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「若いときの苦労は買ってでもしろ」の解釈
という言葉を、どうやら僕は信奉している。
座右の銘として掲げてもいいくらいに。
なぜこんなにも信じているのか、記憶をたどってみる。
すると、幼い頃から、「遊び呆けず、コツコツと努力した人が、最終的に幸せを手に入れる」という定型を刷り込まれていることに気づく。
『アリとキリギリス』や『三びきのこぶた』という童話であったり、バタフリーよりカイリューの方が強いという原体験による影響が大きいのだと思う。
(バタフリーが若い頃遊び呆けていたとは言っていない。)
また派生して、「努力し続けることが、なによりの才能である」という価値観によるところも大きい。羽生善治、イチロー、金剛雲水の生き様は、確実にこの身に染み込んでいる。
ではどうして、「若いときの苦労は買ってでも」するべきなのか、
改めて今の自分に問い直すと、僕なりの一つの解釈があることに気づく。
それは、「拡大再生産において、投資は早ければ早いほど、最終的なリターンが大きいから」ということである。
「拡大再生産」という言葉を僕なりの理解で説明すると、
持っている資源(=たとえばお金)のすべてを、消費や再生産に費やすよりも、その一部を、生産性を上げるための投資に充てることで、さらに多くの資源を得ることができる、そしてそれを繰り返すことで、得られる資源は雪だるま式に大きくなっていく、というサイクルのこと
となる。
もともとはマルクス経済学の言葉らしいが、この言葉はボードゲームの世界でもよく使われる。僕の好きなドミニオンというボードゲームも、まさに拡大再生産をゲームシステムのコアに持つゲームである。
さて、拡大再生産においては、投資を始めるのが早ければ早いほど、最終的に得られる資源(=ボードゲームにおける勝利点、人生における報酬、あるいは幸せそのもの)は大きくなる。
これと同じようなことを言っているのが、
就活生や社会人1年目がよく言われる(かは定かでないが)、成長角度の話である。成長角度とは、y=ax+bという一次関数における、aの部分、つまり傾きの大きさである。
たとえ同じ原点からスタートしても、aが大きい者と小さい者では、前者の方が成長スピードは早い。しかも、時間が経てば経つほど、両者の差はどんどん開いていく。
だから、早い段階で、いかにaを大きくできるか、がキャリアで成功するための肝であり、人生において幸福を最大化するための肝でもある。
そして、このaを大きくするための営為こそが、「苦労」(=葛藤、試練)であり、それを始めるのは早ければ早いほどいいので、「若いときの」なのである。
これが、今の僕が思う、
「若いときの苦労は買ってでもしろ」の解釈である。
* * *
補足すると、すべての人にとって、このアプローチが幸福を最大化するための最短経路とは限らない。
すでに、自分の幸福度を高い水準で維持できる、かつ継続できるやり方を見つけている人ならば、そのやり方を貫き通せば、おそらくその人はずっと幸せだろう。ワゴンスターの走りのように。
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