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NO YOUTH NO JAPAN デザイナー・平山みな美さんインタビュー
NO YOUTH NO JAPANのインスタグラムの大きなこだわりの一つが、分かりやすくなじみやすいデザイン。そこで今回は、NO YOUTH NO JAPANデザイナー・平山みな美さんに、ポスト作成の裏側や投稿では伝えきれなかった想いを語っていただきました。
インタビュアー: NO YOUTH NO JAPAN メンバー 清鈴音・川西めいこ
インタビュイー: NO YOUTH NO JAPAN デザイナー 平山みな美
①6月の雇用・労働ポストについて
清鈴音(以下、清):みな美さん、本日はよろしくお願いいたします!NO YOUTH NO JAPAN(以下、NYNJ)のインスタグラムの投稿のデザインの中で、最近特に印象的だったのが6月の投稿(雇用・労働)のレールのイラストです。一人の人の人生をレールで表すこのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
平山みな美さん(以下、みな美さん):まず初めにインスタ投稿作成担当のメンバーが、内容と一緒に大まかなデザイン案のラフを考えてくれて、私はそのラフをもとにデザインするのですが、そのラフ画の時点ですでに3つのポストにまたがって道があるイメージを描いてくれていました。それはすごく面白いなと思って線を引き始めたんだけれど、単調な波の線みたいでしっくりこなくて(笑)。何かもう少し面白くしたいなと思っていた時に、ブルーノ・マーズの「Just the way you are」という曲のジャケットのデザインを思い出したんです。それをもとに奥行きと影を入れて描いてみたら、これまでにない面白いデザインに仕上がりました。それと、もともとこの線は太い1本線だったのですが、デザインする途中で枝分かれしていく道を増やしました。人生の中で良いことや辛いことなど、いろいろなことが起きるから、人の進む道は多様であるということも見せたかったです。
清:6月の投稿で一番気に入っている投稿はありますか?
みな美さん:6月の中だとやっぱり最後のキャリアのレールを表した投稿が一番デザイン的には面白いことができたかなと思っています。あと、「もしも日本の国民が100人だったら」の投稿は印象に残っています。情報量が多くデザインに苦労したのがその理由。雇われている45.9人の中にパート、アルバイト、派遣、契約社員がそれぞれ何人いて、それと同時に女性と男性が何人っていう振り分けもしないといけなかった。情報をわかりやすくまとめるのが難しくて、完成したデザインも見づらいかなと不安に思っていましたが、結果的に1,400以上のいいねが付いて、全体的に反応が良くて安心しました。
②デザインで『伝える』ということ
清:では、ここからは6月の投稿からは離れて、今までのNYNJのデザインをするうえでのお話をお聞きできればと思います。デザインをするにあたって、見る人目線で何か気をつけていることはありますか?
みな美さん:2019年7月の参議院選挙の頃のデザインの意図と、4万人のフォロワーが常に見てくれている今の状況のデザインの意図は全然違うと思っています。参議院選挙の頃でいうと、本当にただ知られてほしかったから「ポップでわかりやすく、若い人向けに」っていうところを意識していました。でも最近は、表現することって常に政治性があるなと感じていて、そこに配慮しています。特にたくさんの人に見られるようになったからこそ、そういうところを気にするようになってきたと思います。例えばLGBTQの投稿(4月)。
この投稿では、男女をどうしても表現し分けないといけなくて。だけどステレオタイプを植え付けたくないという気持ちもありました。例えば男性は寒色で女性は暖色みたいな表現はなるべくしたくない。でも何も表現の差を付けないと伝わらないから、そこにすごく気を使いました。伝えることはちゃんと伝えて、でも誰も傷つけていないかな、無意識のうちに固定観念をすり込んでいないかな、というところを気をつけているつもりです。
清:すごく奥が深いですね。今投稿を見ておりますが「ハラスメントと働きがい」の投稿についても、黒とグレーで分けられていますね。これもこだわりの一つでしょうか?
みな美さん:そうですね、これはこの中に被害者と加害者という二者がいるというのを瞬時に見分けられるように色を変えています。ただ加害者の方を常に黒くしてしまうのを避けたい気持ちもありました。また、「セクハラ」っていう言葉を聞いた時に、無意識に女性が被害者で男性が加害者ってイメージする人も多いかと思うんですが、女性が加害者になるというパターンもあるから、ステレオタイプを植え付けないように意識してます。
あと、参議院選挙の頃から気をつけていることは、小さな画面で見ている人を置いてけぼりにしないデザインにすること。例えば私のスマホは比較的画面が小さいiPhone SEなので、同じiPhoneSEユーザーのフォロワーさんが見やすい文字の大きさ(最低でも25〜30ポイント)で、表現するようにしてます。
清:譲れないポイントなんですね。ちなみに、これまでのポストにみなみさんの経験をデザインに落とし込んだような投稿はありましたか?
みな美さん:具体的な体験を1つお話すると、学生の頃に貧困で苦労したことがあります。当時の家族の経済状況では高校卒業後そのまま大学に行けなかったので、大学進学を諦めなければいけませんでした。3年くらい自分でダブルワークをしながら貯金をして、夜間部がある美大に入学しました。大学の4年間、お昼の間は働いていましたが、それでも奨学金を借りないと学費が払えないような状態でした。なので、2月の貧困のポストは作成中も全体的に自分のことのように感じていましたし、なるべく伝わってほしいなという気持ちはありましたね。「貧困は自己責任ではないから」というポストは、10年前の自分に向けてつくっているような気がしました。
③飽きさせない仕掛け
清:フォロワーが増えてきた中で、最近特にデザインをするにあたって工夫している事はありますか?
みな美さん:最近はオレンジとミントグリーンっていうテーマカラーやシンプルなアイコンが定着してきたので、そこから一歩先のフォロワーを飽きさせない仕掛けを考えています。いくつかあるんですが、1つは、外部のイラストレーターさんとのコラボをし始めたことです。3月のジェンダー平等の時から、その月のテーマのイラストを描いてもらうという試みを続けてきていて、それによって自分には出来ない表現がNYNJのインスタグラム画面に存在しているのがとてもいいなって思っています。見る側も『あれ?いつもと違う!』といった感じで楽しめるのかなって。
あと、今までは結構シンプルなアイコンしか使ってこなかったんですけど、新型コロナウイルスに関する発信をし始めたころからは、多様な人を表現する時に、少しですが表情や髪型、服装なども表現するようになりました。ここでも自分が表現しているものが見る人にどういうインパクトを与えるか考えています。
NYNJでは結構好きなことをやらせてもらえるので、とてもありがたいです。自分が携わる他の仕事で出来ないようなことを試させてもらえて、フォロワーさんたちの反応を直接見ることができるので勉強になります。
川西:素敵ですね!今後、こんなデザインしてみたい!というのはありますか?
みな美さん:そうですね、もうちょっと情報が少ないやつをやってみたいかな(笑)
最近のものだと、大きく『気軽に政治を話せる時代始めよう』と書いたシンプルな投稿があったんですけど、あんな感じで。常に情報たっぷりじゃなくても、あんな風に一言で表したり、グラフィックで遊んでみたりというポストがあってもいいのかなと最近は考えています。
あと、今後はできれば動画作成もやってみたいです!
【NO YOUTH NO JAPANのグラフィックを支える者として】
NO YOUTH NO JAPANのメディアの中で最も多くの人の目に触れるInstagram。今回のインタビューでは、そのグラフィックを担当している平山みな美さんの価値観に触れる事が出来ました。
ただデザインするのではなく、熟考された内容から創り出されるイラストや言葉があの素敵なポストたちになっていたんですね。
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