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OPEN DAYは社会を動かす「トラブルメーカー」の第一歩~NYNJ OPEN DAY イベントレポート~

7月21日(日)、5周年を記念したイベントNO YOUTH NO JAPAN OPEN DAY(以下OPEN DAY)をSHIBAURA HOUSEで実施しました。来場してくださった方は150名近くにも上りました。ご来場いただいた皆様、オンラインでトークショーに参加していただいた皆様、本当にありがとうございました!

今回は、NO YOUTH NO JAPAN(以下NYNJ)のメンバー、私みのりが今回のOPEN DAYを振り返ります。

NO YOUTH NO JAPAN OPEN DAYとは…
2019年7月の参院選に向けたプロジェクトとして開始したNYNJの5周年にあたり、参院選投開票日から5年の7月21日に開催したイベント。
参加型デモクラシーと対話をテーマに、トークショー/展示/カフェなど様々なコンテンツを実施しました。
日時:2024/7/21(日) 10:00-17:00
場所:SHIBAURA HOUSE

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①「知って・スタンスをもって・行動する」体験型ミュージアム

過去投稿から見つけるスタンス展示

NYNJの過去の投稿で、メンバーが特に気に入ったものを抜粋。冊子のかたちで展示しました。

過去投稿から見つけるスタンス展示

常に多くの人だかりができており、来場者の方が手に取って絵本のようにめくりながら投稿をご覧になっている姿が印象的でした。

展示物を手に取る参加者

アクションブース

展示を通じて思ったことや、発見、再発見したスタンス、生きたい社会を自由に付箋に書いて貼ってもらいました。

アクションブースに設けられたボード

コメント一つひとつに書いた方の想いがこめられており、とても勇気をもらいました。
生まれ育った環境や属性が異なるからこそ、実現したい社会も違っていましたが、多様な声を社会や政治に届けたいというコメントが多く見られました。このアクションボードはそれを可視化できる民主主義の第一歩だなと思います。
投稿を見て感じた社会への引っ掛かりやモヤモヤ、こんな社会をつくりたいという気持ちを感じたことで終わらせてほしくない。そのような思いで、投稿の展示の終わりにはアクションカードを設置しました。

「選挙に行く」「署名をする」「デモに参加する」といった、皆が思い浮かべるメジャーなアクションはもちろん、「iPhoneの名前を変えて話すきっかけをつくる」「応援しているメーカーの商品を買う」など、ハードルが低くこれならできそうと思える、アクションを始める最初のきっかけも紹介しました。

アクションカード

②5周年記念トークセッション

スペシャルゲストを招いて、2つのトークセッションを開催。各回会場いっぱいになるほどの方にお集まりいただき、たくさんの学びと対話のエネルギーを感じる時間になりました。

来日公演!デンマークのデモクラシー最前線

デンマークから、高校社会科教師のJacob Jørgensen さんとデンマーク若者団体であるRed Green Youth初代代表であるFrederik Dahlerさんをお招きし、NYNJの能條と足立が聞き手となってトークセッションを行いました。

左から、社会科教師Jacobさん、Red Green Youth代表のFredrikさん、
NYNJの能條、足立
参加者からの質問に答えるFredrikさん

トークセッションでは、NYNJの活動が生まれた地であり、若い世代の参加型デモクラシーが発達しているデンマークでの、民主主義のあり方や気軽に始められる政治参加についてお話を聞きました。

印象に残ったのは、お二人からの「トラブルメーカーであれ」というメッセージ。トラブルメーカーは、一見するとルールや秩序を破る社会の「害」としてみなされがちです。しかしトラブルメーカーは、当たり前に根付いている社会の慣習や暗黙の了解を疑い、行動を起こす可能性を秘めていることに気づかされました。

Jacobさんは、正しくないことを「正しくない」と主張をすることもトラブルメーカーの一つだと、例を挙げて話してくれました。
あるデンマークの議員が高速道路の建設資金を着服したことがありました。その議員は、その建設によって自分の会社に利益をもたらすことを明言せず、メディアは議員を糾弾しました。政治家はメディアの報道を非難しましたが、メディアは追及を止めず、真実を国民に伝え続けたとのことです。

このように、デンマークでは「トラブルメーカー」が社会に疑問を投げかけ、より良い社会を実現した例がいくつもあると話してくれました。

わたしたちと社会について井戸端会議2019→2024  ー5年の変化とこれからー

午後のトークセッションでは、モデル・タレントである、藤井サチさんと、NYNJのこれまでの5年間、そしてこれから作りたい未来について話しました。

左から、登壇者の藤井サチさん、NYNJの足立、能條

NYNJのデザインチームが作成した2019年から2024年までの年表を使い、社会情勢と共にNYNJがどのようなアクションを続けてきたのか、それぞれのプロジェクトに思いを馳せながら振り返りました。

藤井さんからは、「NYNJのInstagramの投稿は視覚的に見やすく社会課題を知る入口になった」、「SNSのシェアで拡散しやすかった」、とのコメントを頂きました。

最初は「専門家でもないのに、発言をしていいのかな」と戸惑いもあったという藤井さん。しかし、次第にインスタをフォローする、ポストをシェアする、気になったトピックを友達や家族に話すなど一人ひとりできることをコツコツやっていきたいという意識に変わったそうです。

これまでのNYNJのあゆみ

③ソーシャルドリンク&スナック コラボカフェ

ソーシャルな志をもつ食品・飲料を提供している皆さんが集まり、豪華なコラボカフェとなりました。

VENUTSさんからは8種のヴィーガンドーナツを販売。たくさんのフレーバーのかわいいドーナツにワクワクするとともに、味も食べ応えも大満足でご好評いただきました。

VENUTSさんのヴィーガンドーナツ

茶色くなったバナナの活用をすすめるOTONANA BANANA projectさんからは、この日に向けて新開発いただいたバナナアイスクリームを発売。濃厚な味で、暑い夏にピッタリでした。

OTONANA BANANA projectさんのバナナアイス

N.E.W.S.PROJECTさんからはオーガニック原料にこだわったアルコールドリンクを提供していただきました。「パンの耳から作ったクラフトビール」など思わず気になるドリンクを片手に、会話がはずんでいました。

N.E.W.S.PROJECTさんのドリンク

移動式のコーヒースタンドで活動されているRAM cafeさんのハンドドリップコーヒーと、イベント限定の「そのぎ茶」は主催者もおすすめのドリンクで、終始列を作っていました。

Ram cafeさんのコーヒー

私はVENUTSさんの「カモミールレモン」のドーナツを頂いたのですが、カモミールとレモンの香りがちょうどよくマッチしていて、優しい味わいになっていました。

また、特別提供品として、NYNJの投稿がプリントされたチロルチョコレートも販売しました。

NYNJオリジナルチロルチョコレート

④やわらかアクティビスト進路相談会

会場の2階では、代表の能條をはじめとするアクティビストやNYNJメンバーと、アクションの起こし方・続け方、アクティビストとしての進路、アクションと仕事との両立など個別面談ができるブースを設けました。

相談員メンバー(敬称略)
荒尾日南子(気候アクティビスト)
おのみずき(世田谷区議会議員)
かほ(NYNJメンバー)
新荘直明(NYNJメンバー)
中村涼香(KNOW NUKES TOKYO代表)
中村涼夏(環境NGO職員)
能條桃子(NO YOUTH NO JAPAN代表)


荒尾日南子さん(気候アクティビスト)


おのみずきさん(世田谷区議会議員)


能條(NYNJ代表)

事前に相談したいアクティビストを決めていた方も、その場で「相談してみたい」とお声がけいただいた方もいらっしゃいました。

普段なかなか話すことがない各領域の最前線で活躍される皆さんとわいわい楽しくお話ししたり、仕事などと両立しながら社会活動を続けているメンバーからのアドバイスがあったりと盛り上がった様子が印象的でした。参加者の方から「すごくいい企画だと思う!」と話しかけていただけたのが嬉しかったです。

参加者からの声

イベントに来てくださった方の生の声を掲載いたします。

「知らなかった」と思える展示がたくさんあり、より具体的に社会を捉えなおす機会になりました。ルッキズムや妊娠中絶の投稿にハッとさせられました。

学生

いつもInstagramを見ているのですが、なかなか会社ではアクションを起こすことができないのでイベントに来ました。Instagramのデザインがイケてますよね。選挙前の投稿が中立的で、拡散しやすいなと思います。

会社員

私はover30ですが、今のU30がこのような形で自分の意見を発信するのが羨ましいなと思いました。デンマークのトークセッションでは、良いトラブルメーカーが増えていけば、日本の社会も変えていけるのかなと感じました。

会社員

NYNJのメンバーに会ってエネルギーチャージをしに来ました。NYNJを卒業して会社に入っても、自分たちの社会は自分たちの手で作れると実感できるのは、NYNJでの経験が楽しかったから、そしてメンバーが楽しそうに活動をしているからだと思っています!

元NYNJメンバー

私は台湾でアクティビストをしています。InstagramでNYNJを見かけて、関心を持ちました。LGBTや男女格差は台湾でも社会問題になっていて、今回の展示でも特に興味を持ちました。

アクティビスト

イベントを振り返って

NYNJの初めての大規模な対面イベントで、どんな方が来てくれるのだろう、とドキドキしていたのですが、こんなにもたくさんの人が来てくれて、NYNJに関心を持ってくれていることに驚きました。ご来場いただいた皆様、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

複数の参加者の方も仰っていたように、「よきトラブルメーカーである」ことで社会が変わるんだ、というJacobさんとFredrikさんの言葉が心に残っています。
日本では、知らず知らずのうちに、教育や社会システムの中で「トラブルメーカー」の芽を摘んでいると感じます。わたし自身は、「これはセクハラなのではないか」と思っても権威を持った人に対しては抗議することができなかった経験があります。
いざ、自分が18歳になり選挙権を行使して生きたい社会を選ぼうと思ったとき、社会のシステムに疑問を抱き始めたとき、自分が不利な環境に置かれ声を届けたいと思うとき、どのように訴え、行動すれば良いのか分からず、諦めたり最初の一歩が踏み出せなかったりしている人も多いのではないでしょうか。

今回のNYNJのイベントは、社会を変えようと熱い気持ちを持ち続けている「元トラブルメーカー」に対して様々なトリックが準備されていました。
トークセッションを通じ、自分が鵜呑みにしてきた制度は実は当たり前ではないと気づいたり、タイルのように敷き詰められた過去投稿から共感できるものを選んだり、アクティビストと話しアクションボードにあるたくさんのステッカーを見て、仲間と行動に移せるかもしれないと自信を持ったり..
NYNJが参加型デモクラシーを目指す上で大切にしている「知って、スタンスをもって、行動する」を五感で経験するための仕掛けでもありました。

どの企画にも、疑問やおかしいという気持ちを諦めず一緒に今日からここからアクションを始めようというメッセージが散りばめられていたのです。note執筆者として多くの参加者の皆さんとお話する中でNYNJの理念に共感し、社会を変えようと思っている人がこんなにいることを心強く思いました。

OPEN DAYが、少しでも「トラブルメーカー」を勇気づけ、社会にポジティブな変化を起こすための着火剤となっていれば大変幸いです。

また、イベントにはover 30の方も多くいらっしゃっており「若い世代が盛り上がっていくためには、over 30がどのような意識を持っている必要がありますか」という質問がありました。社会全体の構成員はover 30の方が圧倒的に多いため、U30の力だけでは社会を変えることはできません。だからこそ、世代を超えてこのような声を頂けたことをとても嬉しく思いました。U30の声だけが届くのではなく、over 30も含めた社会の営みを作っていく必要があり、そして世代間でも世代ごとの問題意識を理解し合う必要があると実感しました。

NYNJは次の5周年に向け、すでにスタートを切りました。これからも、「トラブルメーカー」として、一緒に「トラブルメーカー」になる仲間を増やし、社会に声を届ける行動を続けていきます。
OPEN DAYから始まる次の5周年も、是非ご期待ください!

NYNJ創設メンバー

(文=みのり)

NO YOUTH NO JAPANのInstagramの投稿を続けるためのデザイナーさんへの依頼料と活動の運営経費にさせていただきます!