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若者のいまを可視化する。NYNJがU30の調査を始める理由

NO YOUTH NO JAPAN(以下、NYNJ)は、株式会社日本総合研究所との協同プロジェクトとして、U30世代の投票意識調査を実施。投票率向上のための施策案をとりまとめました。
▼ 調査結果はこちら ▼
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=104071&fbclid=IwAR1MgiC6XJ6bqrFADw0VV_5yjx_TN7HB7atKp3y-0UXXE6QrKTpxGuk53x8

Instagramを中心とした情報発信や自治体との連携に取り組んできたNO YOUTH NOJAPANが、なぜ本格的な「調査」に乗り出したのか?
プロジェクトリーダーを務めたしじみさんへのインタビューを通じ、NYNJの新たな挑戦についてお話します!

『「わたしたちが生きていく社会は、わたしたちがつくっていくものだ」そう思える社会をつくりたい。そう思える仲間を、増やしていきたい。』というNYNJのHPのステートメントに共感し、NYNJへ参加。
NYNJでは選挙管理委員会と協働した選挙啓発などを担当。また今回の調査のリーダーも務める。

U30に対する調査をしなきゃ、の原点

ー今回、NYNJとしてはじめてシンクタンクと共同で、調査・施策案の提言を行いました。なぜこの取り組みをはじめることになったのでしょうか?

しじみ:
「若者の投票率が低い」「政治の中で若者の存在感が薄い」という主張はこれまでにも繰り返されてきました。実際に、U30世代の人口は有権者人口の13.4%(2021年)にまで落ち込んでいますし、投票率は他の世代より低いです。政治の場におけるU30世代の存在感は強いとは言えません。

そして投票率の低さは、これまで「若者が政治に関心がないから」で片付けられることが多かった。でも、本当にそれでいいのかな?と思ったのがこの調査のきっかけです。関心を持てないようにさせてる社会構造に問題があるんじゃないかなって。

そもそも「関心」って何を指すのかはっきりと分からないですし。ぼんやりしたイメージで終わらせて、有効な手立てを打ってこなかったから投票率が上がらないままなんじゃないかなって。

U30世代もひとくくりに言われるけれど、生活している環境によって政治に対する意識は一人ひとり全く異なると思います。例えば、家族や友人などで選挙に行く人がどれくらいいるか、身近な人と政治の話をどれくらいするか。これまで、社会に対してモヤッとすることがあったのかなかったのか。

政治との接点は、同じU30世代でも一人ひとり大きく違うはずです。U30のリアルを詳細に把握することから始めないと、投票率を高めるための手がかりをつかむことは難しい。

U30一人ひとりに光を当てた調査がないなら、NYNJがやってみよう。こう考えたのが、今回の調査のはじまりでした。

投票に行かない理由を5000人に聞いてみた

ー実際に今回の調査では、何を調べてどんなことが明らかになったんでしょうか?

しじみ:アンケートで5000人のU30を対象に、投票意向や認知、政治に対する意識・行動などを調査しました。

アンケート結果を、社会に対する問題意識(社会に対して課題や不安を感じているか)と自己効力感(自分が社会を変えられると感じているか)という2つの視点から分析すると、U30世代は大きく5つのクラスターに分かれることが明らかになりました。

調査レポートでは、クラスターごとの特性をキャラクターを使って説明しています。かえなキャット、ふあんシカ、がむしゃラッコ、らっカンガルー、むきりょクマ。

例えば、U30世代の40%を占める「らっカンガルー」は、20代前半の正社員の割合が高く、投票意向は低め。社会を変えられると思えていても、現在の生活に不満がなく、「面倒であること」や「忙しいこと」を理由に投票に行かない傾向があるようです。

対照的に、「がむしゃラッコ」は、働き方や妊娠・出産、育児など身近で課題に直面していて、問題意識は持っている。けれども、自身で社会を変えられるという感覚が弱く、「選挙で政治は良くならない」と考えているようです。

5つのクラスターの分布(調査レポートより抜粋)

調査レポートでは、クラスターごとに投票しない要因は何であるかを分析し、施策を考えました。例えば、「がむしゃラッコ」は、選挙を自分達の置かれている状況を変えうる手段だと認識できていないことが、投票意向を下げていると考えました。そのため、政治家がU30世代にとって切実なテーマを重点課題に位置付けること、生活で直面している課題は自己責任ではなくて政治課題になることを知ってもらうことが大切だと考えています。

結果と施策案は下記URLの中からダウンロードできるので、ぜひご覧ください!
【概要】https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=104071&fbclid=IwAR1MgiC6XJ6bqrFADw0VV_5yjx_TN7HB7atKp3y-0UXXE6QrKTpxGuk53x8

【詳細レポート】https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/company/release/2022/1215/jri_1215.pdf

「YOUTH THINKTANK」が目指すもの

ー今回は、U30世代の投票に対する意識を調査しましたが、若者を対象とした調査は今後も続けていくのですか?

しじみ:はい!実は、YOUTH THINKTANKというプロジェクトを立ち上げました。株式会社日本総合研究所と協働し、U30世代と政治との関わりを明らかにしていく予定です。このU30意識調査はYOUTH THINKTANKの調査の第1弾で、第2弾として現在被選挙権引き下げに関する調査をしています。

ーNYNJの活動としては、これまでInstagramをはじめSNSでのU30世代への発信や、地方自治体との連携が中心だったと思います。調査プロジェクトは何を目的にどこへ向かっていくのですか?

しじみ:もちろん、同世代への発信活動や選挙管理委員会との共同プロジェクトはこれからも続けていきます。でもこれまで、発信活動や、そのほかにも各自治体とのプロジェクトを行う中で、私たちNYNJ自身が、必ずしも現在の若者像を正確にとらえられているわけではないというモヤモヤがあったんです。

投票に行こうというメッセージをどうやって伝えたらいいのか。各自治体の選挙管理委員会の方と若者の実態を検討するときに何に基づいて話したらいいのか。これまでもデータをもとに考えてはきたけれど、手探り状態でした。

同世代にもっと効果的にメッセージを届けるためにも、社会に対して若者の実態や声をきちんと伝えていくためにも、若者の現状を高い解像度でとらえることが必要だと思っています。若者世代の声を社会に響かせることを目指す団体として、NYNJは若者の声を可視化することに貢献していきたい。YOUTH THINKTANKを通じて、若者のいまを社会に届けていきたいと考えています。

YOUTH THINKTANKとNYNJのこれから

今回はNYNJの新たなプロジェクトを、メンバーへのインタビューを通じて紹介しました。NO YOUTH NO JAPANでは今後も、U30世代の声や現状を可視化する調査を行っていく予定です。

U30世代の当事者団体や、U30世代に向けた活動をしてる方には、ぜひYOUTHTHINKTANKの調査を活用いただき、若者の実態をとらえて活動内容を検討したり、若者の現状を他者に説明したりするときのツールになればと考えています。

いつもInstagramやnoteへのいいね・コメント等で力をくださる皆さま、本当にありがとうございます。設立から4年を迎えたNO YOUTH NO JAPANの今後の活動、これからの挑戦についても、応援をいただければ幸いです。

(文=かえ)

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