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辻愛沙子さんインタビュー 「人はいつからでもアップデートし続けられる」と伝えたい。

「人はいつからでも気付けるし、学べるし、アップデートし続けられる 」

そう語るのは、株式会社arca CEO/クリエイティブディレクターの辻愛沙子さん。

NO YOUTH NO JAPANは、U30世代を牽引する存在の辻愛沙子さんの政治や社会に対する考えをお伺いしました。

このnoteでは、Instagramストーリー企画「#わたしたちの生きたい社会をつくろう 気になるあの人にインタビュー」で扱いきれなかった辻さんのインタビューをより詳しくお届けします。

政治・社会についてもっと知ってみたい!と思った方は、NO YOUTH NO JAPANのInstagramをぜひ覗いてくださいね。

気になるあの人にインタビュー #01 辻愛沙子さん

「社会課題をクリエイティブで解決する」を掲げるクリエイティブディレクターであり、株式会社arca CEOの、辻愛沙子さん。

プロデュースしたタピオカスタンドTapistaの「投票したらタピスタ半額キャンペーン」は大きな話題を集め、また、ジェンダー問題や女性のエンパワメントを掲げるプロジェクト「Ladyknows」の代表も勤められています。

現在はnews zeroの水曜レギュラーとしても活躍され、1月31日から始まるnews zeroの新ネット配信番組「update the world」のコンダクターに抜擢されました。

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辻愛沙子
1995年11月生まれ。東京都出身。
中高時代をイギリス、スイス、アメリカで過ごし、慶応義塾大学在学中からクリエイティブディレクターとして広告代理店に入社。
特にSNSを活用した10代・20代向けのヒット企画を多く手がける。

辻愛沙子さんの生きたい社会は「不均衡のない社会」

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Qズバリ、辻さんの「生きたい・つくりたい社会」はどんな社会ですか?
私が生きたい・つくりたい社会は「不均衡のない社会」です。

不平等は主観によって変わる言葉である一方で、不均衡は客観的に見てバランスがおかしいとか均衡が保たれていない時に使う言葉です。
男性と女性など社会のあらゆるところに不均衡があるのが今の状態だと思うので、不均衡の無い社会を目指しながら仕事をしています。

若い女性たちが「政治や社会は自分たちのテーマだ」と思うきっかけをつくる

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Q.2019年参議院選挙で辻さんが実施されていたタピオカスタンドTapistaの「選挙に行ったらタピオカ半額」キャンペーンは何をきっかけに生まれたのでしょうか?

選挙で投票すればもらえる、「投票証明書」を提示すればタピオカが半額になる企画のことですね!

この企画が生まれたきっかけは、ナイトプールなどの女性向けの仕事をしていた当時(2019年7月)、週刊誌で「タピオカに並ぶバカ女ども」というひどいキャッチでした。
私自身タピオカは好きだけど社会のことも考えるし、投票も行く。若い女性に向けられている偏見を感じ、女性たちが「政治や社会って自分たちのテーマじゃないんだな」と感じさせられている空気感があるんだなと思いました。

そこで、むしろ政治が自分たちのテーマだと感じるキャッチーなきっかけを作れないかなと、「選挙行ったらタピオカ半額」を始めました。

若い人たちが情熱をもって集まる場所だからこそ、できることがあるんじゃないかと思って。

この企画を実施して、渋谷で投票済証をもって行列しているギャルたちを見て、やっぱり(政治が自分たちのテーマだと感じる)きっかけがないだけで、若い人だからとか、女の子だから社会に興味が無いなんてことないと改めて思ったんです。そこから「社会課題をクリエイティブで解決する」を明確に掲げ始めました。

Q.社会課題解決に対して積極的にアクションを起こしている辻さんですが、今の政治・社会についてどう思っていますか?

正直、政治家が国のリーダーであるっていう感覚が持てないなと感じることがあります。

コロナで社会が不安定な中で、社会全体がピリピリしている。どこかで絶対的な正義や答えをみんなが求めてしまっていると思います。
国民が安易な白黒ついた答えを求めてしまう不安定さの中、リーダーの発言には「今どういう状況で、どんな目標に向かって、この未来のためにがんばりましょう」のような先を見越したメッセージと、「これをやってください」という具体的な指示が基本的にセットで必要だと思うんです。

でも今の政府からは「やってください」という漠然とした指示しかない。「あ~また言ってるわ学校の先生」みたいな、国民が関心を持ちにくい言い方に聞こえてしまうんです。
そういう姿を見ていると、政治家が国のリーダーであるっていう感覚が持てないな…と思ってしまいます。

SNSでは知らないって言いづらい。でも、まずは「知らないということを自覚すること」が大事

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Q.辻さんが同世代に政治・社会について伝えたいことは何ですか?

「『知らないということを自覚すること』が大事」という事ですね。

TwitterやInstagramで情報を得ている若者も多いと思うのですが、特にTwitterは知らないと言いづらい空気感がものすごいあるなと思っています。

例えば、政治、環境、ジェンダー…あらゆる社会の問題って、どこかで気付くきっかけがあると思うんです。どれも一見自ら気づいているようでも、誰かがきっかけをつくってくれている。

例えば私がジェンダーに興味を持ちはじめたのは、私がこの年齢で、この性別で、この体格で生まれたから。だからタクシー乗ったときに、ため口で高圧的な態度を取られることに、「私」として生まれたから気付くことができて、違和感をもった。全く別の体格、性別の人だったら、もしかしたらそういう対応をされず、永遠にそういう違和感があることに気付けないかもしれないなと思います。

特に政治ってどこから知ったらいいかわからないし、「炎上しているけど、なんで燃えてるかわかんないな」と思っても、なんでって聞けない空気感があるなと思います。わからなければ黙らざるをえないというか。

でも大人たちみんなもぶっちゃけ政治ってそんなに全員わかっていないし、私も日々学びながらだし、知らないということを自覚することがすごく大事だなと思います。

Q.これから、社会に向けてやりたいことはありますか?

「らしさ」を壊す前例を一個ずつ作っていきたいと思っています。

日本の上場企業の女性役員の割合は今5%。独立する前まで上場企業にいたこともあり、社内の雰囲気はすごくフラットでも、役員には性別の偏りがあるというのを実体験として見ていました。そのパーセンテージを1%でも上げられるように、女性経営者としてしっかり経営していきたいと思っています。
また、ひとつひとつのクリエイティブも、女性らしさとか男性らしさといった「らしさの呪縛」を壊していきたいです。そういったステレオタイプを作ってきたのは広告でもあると思っています。

会社の経営でも、自分のクリエイティブでも、番組での発信でも、「女らしさ」ってこうだよねとか、上場企業の役員って男性のものだよねと思われてきたような「らしさ」を壊す前例を一個ずつ作っていきたいなと思っています。

人はいつからでも気付けるし、学べるし、アップデートし続けられる と伝えたい

Q.news zeroのネット配信番組「Update the world」が始まりますが、辻さんはコンダクターとしてどんな番組にしたいですか?

大人の層の人たちは昔猛烈に仕事をしていて、その時代の正義がきっとあったと思うんです。けど、それが変化しつつある。例えば、飲み会で「恋人いるの?」ってもう聞いちゃダメなのとか。「だめなことばっかじゃん」と今生きづらくなってしまっているのではないかと思います。

でも、息苦しいルールとしてではなく、なんで今の状態にアップデートしてきているのかを考えると、意外と自分自身の学びや生きやすさに繋がる部分はたくさんあるのではないでしょうか。

Update the worldの第一回テーマは「LGBTQ」。なんとなくわかった気でいるものをみんなで知らないところからスタートできるというのを番組で体現できたら良いなと思っています。

人はいつからでも気付けるし、学べるし、アップデートし続けられる
ということを番組全体を通して伝えていけたらいいですね。

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インタビューを終えて(インタビュアー・NYNJ代表 能條桃子)
辻さんにインタビューさせていただいて、「知らなかった」「間違えた」と気軽に口に出せて修正ができる社会はきっともっと居心地が良いだろうなと思いました。そんな社会を実現するためにも、まず、わたしたちから、常識をアップデートし学び続ける姿勢を持ちたいです。

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今回インタビューさせていただいた辻愛沙子さんがコンダクターを務めるnews zeroのネット配信番組Update the worldが、2021年1月31日(日)12:00〜 番組公式Twitterでスタートします。

私たちはとっくに新しい価値観なのに、いつまで社会のアップデート待ちなの?考えよう。そしてアップデートしよう。社会も、私たち自身も。


自分の価値観と、社会の価値観のアップデートの狭間で揺れるわたしたちU30世代。
わたしたちは、どんな社会に生きていて、これからどんな社会をつくっていくのか。
考えるきっかけになるかもしれません。

質問や感想を「#世界をアップデート」でツイートすると、番組内で紹介していただけるようです!


「わたしが生きたい社会」をつくるために、活動しているU30。NO YOUTH NO JAPANでは、今後も同世代が何を考え、どんな風にアプローチしているのか、取材をしていきたいです。


辻愛沙子さん、ありがとうございました!

文=瀧澤千花


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