神戸からのデジタルヘルスレポート #115(メンタルヘルス①)
『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。
今年は年末まで全20回で、昨年2022年に創業したデジタルヘルススタートアップを取り上げていきます。毎週木曜日朝配信予定です!
今回は全20回のうち12回目、テーマは「メンタルヘルス①」を取り上げていきます。
1. Oneleaf:自己催眠音声プログラム
Oneleafは、健康のために個々のライフスタイルに応じて設計された音声による自己催眠プログラムをアプリを通して提供しています。
<サービス内容>
各セッションの所要時間は 20~30分程度で、21日間のプログラム設計となっており、スマホからいつでも音声で開始することができます。 例えば、以下のような健康改善について支援します。
禁煙(21日間で禁煙できるよう瞑想サポート)
ストレス軽減(2分未満の簡易的なストレス診断を行い、ストレス緩和の瞑想をパーソナライズ)
減量(21日間で体重を減らし、以降も継続できるプログラム)
快眠(2分未満の簡易的な診断を行い、数分以内に眠れるようなプログラムを提供)
セルフマネジメント(21日間で再び自分自身を信じられることを学ぶプログラム)
痛みの管理(21日間で痛みに対処する方法を得る)
集中力の向上(精神的に明晰になった状態、集中状態を得るための方法)
同社のアプリはこちらよりダウンロードできるようになっています。
スマホからいつでも好きな時に音声による自己催眠を体験できる本サービスは、Frst、Kima Ventures、Raise Ventures、および数名のビジネスエンジェルから460万ドル (420万ユーロ) を調達することに成功したそうです。同社は、2023年末までに、福利厚生パッケージの一部として企業に提供することを目指しています。
<なぜ自己催眠なのか?>
同社は、「自己催眠は、ストレスや不安の軽減、睡眠の改善、自信とモチベーションの向上、痛みの管理、さらには体重の減少や食習慣の改善など**、人生のさまざまな側面を改善できる強力なツール**である」と述べています。歴史的に、催眠術は、禁煙や恐怖症の克服など、人々の生活に変化をもたらすために何世紀にもわたって使用されてきており、リラクゼーション状態を誘発し、心を集中させることによって機能し、個人が意識的な思考を回避し、無意識の力を利用できる効果的な方法であるとのことです。また、自己催眠は特別な環境や準備物を必要とせず、自身で自宅で快適に行うことができる、ということも、推奨している(採用している)背景のひとつだそうです。
2. Motif Neurotech:低侵襲電子メンタルケアソリューション
Motif Neurotechは、メンタルヘルス用の小型埋め込み型デバイス(精神的健康状態に対する低侵襲電子ソリューション)を設計および開発しています。このサービスでは、組織刺激と診断読み取り用の新しい小型インプラントを用いて、低侵襲の電子治療で神経回路を修復させ、うつ病を改善させることを目的としています。現在、同社はワイヤレス電力およびデータ伝送方法について特許出願中であり、将来的には最小の埋め込み型脳刺激装置を作成し、2024年までに患者に治療を提供することを目指しています。
同社の共同創業者兼CEOであるジェイコブ・ロビンソンがインタビュー形式で、本サービス(低侵襲ニューロテクノロジー)について語っている動画がございます。よろしければご覧ください。
本サービスの関連技術である「ブレインコンピューターインターフェース」について取り上げられた記事内では、ある脳インプラントは、標的を絞った少量の電気刺激によって治療抵抗性うつ病を軽減することに成功した、と紹介されています。
※記事内に紹介されている専門家のひとりは同社の共同創業者兼CEOのジェイコブ・ロビンソン氏まだ発展途上の技術のようですが、この技術がメンタルヘルスのケアにおいて有効および実用化される日はそう遠くないのかもしれません。
同社のサービスではございませんが、類似する技術サービスとして、以下記事のような「人間の髪の毛よりも薄い脳インプラント」の開発も進んでいるそうです。同分野の技術については、より低侵襲性で効果的なテクノロジーの発展が期待できそうです。
3. kunsttell:アート×マインドフルネス
kunsttellは、瞑想テクニックとスローアート鑑賞の科学を組み合わせたSloというアプリを開発し、マインドフルネスを新たなレベルに引き上げるアート×マインドフルネスサービスを提供しています。
創業者は元最大級の美術館のマーケティング責任者を担ってきたダリア・イヴニツキー氏です。彼女は術分野で 7 年以上、日用消費財 (SNICKERS) で 5 年以上の経験を有しており、巷にあふれるマインドフルネス手法にアート要素を加えることで、より効果的になるのではと着想し、芸術について瞑想するアプリを開発しました。わずか1回のセッションで科学的に役立つことが証明されており、新たな瞑想方法として注目を集めています。
アートを鑑賞しながらマインドフルネスを行うという、新たな視点でのメンタルヘルスアプローチは、画期的で面白いですね。
ベルリンのイノベーションスタートアップストーリーで、同社のアプリが紹介されている記事があります。よろしければご覧ください。
4. #1 Mental Health Boutique “Smart Meditation”:スマート瞑想
Smart Meditationは、最先端の脳センシング技術と心理的実践を活用したスマート瞑想を提供しています。世界中から集まった80人の専門家によって4年間かけて開発、研究された本サービスは、数分で深いリラクゼーションと心の平安への道を個人に提供します。サービスについて紹介している動画がございます。よろしければどうぞ。
このスマート瞑想は、最先端の脳センシングツールを利用しており、ユーザーのリラクゼーションのレベルを測定し、実践の効果を追跡するようになっています。ポータブルアクセサリのセットにより、自宅、空港、または忙しい仕事の最中でも、外出先での練習が可能だそうです。本サービスで利用する製品ツールとしては、スマート瞑想アプリから、EEG脳波ヘッドバンド、瞑想マスク、VR瞑想アプリ、といったラインナップがございます。
以下の動画では、同社の最新製品をご覧いただけます。
メンタルヘルス財団によると、英国成人の74%が極度のストレスを感じ、14人に1人が毎日ストレスを感じているとのことです。本サービスは、「メンタルウェルネスに革命を起こす」と期待されています。
5. You:Flourish:LGBTQ+デジタルウェルネスアプリ
You:Flourishは、LGBTQ+ に焦点を当てたデジタルのウェルネスアプリを開発・提供しています。
LGBTQ+ 成人の半分以上が、精神的健康障害または薬物使用障害を抱えて暮らしているそうです。そのため、LGBTQ+ 成人は不安・うつ病・自殺願望を抱く可能性が通常より3倍高くなるといわれています。実際、40%のトランスジェンダーが障害に自殺を図ったことがあるといいます。(以下、参考記事2つを当該企業HPより)
本サービスは、上記のような社会的課題に対し、LGBTQ+ コミュニティに焦点を当てたメンタルヘルスアプリです。コミュニティのメンバーがより充実した生活を送れるよう、精査されたメンタルヘルス専門家を見つけることで、メンタルウェルネスを改善させることを目的としています。
以下の動画では、創業者兼CEOであるスティーブン・ヘイデン氏が、対談形式でYou:Flourishの創業の背景、LGBTQ+コミュニティにおいて起こっているメンタルヘルス危機について語っています。よろしければご覧ください。