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「オンラインは味気ない」を覆す。つながりを生む7つのSlack活用術
「オンラインは味気ない、物足りない」
オンラインツールがいくら便利になっても、同じ場に人がいる温かみは超えられない。
そう気づかされたコロナ禍の今この時代。
しかしあえて、この前提を疑ってみようと思います。
コミュニケーションツールを丁寧に使って、オンラインでも人の温かさや熱量を感じられる場をつくることは、できないのでしょうか。
NO YOUTH NO JAPANとオンラインコミュニケーション
できる、というのが私たちの答えです。
NO YOUTH NO JAPAN(以下、NYNJ)は全ての活動をオンラインで行っています。大学の教室も、オフィスも使いません。SlackとZoomが、私たち60名の活動場所です。
にも関わらず、多くのメンバーがNYNJというコミュニティを一つの居場所のように感じ、愛を持っています。私たちにとってオンラインは、味気なさとはほど遠い、温かく熱量の高い空間です。
そんな場をつくるために育ててきたSlackの活用法、特に 対面のコミュニケーションで自然に起きていることを、意図的にオンライン上に作り出す7つのコツを紹介します。
【人の気配を醸し出す編】
オフラインの場では、誰かの独りごとや会話が聞こえたり、作業に没頭しているときにふと顔をあげると人の姿が目に入ったりする。そんなちょっとした他者の気配が、刺激や安心感につながっています。
1.会話に欠かせない相槌としてのスタンプ
発言に対して、頷いたり微笑んだり、相槌をうったり。対面のコミュニケーションでは、相手からの反応がすぐにかえってきます。反応の有る無しで会話の温かさが大きく変わることはもちろん、そのバリエーションも会話を豊かにしているはず。
Slackのチャットで、表情や相槌の代わりになるのがスタンプ(カスタム絵文字)です。NYNJでは、Slackのカスタム機能を利用し、相槌だったらついつい言ってしまう言葉を100以上スタンプに追加して、1回のリアクションにたくさん使うようにしています。コミュニティでよく使われる言葉や、ニュアンスの違う相槌表現を増やすのがおすすめです。
相槌:
「なるほど」「たしかに」「ふむふむ」「むむ」「嬉しい!」「嬉じい…」「エモい」「神!」「仏」「マジで?」「流石!!!」「最高すぎる」「天才か」etc
コミュニティでよく使われる表現:
「フォローはされていない」「今日は休む~」「ワーク・ワクワク・バランス」「ちゃんと休んで」「メンションして」「後で見る」「暇なの?」etc
ある発言に対する相槌は一人一言ではないですし、同じ言葉であっても言い方や頭に思い浮かんでいるイメージは異なるはず。語彙がとても多いNYNJのスタンプは、そんな対面コミュニケーションの微妙なニュアンスを再現するのに役立っています。
自分のメッセージに色々なスタンプで反応が返ってくると、みんなの表情や考えがなんとなく伝わってきて、どんな風に自分の発言を受け止めてくれたのかが分かります。相槌のように、すぐに自分の反応を返せる点もおすすめポイントです。
2.ミーティング報告は写真つきで
今日はこんなことやってさ、先輩がこんな発言をしてて。何気ない報告をしたり、他の人の活動が目に入って「頑張ってるな」なんて感じるのも、対面の場でのコミュニケーションです。
私たちは、メンバー全員が見る活動報告チャンネルを使って、ミーティングで話し合った内容や得たことを簡単に報告。さらにそこには、スクリーンショットでミーティング参加者の写真を必ず貼り付けるようにしています。
家で1人で作業していても、組織全体で誰がどんなことに関わっているのか一目でわかる。それだけじゃなく、笑顔を見てちょっと安心したり、たまにあるおちゃめな写真にくすっと笑ったり、よく見かける人の忙しさを気遣って声をかけたりもできる。安心感と他者への気遣いが生まれるのは、チャンネルと写真のおかげです。
【お互いの状態に気づく編】
困っていそうな人を見つけてこっそり声をかけたり、頑張っている人を見つけて褒めたり、そんなコミュニケーションはミーティング以外の時間の様子を知って初めてできることです。
3.嬉しいこともモヤモヤも気軽に共有する
褒めたい人がいたとき、頑張りや成果を褒めてほしいとき、活動に関わる嬉しいことがあったとき、誰かに共有して、「偉いね!」「良かったね!」と言ってほしい。団体や自分、活動に不安を感じたとき、誰ともなく聞いてほしくて「なるほどね」とだけ言ってほしい。
対面なら何となく気づけるメンバーの状態を共有し、ふとした時間にできる会話を意識的に作り出すのがHappy Shareチャンネル・Moyamoya Shareチャンネルです。
Happy Shareでは褒めたいこと・褒めてほしいことを自由に発言します。フォロワーさんが増えた報告や、誰かのこんな行動が嬉しかった!などなど、Happyポイントは様々。1日1つ以上誰かが発言するようにして、ポジティブな感情を共有しています。
Moyamoya Shareでは個人のストレス発散を目的にしないこと、誰かを傷つけないことをルールに、モヤモヤすることを共有しています。「うまく活動ができず迷惑をかけている気がする」といった個人的なモヤモヤに対しては、メンバーから色々なアドバイスが返ってくることも。組織に関わるモヤモヤは、改善のために全体で話し合うこともあります。
4. 匿名で発話のハードルを下げる
Happy Share・Moyamoya Share 両方のチャンネルに、Slackのワークフローを使用して、匿名で発言できる環境を作っています。ワークフローを使って「もやもやさん」という架空の発言者を通して、自分が発言できるというわけです。
(ワークフロービルダーを使うとワークフローの設定ができます
https://slack.com/intl/ja-jp/blog/productivity/intl-ja-jp-automate-tasks-in-slack-with-workflow-builder)
オンラインで1人で作業しているからこそ生じる不安・不満や、それを誰かにすぐに言えないこともある。会話だったら気軽にぽろっと言えることも、オンラインで、しかも多くの人が見られる形で文章にするのはストレスになりがちです。そんなとき、匿名で発言できることが役立ちます。
一般的に、オンラインでの匿名発信は、無責任に何でも言えてしまう怖さがあります。でも、普段からミーティングやチャットの中で信頼関係をつくり、攻撃したり他者への配慮のないことを匿名を利用して言う人がいない、という安心できる環境を整えていることで、この仕組みが機能しているように思います。
【雑談を生む編】
場を共有する対面コミュニケーションの良いところは、つねに相手の様子を見ることができるところ。「わざわざ呼びかける気はないけれど、でも誰かに言いたい!」と思ったことを、そのとき余裕がありそうな人に話せます。
オンラインでは相手の様子が分かりません。だからこそ、「ここでこんな雑談を」という場を明確に用意することが、気軽に話せる雰囲気づくりに役立っています。
5. 雑談の中身をチャンネルで誘導
雑談チャンネルというオープンなチャンネル以外に、ネタから本気のものまでやってみたいことを書くdreamチャンネル、チームや組織に関係する気づきを書くmemoチャンネルといった、目的別の雑談用チャンネルがあります。
対面の雑談でも、ある程度お互いが興味がある話をしたり、組織と関係のないものあるもののグラデーションをつけていたりと、話の内容を調整しているはず。オンラインで相手の様子が見えないので、この調整をチャンネルを分けることで行います。
NYNJの雑談チャンネルは、主に活動に関わるトピックについて、各々が興味を持ったことを発信し、共有ブックマークのように使われています。見た映画の心に残ったシーンの話、気になるニュースのこと、注目のSNSアカウントなど、何かしら活動に関わる幅広い話題が飛び交います。
6. mtg報告が待ち遠しくなるクイズ
集中的にオンラインツールの会話を増やしたいときに実践したのは、ミーティング報告につけた写真で行うポーズ当てクイズ。ミーティング参加者がしているジェスチャーの意味を、他のメンバーがSlack上で当てるという遊びです。
感情を表していたり、好きな食べ物を表していたり、ミーティングの内容に関わるものを表していたり、ポーズは様々。活動報告チャンネルでミーティング報告の投稿があると、そのメッセージへの返信でポーズ当てを開始します。正解者にはポイントをつけ、期間内集計して1位の人に景品を用意したことも。
早い者勝ちのクイズに一生懸命になるメンバーのやりとりも、ミーティング終わりに画面越しにポーズをとっているメンバーのことも、想像するだけでちょっと愛おしい気持ちになってしまう、そんな雑談の仕掛けです。
7. 日常を少しだけ見せあう交換日記
メンバー同士でオンラインでごはん会・飲み会などをする機会があっても、その時間に参加できない人は日常を見せあう場所が全くない。お昼は何を食べてるのか、何を見てわくわくする人なのか、そんなことをSlackで伝え合うのが交換日記です。
NYNJでは、メンバーを4つに振り分けたチームの中で日記を書き、次の人を指名しするというリレー投稿をしています。「この前こんなことがあって…」という会話を通して、相手を知る場になっています。
組織に関係のない小ネタ的会話は、雑談チャンネルで全員に対して言う規模のことではない、かつ、その人を知るには出来事だけでなく過程や気持ちまでちょっと詳しく教えてほしい。規模感も内容の重みも、交換日記という形がすごく丁度いいんです。
「意義ある」時間の外側に余白を
組織の活動に関わる「意義のある」時間。オンラインではどうしても、活動に必要なことだけに絞って打ち合わせをしたり、連絡をしたりしがちです。
私たちが意識しているのは、活動の外側にある、なんでもない「余白」としての時間や空間を共有すること。ミーティングの帰り道や休憩時間での会話など、対面なら自然に生まれる余白を、ツールの力を活かして人の手で丁寧につくれば、つながりを感じられる温かい場が生まれます。
「余白」を生む仕組みづくりにひと手間かけて、「オンラインは味気ない」という常識を覆せるか。
コロナと共存する時代に、オンラインで良いチームがつくれるかは、ここにこそかかっているんじゃないか、と思います。
(文=黒住奈生)
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