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001「画面いっぱい」に

構図

(ご注意)四角形の構図です、丸やハートなどの変形画面等にはあてはまりません。

20世紀(歴史の話か!)終わり頃、テレビが4:3からワイドテレビの16:9にアスペクト比(縦横比)が変更になりました。
この時、横長対応へのカメラマン研修や教科書っぽいものは世に出ませんでした。

何ゆえ?

構図の大原則

最近はフィルム写真がチョットしたブームとも言えるのかな?
そのフィルムは3:2、SNSは正方形?、コンデジは4:3、テレビは16:9・・・
アスペクト比がどうであろうとも

あなたの見せたいモノを画面いっぱいに

(あたたが見せたくないモノは画面の外へ)

です。
実は構図の原則ってこれだけです。
そして、このために典型的なルールが作られています。

動画に入る前に写真を考えてみる

ワイドだろうが正方形だろうが与えられた画面に見せたいモノをルールに則ってぶち込むだけの作業である。
と切り捨てる訳にもいかないので、もう一つ加えます。

見せたいモノの配置、大きさ、色、明るさなど = タイトル(説明文)

肉眼で見て「こういう理由でこれをこう撮りたい」と説明する文章がタイトル。
タイトルに従ってレンズ等を決めてシャッターを切る、これが写真を撮ること。
すなわち、タイトルが決まらなければシャッターは切れない!
トリミングはタイトルが変ってしまうのでルール違反なのだ!
 ※テレビはトリミングしないので関係ない
ちなみに私は写真の生徒にはトリミングしないことを前提に撮るよう指導します。
これは、本来TVカメラマンだからでも勉強云々でもなく、
タイトルを決める ~ シャッターを切る ~ 手ごたえを感じる・・・感動、喜び
だから。
トリミング前提で撮る場合を除き「広く撮っておけばトリミングで何とかなる」というのは写真を撮る楽しさを捨てていることだからです。

換言すると、見せたいモノには「空間」も含まれるってこと。
横顔なら、顔側と後頭部側のどちらに広い空間を持つかで逆のタイトルになります。
 ※映像では「空間そのもの」が番組の本質に関わる大きな意味さえ持ちます。

もう少し写真の話を続けます

世の中にはクスッとしてしまう、三角だの3分割だの黄金分割だのが氾濫していますが、後から書く「重心」を除いて忘れていただいてOKです。

黄金比

ただ、黄金比についてはチョット書いておきます。
めっぽう数字に弱い私でもこの奇跡の数字だけは忘れられないからです。

線分ABをある点Pで分割する比率が
AP:PB=AB:AP
数字で書けば
1:0.6180339887… = 1.6180339887:1
になることを黄金比と言います。
これは紀元前5世紀のギリシャで発見された神聖比例。
小数点以下が全て同じというミラクルミステリー!
計算式は分子の「ルート5」と「1」の間が+かーかの違いだけです。

+と-、1と0の違いしかありません!
これは数字の羅列としてとても美しいと思いませんか?

ある企業の機械設計の方のインタビューで「美しい機械は正しい」とおっしゃっていましたが、まさにそこ、正しいモノは美しいのだ。

「数学の話だけど、6:4ってそれっぽいし、構図の理論に使っちゃおう!」と思いついた方がいたようで・・・
水平線は下から4割の位置に・・・とかなんとか・・・
決してダメとは言いませんが、残念ながら
「美しい絵の中に黄金比が見えることはあるが、黄金比で描かれた絵が美しいわけではない」
というのが現代美学の常識です。

画の重心

消滅しそうな記憶の中ですが、これを中学の美術で習いました。
美術の教科書に載ってた!といろんな人に言ってますがいまだに賛同無し(涙)

4つの重心

対角線(赤)に各頂点から垂線(緑)を引く。
すると紫丸印で示すA~Dの4つのが交点ができます。
これが「画の重心」。
正方形は重心と中心が同所で1つです。

この重心にポイントとなるモノを配置すると画面を広く使えます。
また、ABやCDを結ぶ線を水平線などにすることも考慮にあたいします。
ただし、例えば花が2つの場合、A-BやA-Cと並べないことは覚えておいてください(別項で書きますが、キーとなるモノを結んだ線は辺とクロスしなければならないという画面いっぱいルールに抵触してしまうからです)。
数学的に「構図を表現」できるルールはこの一択です。
もちろん、何が何でも重心に配置するわけではなく構図に悩んだらこの理論を思い出してみるのも一手!くらいの緩~い話です。
自分自身の過去写真を見返してもこのルールに則った写真はほとんどありません(笑)
とりあえず、掛け軸を考えれば、6:4で分ける黄金分割がいかに無意味か、そして重心の必要性がご理解いただけるかもしれません。

結局、
「自分の欲しいモノを画面いっぱい」
するための手法が構図のルールです。

もひとつ。
正方形の重心は中心です。
従って、忌み嫌われる「日の丸構図」が正方形の場合に限り正解です。
例として、家紋がこれに該当します。
正方形はシンメトリック(対称)なデザインも含めとても重要なルールなので別項で詳説します。

構図は「ルールあってなきもの」です。
唯一「タイトル」が構図ルールの不動の頂点に君臨しています。
タイトルと言っても映画や写真のタイトルはズバリではなく内容を連想できるようなおしゃれな言葉が理想です。

例えば、
写真のタイトル
「春風」
構図を決めるためのタイトル
「都会の中心ながら浜離宮に満開の菜の花畑。上半分は汐留ビル群、下半分は菜の花。やや俯瞰で広大な菜の花畑の奥行を見せる・・・」
という説明文です。
このタイトルを元に場所を決め撮影するので再生して確認する必要はありません。

一般的にこの写真は上下2分割で「良くない構図」に含まれるんだろうなぁ・・・

「春風」(浜離宮恩賜庭園)

映像だと「前後のカットをつなぐために不必要だけど欲しい画」みたいなタイトルが頻繁に登場し、事をより複雑にします。
このつなぎの画を理解し撮れるようになるとそろそろ1人前と言われます。
その前にもう少し写真を基本に考えていきましょう。
タイトルのための「ケツ」をキーワードに次回はもう少し突っ込んで考えます。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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