010 手ブレとビデオ酔い
ビデオ酔い
「ビデオ酔い」
という言葉をご存じですか?
映像を見ているとまるで船酔いをしたように気持ち悪くなる。
その原因が手ブレだという都市伝説(笑)
実はビデオ酔いの原因はほぼ解明されています。
1.視聴者の意図と違うカメラワーク
2.ふにゃふにゃ動き
3.カメラが被写体の動きに追い付かない
4.水平が取れていない
5.構図が悪い
追加で最近出てきたのが
6.オートフォーカスが追い付かない
なんか、これだけで3週分くらいいきそうな・・・
その前に・・・
手ブレという文言
電子シャッター同様、手ブレも写真と混同してよく間違ってしまう部分です。
さらに、ブレないのがプロっぽい映像と思われているようで難儀です。
例えば、ニュース映像の街角インタビュー。
気が付きにくいのですが実はかなりブレています。
※担ぎタイプのカメラの場合(最近あまり無いかぁ・・・)
試しに「ブレてるかもぉ」と思うTV画面の四隅に注目してみてください。
あら不思議、かなりブレていることが見て取れます。
でも、そんなイジワルな見方じゃない限りブレているとは感じないはずです。
カメラマンは「ブレを感じさせない方法」で撮っています。
この表のように、ブレは被写体の大きさと動きと速度に左右されます。
すなわち、被写体の動きの種類によって、また、カメラワークを伴うかによります。
さらに心理が加わります。
ここにレンズの広角/望遠の要素は無く、広角だからブレにくいのは写真だけの話です。
動き回る子ども
例えば、動き回る子どもを撮るとき。
1.離れたところから風景的に広角で撮影
2.ぶつかるくらい近くで子どもを画面いっぱいに撮影
この場合、
1は動いてはいけない風景すなわち地面や家や木でブレが目立ち、
2はそもそも子どもが動いているし、カメラもガンガン動いているからブレなんて全く感じないわけです。
もちろん、子どもでもスヤスヤ眠っていればブレが目立ちます。
実際にブレが最も目立つのは、風景や静物を撮っているときで、「動いてはいけないものが動く(ブレる)」ため、生理的にブレを大きく感じてしまいます。
走っている子供を追いかけているときや表情のアップなどでは比較的目立たず、全身を撮っている場合は動いてはいけない背景によってブレを目立たせてしまいます。
参考映像:動いていればOK
私自身激しく動き回ってますが、それほど手ブレがイヤな印象になっていないと思います。
被写体が上下左右に動くもの(人や動物)か、動かない(一定の動きしかしない電車なども含む)ものか、そして、画面の中で動く被写体の占める割合がどれくらいかということが大きな要因です。
手ブレがビデオ酔い?
では、手ブレの影響を基準に考えてみましょう。
俗に「ビデオ酔い」などと表現され、「手ブレの多い映像は酔っちゃう」という話を聞きますが、これは大きな勘違い。
ビデオ酔いと手ブレ、振り回し(パン・ズーム)がごっちゃになってビデオ酔いをしないように「パンはゆっくり」なんておバカな考え方をしていることさえあります。
カメラワーク
「画面の4辺は常に一定方向に同じスピードで動かなければならない」
という大原則があります(動き出しと止まる前を除く、別項詳述)。
これに反するとビデオ酔いを起こします。
手ブレという範ちゅうでは視聴者はカメラワークとはとらえないのでビデオ酔いはおこしません。
視聴者が「パンニングかな?」と(無意識に)感じる前にすばやく戻ってしまうという状態を繰り返しているので、ビデオ酔いは起こりません。
カメラの動き
トラックショットのようにカメラ自体が動くことによってブレが吸収されている場合です。
ここには2つの要因があります。
まず、カメラを動かす側の問題で、人間ですから、右方向に動かそうとすれば途中から左へ戻ることはありません。
参考動画の「ひめさゆりクラブ」は戻っているのではなくシーンとして完結した後に動きが代わっているのでカメラワークとして戻ってるのではありません為念。
心理的な問題
表にはありませんが、心理的なものも考慮します。
例えば、厳冬期の吹雪や激しいお祭り撮影などで、カメラブレが臨場感を増し、迫力のある映像になっている場合もあります。
「ブレ以上にインパクトがあればイイのだ!」という考え方です。
ブレを目立たせない
物理的な手ブレより、映像的、心理的に「目立つ」か「目立たない」(ごまかせる)かを基準に考えます。
1.上下左右に動く被写体が画面内を占める割合を大
2.動きを速く大きく
3.カメラの動きで手ブレを打ち消す
4.心理的な影響
臨場感、超望遠も許容範囲に収まることがあります。
「超望遠なので!」というお許し下さいモードです。
カメラマンとしてはどうかと思いますが・・・
徹底的にブレさせない参考映像を入れておきます。
最後までお読みくださりありがとうございます。