DV被害者が”あの件”について語ろうと思います
南青山に児童相談所(正確には”児童相談所や母子生活支援施設、触法少年の一時保護施設が入る4階階建ての複合施設”らしいです)を建設する計画に一部の住民たちが猛反対しているニュース... みなさんもご存知ですよね?
朝の情報番組を流し見していて最初にこのニュースの見出しが出てきた時はてっきり「(DV加害者が施設に押しかける等の)施設の安全性に懸念があるのかしら?」と思ったのですが(そもそもDV被害者を保護する施設はセキュリティの観点から場所は非公開が原則だと思っていたので、今回のように大々的に宣伝して建てても大丈夫なの?と思いました)ニュースを見てみるとそういうことではないようで二重にビックリしました
《青山のブランドイメージを下げる》
《この辺は物価も高いしDVの被害を受けるような貧乏人には来てほしくない...》
というような心の貧しい反対意見が出るわ出るわ、、、
あれ?お金持ちって心に余裕があるんじゃないの!?チャリティーとか慈善事業にも関心があって弱い者の味方なんじゃないの??(あ、それはアメリカのセレブか...)怒号飛び交う区の説明会の映像を見ながら、どうしてこんなに貧困な発想で区の施設建設に反対しているんだろうと怒りを超えて悲しくなってきました
何せ私は、南青山の一部の住民の皆さんが忌み嫌うDV被害者で、今回問題になっているDV被害者保護施設(シェルター)に入所し新しい生活を手に入れた貧乏人だからです
いろいろ言いたいことはありますが、説明会でセレブっぽいオバさんが「あの辺はスーパーも高級でとてもDV被害に遭うような方が貧困層の方々にはとても手が出ない...」ってなことを言っていたので、その辺について当事者としてマジレスしてみたいと思います *南青山に建設される母子生活支援施設が”シェルター”なのかは私にはわかりませんが、DV被害者の体験談として参考にしてください
まず、シェルターに入所するということはDV加害者から逃げている状態ですので原則として施設の外に自由に出ることはできません。よって高級おネギを買い行くことも有名ブランドのお店の前を歩くこともしませんのでご安心!
何よりシェルターは一時避難所です。DV被害者は逃げて一時的に保護されますが、永久的にそこに住むわけではありません。ケースバイケースですが、だいたい2週間くらいでみんな退所して新しい場所で新しい生活をはじめます。お宅の子供の精神に負担をかけるほどの影響があるとは考え難いですし、ようやくDVから抜け出せた精神的・肉体的にも疲れ果ててる状況で外の世界(都心の一等地)に関心なんてございません。早く安全で安らかな日常を取り戻したいだけです。そして施設の職員の皆さんも新しい人生を送れるように最大限に動いてくれます。
【なんだかよく分からないから怖い】
というのも分かります。でも、DVの一時避難場所は悪いところではありません。場所は公開されていませんが、あの街でもこの街でも、今、この時だって暴力から逃げてきて新しい人生を始めてる人たちがいます。そこで何か問題になっていますか?みんなそこにそんな人たちがいるとは分からずに普通に生活しています。母子生活支援施設とはそういう所です。
暴力から逃げるのは物理的にも精神的にも大変負担の大きいことです。(お金もない、相手が追いかけてくるかもしれない、これからどうやって生活していけばいいのか分からない、今までに味わったことのない恐怖と不安が津波のように押し寄せてきます。)DV被害者は多くの場合、人間関係的にも経済的にも孤立して(これはDV加害者が相手をコントロールする為によくやることです)いるので、自分一人の力ではそこから抜け出すことができません。だからこそ、被害者は最後の力を振り絞って他人に助けを求めなければいけないのです。
「今の状況が辛い...」
「逃げたい...」
と言うまでに私もすごく時間がかかりました。そして、自分がDVの被害者だとちゃんと自覚できたのは避難所に入ってからです。(暴力のない生活を送ることで初めて自分の置かれていた状況が異常だったと気付いたのです) 逃げてきた当時と比べると心身ともに元気になりましたが、今でも急に思い出して辛くなることがあるので、まだ完全に普通の生活ができてるとは言い難い状態です。物申したい気持ちでこの記事を書き始めましたが、だんだんと辛くなってきて文章がうまくまとまらなくなってきました。
このニュースでセレブのわがままばかりがフォーカスされるのが悔しいので、この記事でDV被害者の実情が少しでも伝われば幸いです。
折を見てまた自分の体験を記事にできたら、と思っています。乱文失礼しました。