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神戸からのデジタルヘルスレポート#138(医療情報の活用・マッチング)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回は全15回で昨年2023年(一部2024年含む)に創業したデジタルヘルススタートアップを取り上げていきます。

今回は15回目・ラストです。「医療情報の活用・マッチング」をテーマに取り上げていきます。


1. VITALTALE:ICD-10を基にしたWeb3プラットフォーム

企業名:VITALTALE
URL:https://launchpad.vitaltale.com/
設立年・所在地:2023年・ロンドン(英国)
直近ラウンド:Corporate Round
調達金額:N/A

VITALTALEは、ICD-10 (疾病及び関連保健問題の国際統計分類の第10版)に基づくセマンティックマークアップ*を使用するWeb 3.0世代のソーシャルプラットフォームを開発・提供している企業です。

*マークアップ(HTMLタグ)によって情報の意味・役割を伝えること

ユーザーに専門的かつ最新の健康情報を提供し、ユーザー同士や医療専門家との交流を可能にします。また、遠隔医療サービスを提供し、共通の関心事を中心に健康コミュニティの形成を促進することができます。
以下の動画で触れられていますが、世界の人口の95%以上が健康上の問題を抱えており、3分の1以上が5つ以上の病気に苦しんでいるそうです。VITALTALEは、ユーザーが自分の健康情報を管理できるようにし、人々の健康問題の解決の質を新たなレベルに引き上げ、健康問題の解決に対する地理的および言語的障壁を取り除き、それによって人々の健康と寿命を改善することを目指しています。

  • DICOM (Digital Imaging and Communications in Medicine) 標準に従って実装

  • 英語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、フランス語、ドイツ語で利用可能

  • VITALTALEユーザーは、医療専門家との遠隔医療相談やプラットフォームのサービスに対してトークンで支払われる* *Arbitrum Oneネットワークに基づくERC20トークン

2023年8月には60,000,000トークン(1,200,000ドル)が配布されています。また、同月にVITALTALEスマート コントラクト*の開発も始まったようで、今後のリリースが楽しみですね。

▼トークン配布の告知

▼スマートコントラクトの開発

2. Medpal AI:医療情報の民主化

企業名:Medpal AI
URL:https://medpal.ai/
設立年・所在地:2923年・ロンドン(英国)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

MedPal AIは、会話型音声 AIを活用し、健康統計データをモニタリングし、医療ガイダンスやパーソナライズされた健康に関する推奨事項を提供します。200を超える人気のウェアラブルアプリやフィットネスアプリのデータを統合し、ユーザーに包括的で実用的な健康情報を提供する設計となっているそうです。個々人の健康を革命することを掲げており、自ら「AI搭載の個人健康コンサルタント」と称しています。

Medpal AIは医学研究が進み新たな発見が生まれると、搭載のLLM (大規模言語モデル) が継続的に知識ベースを更新し、ユーザーに健康管理に関する最先端の洞察を提供できるようにしているそうです。すごいですね。時代遅れの医学、みたいなことが生じているのが防げる。

ミッションの表現にも、同社のユニークな点があります。4つ掲げるミッションのひとつに"Democratizing Healthcare"(ヘルスケアの民主化)をあげており、デジタルプラットフォームを通じてヘルスケアの知識を民主化し、世界中の人々が健康について十分な情報に基づいた決定を下せるように支援することを目指しています。ヘルスケアサービスの知識格差を埋めることに挑戦するというのは、なかなかチャレンジングですね。

出所:https://medpal.ai/

Jason Drummond氏は今年(2024年)1月にダボスで当サービスの発表も行ったそう。まだ詳細リリースがされていないですが、今後の続報が待ちどおしいです。

3. pitch sink:医療機器マッチング

企業名:pitch sink
URL:https://pitchsink.com/
設立年・所在地:2024年・デンバー(米国)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

pitch sinkは医療機器イノベーターと医療の専門家(エリートプロフェッショナル)を繋ぐ人材プラットフォーム・マーケットプレイスを開発および提供している企業です。イノベーターが切望している専門知識やリソース、コミュニティを支援し結びつけることで、アーリーステージのアイデアから市場に通用するソリューションへの転換を促進することを目的としているそうです。

提供サービスは主に以下の3つです。

  • Expert Matching:プロジェクト開発を支援する厳選されたプロフェッショナルのネットワーク

  • Resource Access:総合的なツール、資金調達機会、洞察力により、すべての開発段階をサポート

  • Community Engagement:知識交換、メンターシップ、イノベーションを促進する重要なネットワーキングの機会を促進する活気あるコミュニティ

利用方法は以下の2ステップだそうです。

  1. 仕事やプロジェクトを投稿する(無料で数分以内に投稿できる)

  2. 審査済みの候補者を表示→投稿に適した専門家とマッチング


出所:https://pitchsink.com/

以下の記事によると、今年(2024年)5月1日に本サービスがリリースされたそうです。記事内では、当企業において「整形外科分野のトップクラスの有能なメンバーを含む、独自の医師諮問コンサルティング委員会 (pacc) が設置されている」ことも触れられています。これからどのような化学反応を生み出していくのか、楽しみです。

また、当企業は3月に医師およびクリニックの経済・財務サポートを行うPhysicians First Bancorp, Inc (PFBI) とパートナーシップを結んだことを発表しています。このコラボによって、初期段階のアイデアを市場対応のソリューションに変換すること、そして医師が生み出す収益の一部を獲得できるようにすることで、医師を支援し、medtech 業界を前進させることを目指しているそうです。人とお金の双方から固めていくことで、よりアーリーステージのアイディアの市場の上市を確実にする狙いでしょうか。

4. All my Life:がん副作用予測・食事

企業名:DeaLive
URL:https://allmylife-jp.com/
設立年・所在地:2023年・名古屋(日本)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

DeaLiveは、がん経験者向け治療の副作⽤予測とパーソナル⾷事・栄養サポートサービス「All my Life」を開発している企業です。All my Lifeは、通院での抗がん剤治療中の患者様に対して、がん種、使用抗がん剤、遺伝子特性等を用いて個人デジタルモデルを構築し、そのモデルを用いたシミュレーションから、副作用の発症する時期の予測や、自宅における症状管理および栄養管理等の介入を実施します。治療効率の向上と患者および家族の負担を軽減することで、不安ながん治療期おける自宅での生活の質を改善し、がんと言われても動揺しない世界の実現を目指しているそうです。

当企業および「All my Life」について紹介している動画がございます。12分半ほどの動画ですが、よろしければご覧ください。

サービス主体はアプリによるもの。対象患者はがんステージが低い方を想定しており、仕事を続けながら生活と治療を両立させようとしている人たちを支援しようと考えているそうです。
特徴は以下の3つです。

  • 副作用予測

    • がんの専門家の知見に基づいて副作用とその対策をモデル化

    • んの種類や手術方法から予測される症状を特定し、さらにそこから推奨される対策と個別の対策をピックアップできる

    • 予測できることで、「その時々に必要な情報」や「先回りした栄養対策」の提供が可能になる

  • データに基づく栄養サポート

    • アプリで日々の栄養摂取状況が足りているか、また体調・体重の管理などができる

    • 入力されたデータをもとに、アプリが体調の予測。予測と実際の体調とを比較し実態を把握。

    • 専門家への身体的・心理的なカウンセリングを受けることができる

  • プラットフォームの役割

    • 患者さんとケア提供者をつなぐ機能(がん専門のケア提供者はなかなか見つからない)

    • 保険会社との提携を通じて収益化を図る他、製薬会社や医療機関とのパートナーシップを積極的に模索

    • 患者への直接的な費用負担を軽減しつつ、サービスの品質とアクセシビリティを維持するビジネスモデルを確立

当企業は、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』に採択されている企業のひとつです。 代表の牧原氏は、エンジニアとして、デジタルツインを用いた開発および商品企画を経験し、IT系企業にて新規事業企画領域を担当していた経歴の持ち主だそうです。身内のがん闘病経験から、自宅におけるがん治療期の負担低減に関わるサービスの開発を志し、医師、薬剤師、がん化学療法看護認定看護師、がん病態栄養専門管理栄養士、エンジニアメンバーと共に事業を推進するに至ったそうです。

また、当企業は、革新的な医療技術の実用化を目指すベンチャー企業を支援するプログラム「National Cancer Center(NCC) Venture Incubation Program(エヌシーシーベンチャーインキュベーションプログラム)第III期」にも採択されています。
※このプログラムは、国立研究開発法人国立がん研究センターと東京大学エッジキャピタルパートナーズ、Beyond Next Venturesによるもの。

5. The Wellness Junxion:ウェルネス検索エンジン

企業名:The Wellness Junxion
URL:https://www.thewellnessjunxion.co.in/
設立年・所在地:2023年・バンガロール(インド)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

Wellness Junxionはインド初のウェルネス検索エンジンです。ウェルネス分野向けに特別に開発した革新的なマルチベンダーeコマースプラットフォームとなっています。
あらゆるウェルネスのニーズに対応するオールインワンのハブおよびSaaS機能とAI統合を備えたハイブリッドウェルネスマーケットプレイスを構築しており、当企業の社のプラットフォームは、幅広いウェルネスサービスと製品を統合し、より健康で幸せな生活に必要なものすべてに簡単にアクセスできるよう目指しているそうです。
ウェルネスに関するあらゆるニーズにワンストップ・ソリューションでお応えします、として、自社を"最高のウェルネスコンパニオン"と称しています。使用されている手法は厳格だそうで、世界標準に沿ったものと述べています。情報の安全性・信頼性についても配慮がみられますね。

当企業について紹介している3分超の動画がございます。よろしければご覧ください。

ターゲットとしている顧客層とサービス概要は以下です。
<サービス概要>

  • オーガニック食品やサプリメントからフィットネス機器やセルフケア用品まで、幅広い製品を閲覧できる

  • ヨガ教室、瞑想プログラム、さまざまな分野の専門家とのバーチャルコンサルティングなど、幅広い健康サービスにアクセスできる

  • 詳細な製品の説明、評価、レビューを通じて十分な情報を得た上で決定を下すことができ、パーソナライズされた満足のいくショッピング体験が保証される

<ターゲット顧客層>

  • ウェルネスベンダー

    • ウェルネス製品およびサービスプロバイダーがリーチを拡大し、売上を伸ばす貴重な機会を提供

    • 大規模で多様な顧客基盤を活用したいと考えているベンダーに応え、デジタル市場で成功するための高度な機能とツールを提供

    • カスタマイズ可能なストアフロント、安全な支払いゲートウェイ、在庫管理ツール、包括的な分析などの高度な機能を提供

  • 健康志向の消費者

    • 健康を最優先し、高品質の健康関連製品やサービスを求める個人にサービスを提供

    • 顧客が幅広い健康関連商品を見つけて購入したり、さまざまな健康関連サービスにアクセスしたりできる便利なワンストップの場所

    • 顧客は十分な情報に基づいて決定を下すことができる

    • 健康と健康の分野でパーソナライズされた満足のいくショッピング体験が保証される

当企業のLikedInの投稿では、ウェルネスツーリズムや学生の自殺に関するメンタルヘルスのウェビナーなど、幅広いウェルネス関連のイベントや機会の創出・紹介が見受けられます。

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