008 カメラワーク
バレない
伝える映像として外せないのがポジションとアングルです。
最初に結論を書くと
「カメラワークがバレないように情報を視聴者に正確に伝える」
という映像の大原則があります。
憲法みたいなものかな(笑)
視聴者を映像に引きずり込む技術でもあります。
さて、テレビと映画(ドラマ)の大きな違いは何でしょう?
制作側からすれば、
テレビは公の情報を伝える媒体。
映画(ドラマ)は作り手の思いを伝える媒体。
と言えるかもしれませんが、ここでは視聴者の立場で考えます。
視聴者側からすれば、
テレビ:客観的に楽しむもの
映画:(あたかも自分が主人公になったように)主観的に楽しむもの
と定義しても良いと思っています。
原則的なことですが。
000Prologueで2つの太陽を示しました。
例えば「耳に触れると眼球がズームする人」はこの世にいません。
だから映画では(視聴者が自然に映画に入り込むために)ズームを使えないことになります。
すなわち日常生活でおこらないことはしない。
ところが、どうしてもズームしなければならない時に意図を持ってあえて使うことがあります。
特にVP(ビデオパッケージ=企業や商品の宣伝・説明など)では「これでもか」というくらい使います。
だからこそ、そこに意思・伝えたい事が乗っかるわけです。
もちろんバレにくいカメラワークをします。
ここは長くなるので別項詳述します。
カメラワーク
視聴者にバレなければ使っても良いという論理も成り立ちます。
CMでは視聴者にバレないようなカメラワークをあえて使います。
バレないカメラワークはある意味「動画」という表現をしても面白いと思います。
ここも別項詳述しましょう。
まず、人物撮影のカメラワークを書いておきます。
知っているようで知らないことの代表格みたいな話。
ポジション
高さ
ハイポジション:ロングショット、広がりや全体像など、プロローグ/エピローグにも良く使われます。
目高(めだか):被写体の目の高さで水平なショットはカットの9割を占めます。
ロウポジション:変わった視点や子どもの目線など。ほとんど使わない。
水平角度
前方:訴え、単調、平板なイメージ、無難な角度でもある
斜め前:立体感のある無難な角度
側方:やや無関心感もあるが強い意思などを表現する場合も
後方:排他的、拒絶、別れ、終わり
と考えていただいてOKです。
どちらかというとこれは前後のカットやストーリーに左右される問題で方向より次の距離に頭を使うかもしれません。
別項詳述しますが、照明のほうが意思は伝えやすいかも。
カメラ位置を照明の位置とするととても面白い。
距離
根本的な考え方は臨機応変、ケースバイケース。
ここで「背景の見せ方」「焦点距離(広角/望遠)」「被写界深度」がベースになりますが、それ以前に話の流れや前後のカットの「構図の方向性」がより重要です。
映像は複数カットを組み合わせます。
カメラマンは「前後のカットが構図的につながる」画作りをします。
そのための最重要ポイントなので別項詳述します。
再び、バレない
今回のキーワードは「バレない」です。
視聴者が「随分下からあおってるね~」などと分かるようでは構図もへったくれもありません。
そこでいちばん間違い易い「アングル」です。
アングル
分かりやすい例では図の×印の撮り方です。
私はこれをビケツショット(鼻穴ショット)と呼んでいます。
インタビューなどで背景が天井になる、テレビで良~く見るアレです。
20度以上はかなり異常で、相応の理由付けが必要です。
「面倒だから背景を天井にする」は当然理由にはなりません。
というところで本題に。
俯瞰とあおり
ぶっちゃけ、ほとんどの女性は俯瞰(ふかん)が正解。
正解の意味は分かりますよね(笑)
これって今流行りのセクハラかなぁ・・・
まっ、イイかぁ・・・
俯瞰は被写体を
1.小さく
2.弱く
見せる効果があります。
従って視聴者としては「カワイイ」「守ってあげたい」。
逆にあおりは
1.大きく
2.自信、威圧、恐怖を
見せる効果があります。
目高(めだか)はあらゆる場面に使える万能アングル。
大きくも小さくも、強くも弱くもOKです。
どっちが良いか分からなければ目高です。
俯瞰・あおりは理由を説明できる場合のみと考えていただいてOK。
この感覚は公園で泣いている子どもの横で
1.大人が立っている・・・叱られてる
2.大人が座っている・・・慰めている
と捉えられることと似ています。
サラリーマンの平社員(俯瞰)、課長(目高)、部長(あおり)への出世ドラマ。
ここで最大のポイントは視聴者にバレない角度です。
図の紫/青/緑の角度がギリギリの線。
これ以上の角度を持たせると視聴者にバレます。
とにかくカットの9割は「水平・目高」と思っていただいてOK。
基本は「目高」
仰角/俯角は最小限。
迷うなら目高。
今回、だからどうした?的な話でしたが、スタッフで会話をする際に必要なのであえて基本的なことを書いておきました。
次回は全ての基本、人物ショットです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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