神戸からのデジタルヘルスレポート#127(アフリカ)
『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。
今回は全15回で昨年2023年(一部2024年含む)に創業したデジタルヘルススタートアップを取り上げていきます。
今回は4回目です。「アフリカ」をテーマに取り上げていきます。
1. AlloDoc,Inc:AI医療アシスタント
AlloDoc,Incは、AIを用いたスマホでの症状チェック、遠隔医療相談が可能なサービスを開発し、アフリカ向けに提供しています。本サービスについて簡易的ですが紹介している動画がございますので、よろしければ以下ご覧ください(1分以内の短い動画です)
予約なしで昼夜を問わずオンラインで地元の医師に相談できる(24時間年中無休のかつ無料)
収集されたデータは高度なAIによって分析され、予測・診断と治療計画が提案される
診断・治療内容については地元の医師の検証のもと、となっている
現在は英語とフランス語のみのだが、今後複数の言語での利用可となる見込みとのこと(アフリカエリアの言語対応)
以下のLinkedInの投稿によると、ナイジェリアで10,000人以上のユーザーを獲得したそうです。まだ試験段階だそうですが、アフリカ全土のすべての人たちが健康を享受できるよう、拡大を図っていく動きのようです。
ちなみにですが、同サイトのBlogは結構充実しています。糖尿病等の生活習慣病から認知症、マラリア、周産期等…かなり幅広い医療情報について紹介されています。よろしければお手すきの際にご覧ください。ボリュームがあるので、一度で読み込むのは難しいことを覚悟の上で。
2. MyMedikoz:デジタル病歴管理
ウガンダのような多くのアフリカ諸国では医療データシステムが進んでおらず、紙カルテ等の紙ベースでの管理・運用に留まっているそうです。MyMedikozは、そのような患者情報(病歴等)を電子的に統合管理し、AIを活用したモバイルアプリケーションとWebポータルを通じて患者病歴にシームレスにアクセスできるような環境を提供します。
実際、一部の医療機関にしかデジタル管理がなされておらず、紙ベースの医療機関では紙情報が破損したり置き忘れたりといった現状があるようです。このため、医療機関同士での連携もままならず、患者のケアに関する命を救う重要な決定において、病歴にシームレスにアクセスできないという課題が存在しています。これを解消しようという取り組みのひとつが同社のサービスです。
サイト上の”About Us”の箇所までスクロールいただけると、サービス紹介の動画をご覧いただけます。よろしければご覧ください。
利用方法はとてもシンプルで、患者側も医療機関側もモバイルもしくはWebでインストールしアカウント登録するだけ。普及を進めていく中でハードルが低くシンプルなのは大事ですね。
同社の公式YouTubeチャンネルでは、ショート動画のみですが、以下のようなインストール手順の動画がございます。よろしければどうぞ。
紙ベースが主流のため、導入・普及の拡大が急務だと思いますが、デジタル化が進むことで、紙ベースで生じる課題が克服できることが期待されます。日本も医療現場で電子化進んでいないと聞きますので、他人事ではないかもしれません。
3. Stanmed.Ai:新興国のオンデマンドAI医療
Stanmed.Aiは、最先端の AI テクノロジーで患者と医療従事者を支援するためのデジタルソリューション・サービスを開発し提供している企業です。
「新興国の医療を変革する」を掲げ、アフリカのケニアを始めとしてAIベースのプラットフォーム。オンデマンドの健康サポートサービス等を開発しています。
AIを活用した医療診断ツール
医療専門家の診断、治療計画、患者ケアを支援する
AI の力を活用することで、医療全体の成果と効率を向上させ、患者エクスペリエンスと転帰に寄与する
データ駆動型の予測分析ソリューション
医療業界向けに高度な人工知能ソリューションとサービスを提供
診断、患者ケア、管理タスクなどの医療のさまざまな側面を支援できるカスタマイズされたAIシステム
仮想健康アシスタントアプリケーション
医療の基準を高める(医療の質の標準化、向上)
患者と医療従事者の両方の全体的なエクスペリエンスを向上
遠隔患者監視システム
医療専門家が患者のバイタルサインを遠隔監視できる遠隔患者監視システムを導入
入院中だけでなく、退院後のケアを強化
AI を活用した創薬プラットフォーム
アフリカの製薬会社が救命薬の開発を加速できるように構築中
スマートな健康記録管理ソリューション
アフリカの医療機関は患者情報をデジタル化
医療現場における業務を合理化
当該サービスは開発中の段階ですが、今年2024年3月にはケニアの Pope Benedict XVI Hospitalという病院でパイロットプロジェクトが開始されたようです。ケニア、そして将来的にはサハラ以南のアフリカの人々のための統合医療情報システムの開発の重要な足がかりとして、今後の動向が気になるところです。
4. Heyrafiki:アフリカ向けメンタルヘルス
HeyrafikiはAIを搭載したメンタルヘルス・プラットフォームを開発・提供しているケニアの企業です。ユーザーとメンタルヘルス専門家(セラピスト、心理学者など)を結びつけ、パーソナライズされたメンタルヘルス・リソースを提供しています。
開発段階のため、サイト内でも開示されている情報が限定てきですが、イメージとしては、現在欧米や国内でも展開されているオンラインメンタルヘルスサービスのアフリカ版といったものとなります。
特徴としては以下2点
数日ではなく、数分以内にセラピスト等のメンタルヘルスの専門家へアクセスできる
オンラインで相談できるため、自宅にいながら相談や治療を受けることができる
アフリカでは8人に1人が精神障害を抱えているといわれており、精神疾患への偏見から医療アクセスへの障害があるようです。オンラインの遠隔での提供を可能にすることで、少しでも治療できる人を増やしていけたらいいですね。
同サイト上の#Get in Touch”をクリックすると30分のカウンセリングが予約できるようになっています。まずはカウンセリングを予約し、オンラインでのカウンセリングを実施の上で治療計画、提供といった流れとなるそうです。