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デジタルマーケティングの就職は売り手市場なのか?

第一回に「猿でもわかるデジタルマーケティング」でデジタルマーケティングの基礎知識を、第二回に「デジタルマーケティングを己の武器にするために」でデジタルマーケティングの勉強方法や資格などについてお話しをしてきたが、今回は、「デジタルマーケティングの就職」について話しをしていこうと思う。

デジタルマーケティング業界の将来性

リモートワークなどの非対面化ニーズが起こる前から、デジタルマーケティング業界は伸び続けていたが、デジタル化ニーズが一気に顕在化したことで、企業のオンライン化が急激に進んで、さらに注目されている。

デジタルマーケティング業界の将来性を話す上で、デジタル市場というものを考える必要がある。非対面化により、リアルマーケットそのものが縮小しているにも関わらず、DX(デジタルトランスフォーメーション)の分野に投資が行われているため、デジタル市場は全体的に、中でもデジタル広告市場が特に伸びている。

市場の成長に対して、デジタルマーケティング業界への人材供給はまったく足りていない。これはもともと、デジタル市場で活躍するITエンジニアや広告・メディアパーソンを含め、デジタルマーケティングにナレッジを持つ人材が少ないということに起因している。優秀な人材の確保は、企業間で奪い合いになっている状況である。少子化ということもあり、そもそもデジタルネイティブと呼ばれる若者の数が少ない傾向にあることや、低金利の影響で、投資先としてデジタル市場が選ばれ、資金が多く出回っていることも関係している。需要と供給のバランスから、それほど実力がない人でも、そこそこの給料がもらえている。デジタル市場が伸びているという証拠だ。

現在、デジタルマーケティング業界に起きていることが、かつて、ソーシャルゲーム(ソシャゲ)でも同じようにあった。2007年のソシャゲ創成期にも、ゲームをしたことのないような人が大量にソシャゲ業界に入ってきた時代があった。今のデジタルマーケティング業界の状況が重なって見える。

DXへの投資が行われ、ZOZO TOWNやAmzonなどの通販会社が急成長し、企業のオンライン化ニーズもまた一気に進み、デジタルマーケティングの人材育成が急務となっている。

デジタル業界は大きく2つのカテゴリーの企業に分かれていている。NECや富士通、IBMのようなシステムを開発するBtoB向けに製品を販売する会社と、Amzonやメルカリに代表されるようなBtoC向け、一般コンシューマー向けにウェブサービスを提供する会社に分かれる。

ただ、Amzonは、AWS(アマゾン ウェブ サービス)と呼ばれる、安全なクラウドサービスを提供していたりもしており、AWSはAmzonの利益にコンシューマーサービス以上のインパクトを生み出している部門であったりもする。BtoC向けの通販会社を運営することでセキュリティレベルの高いサーバーを構築してきた結果、現在は、BtoB向けにサーバーを提供して、利益を上げている。

スマートフォンの持ち歩きが一般的になり、個人もクラウド上で情報を管理するようになってきているため、一人一人の行動までもデジタル化されるようになってきた。そのデジタル化された情報の整理ができるデジタルマーケターの需要も増している。このようなIT業界の流れの中で、元々SIer(エスアイヤー)と呼ばれる、システム開発、つまり箱を作ることに専念してきた、いわゆるIT土方もデジタルマーケティングというものを意識するようになってきた。その影響からもデジタルマーケティングができる人材へのニーズはBtoC企業、BtoB企業を問わず広がっている。

かつて、デジタルというと社内で保管するデータという扱いであったが、クラウド化が進んできたことで、データが広く流通されることになった。リモートワークの普及で企業にとってオンライン上にデータがあることの重要性が高まり、セキュリティ面などの懸念で二の足を踏んでいた企業でも一気にクラウド化が進んだ。このことによって、デジタルマーケティングを行う上での技術的な環境が整ってきたことも後押しとなって、会社に行かなくても仕事ができるようになり、個人の行動やビジネスログがデータ化される機会が爆発的に増えてきている。このような時代の流れから、デジタルマーケティングというものはより重要性を増し、その人材の必要性が高まっている。

デジタルマーケティングの企業について

デジタルマーケティングの企業に就職をしたいと考えるにあたって、大手はどんな企業があって、中小はどのようなことをしている企業があるのだろうか。

大手のネット企業と呼ばれる、コンシューマー向けのサービスを提供するサイバーエージェントAbemaTV、Dena、楽天が思い浮かぶだろう。沢山のサービスがCMなどで周知されているので想像しやすいだろう。ネットサービスのマーケティングには当然のようにデジタルマーケティングを用いる。

また、電通や博報堂に代表される広告代理店も近年は、デジタル広告市場の伸びを受けて、デジタルマーケティングを積極的に扱っている。

デジタルマーケティング業界では名の知れている企業であっても、一般的には知られていない企業もある。中小企業やベンチャーでは、クラウドツールを販売する「SaaS」(Software as a Service)企業などが業績を伸ばしている。このようなツールそのものがデジタルマーケティングを実現するものであるのだが、知名度や技術的、ビジネス理解への難易度からあまりピンとこない人も多いかもしれない。

また、Salesforce.comに代表されるイノベーティブな外資系のデジタルマーケティングの企業も数多く存在する。日本という枠だけではなく、世界的なトレンドであるDX企業に注目してみるのも良いだろう。ただし、マーケティングという観点ではローカライズ(国への対応)が重要なので、日系企業の方がとっつきやすいかもしれない。

デジタルマーケティングの就職先を選ぶ時、大手になると分業制になり、デジタルマーケティング全体を把握することは難しいことは知っておくべきだ。大手に就職した場合には、その分野でのスペシャルストになったら、転職して次なる高みを目指すのが良いだろう。IT系は転職が早いので2-3年で転職もしくは社内でもキャリアチェンジに挑戦しないとキャリアトレンドから脱落するという危険性もある。

ウェブサービスの会社でベンチャー企業になると、そもそもの人員不足から分業体制がとられていないことが多く、否が応でもデジタルマーケティング全体に携わることも多くなる。デジタルマーケターとしての実力を早く身につけたい人は、ハードワークやキャリア上でのハンデを承知でチャレンジしてみるのも良いだろう。やりがいのある仕事が待っているかもしれない。

一方で、デジタルマーケティングの企業ランキングを見てみると、上位の多くが広告代理店や代理関連業になっている。広告宣伝費にかける額が多いことを物語っているのだろう。キャリアの入りとしてはわかりやすいが、人気が高く激戦になっていることが多い。一方、BtoB対象のSaas企業は知名度が低いケースが多く採用ハードルが低いこともあるので、特に未経験の方は、業界情報をチェックして選択肢に入れてみるのも良いだろう。

デジタルマーケティング企業の年収について

デジタルマーケティングの業界は、就職ということになると、実は思ったほど高くはない。もちろん、他の業界に比べると年収は高くはなるが、大手の商社、金融、不動産に比べると、そのポテンシャルに対してはまだまだ低いと考えている。これはデジタルマーケティング企業の多くが広告やメディアを扱っている企業なので、はっきり言って難易度が低い仕事に携わっているレベルの低い業界人が数多くいることに起因しているのだろう。

デジタルマーケティングをこれからやってみたいという方には、就職してから5年が勝負と言っている。5年を目処に転職、もしくは管理職への昇進ができないと、その後の年収は上がり辛くなる。

実際に年収を見てみると、プレーヤーとしてだと40歳で年収700万円というのがおおよその天井と思っておいた方が良いだろう。参入障壁が低く歩合制ではないということもあり年収は上がりにくい。サラリーマンとして、デジタルマーケティングに携わるには、年収的にはあまり旨味はない。

もっと稼いでいきたいと思うのであれば、実力を磨いて独立をするという選択肢になるだろう。ただし、企業で務めていたときに、年収の3倍を自分の力で稼げていなければ、独立は厳しく、出来ても長く続かないということも頭の片隅に入れておくと良いだろう。

デジタルマーケティングの企業への就職メリット

DXの流れから、ネット企業でなくても、今後デジタルマーケティングを取り入れていかなければならないことは間違いない。そのため、企業はデジタルマーケティング人材を確保しなければならない。例えば、大手事業会社では、デジタル領域関連ポジションが多く新設されているが、まだまだ十分に人材確保がされていない。デジタルマーケティングポジションでも大手から大手への転職が王道ではあるが、人材不足から、より格上の企業に転職をするチャンスも多くなるだろう。

就職という方法を取らなくても、ウェブサービスを自作したり、そこで販売したりすることによって、デジタルマーケティングを身に着けて、デジタルマーケターとして独立をすることはできる。重要なのは、営業力があるかないかだ。企業に勤めていて、お客さんを連れて独立をしても、営業力がなく商流を失い、3年程度で、企業に戻る人も沢山いる。ただ、失敗を恐れずにチャレンジするべきだ。特に若ければやり直すチャンスはいくらでもある。企業にしがみついて安い年収でこき使われ、アップサイドも見込まれず泣く泣く独立せざるを得ない状況に追い込まれている人も多く見ている。思い立ったらすぐ行動だ。

デジタルマーケティング企業の就活

デジタルマーケティングの大手企業は、ほとんどが新卒一括採用である。他業界と同じく、大手企業に就職をしたいという方は、新卒枠で就活をすると良いだろう。

ベンチャー企業などの中小企業に関しては、新卒採用ができないということもあり、転職組を狙うことになる。

できれば、大手企業に就職をして、ある大手ネット企業で働いていたという肩書で転職をするとスムーズである。大手企業から転職をして年収を上げて、その後に独立、もしくは更に事業会社に転職をるというのがゴールデンコースだ。

KOBUSHI BEER LOUNGE & BARの取り組み

KOBUSHI BEER LOUNGE & BARでは、定期的な勉強会などを開催している。その勉強会には、デジタルマーケティング業界に長く携わっている人も入れば、デジタルマーケティングをこれから勉強したいという人もいる。

デジタルマーケティングが、人と人を結びつけて新たなビジネスも生まれている。デジタルマーケティングの業界に飛び込んでみたいという方は、ぜひとも、KOBUSHI BEER LOUNGE & BARの勉強会に参加してはいかがだろうか。

デジタルマーケティングを磨いて人生のステップアップをしよう!

デジタルマーケティングの就職について、将来性や企業、就活、年収、転職についてお話しをしてきた。デジタルマーケティングは、現在、創世記ということもあり、需要が供給を上回っている状況である。そのため、売り手市場になっている。

ただし、前述のとおり、企業勤めである以上、他業界と同じくプレーヤーとしての評価は40歳あたりには天井を迎える。人材流動がこれからもポジティングに捉えられる業界なので実力を磨きつつ転職をうまく取り入れることでの人生のステップアップを考えることが重要だ。

営業力のある人は、独立をして自分の力を試してみるのも良いだろう。独立に失敗したとしても、若いうちはまだまだチャンスがたくさんあるはずだ。今後益々、成長が見込めるデジタルマーケティングのスキルを磨いて人生のステップアップをしよう。


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