん・企業さんの活動/関心分野を紹介するツール制作のお手伝い
・衆議院選挙に向けた色々な準備(お楽しみに…!)
・団体内の対話の場づくりを進めること
・団体内のコミュニケーションを気持ちよくする工夫をすること
and more…
私たちが発信する情報を受け取り便利なメディアとして使ってもらうだけではなくて、そこから一緒に今ある社会に少しでも「違いをつくる」U30世代、自分のスタンスを持ち、一緒にアクションできるU30世代を増やしていきたい。
まだまだ団体としても言語化したり具体化している途中ではありますが、様々に取り組んでいることには、このように明確に届けたい人がいて、届けた先にいる人と「第一歩」を一緒に踏み出したいという意味を共通して持っていると思います。
おわりに
団体名にこめられた意味から初めて、メンバーにとっての意味、また私たちが果たしたい意味について、今の私たちの自己紹介として書きました。
団体名の意味である「若者なくして日本はない」と思えるような、若者の声が届き、その声が響く社会は、今もこれからも目指すところとして変わらない。けれど活動を続けるなかで、団体の意味や役割は、変わっていく部分も定まってくる部分もあるはずです。
NO YOUTH NO JAPANの意味を聞いてくださる方々へのお手紙を、今後も更新し続けられたらと思います。
(文=黒住 奈生)