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「大好き」星街すいせい『Newton』への解釈

 お世話になっております。かまたけと申します。私のnoteでは主にホロライブに関する楽曲・MVへの個人的な解釈や感想を中心に投稿しています。今回の解釈投稿は星街すいせいさんの『Newton』になります。星街すいせいさん(以下すいちゃん)と言えば初となるライブツアーHoshimachi Suisei Live Tour 2024 Spectra of Novaの開催が先日決定しました。私も1公演申し込みましたが、幸運にも当選の機会をいただけまして、ありがたい限りです。『ビビデバ』ももうすぐ1億回再生を突破しそうな勢いですし、VSingerとして新しい道を切り開いている人物の1人でもあります。テレビ出演の機会も増えていますし、ワンちゃん紅白歌合戦にも出演か…?そんな勢いのある星街すいせいの1曲『Newton』について見ていきます。



『Newton』について

2ndアルバム『Specter』を締めるハッピーエンドな楽曲

 『Newton』ですが、2ndアルバム『Specter』の最後に収録されている曲になります。インタビュー(リンク貼ってます)によると全体的にロックな楽曲が多く、中にはダークな印象を受ける楽曲もあるけれど、「最後はハッピーエンドで!」と思って手掛けた楽曲のようです。アルバムの楽曲にストーリー性があるのが良いですよね。そしてこの楽曲の作詞・作曲者であるじんさんが手掛けた『カゲロープロジェクト』にすいちゃんは熱狂的にハマっていた時期があるようで、憧れの人に作曲していただいた大切な楽曲でもあります。1stアルバム『Still Still Stellar』とはまた一味違った楽曲が詰まった2ndアルバム『Specter』の最後を飾った『Newton』。その歌詞についての解釈していきます。それではよろしくお願いいたします。

歌:星街すいせい
作詞・作曲・編曲:JIN・JIN・JIN
アルバム『Specter』11曲目にて収録


葛藤の先で伝えたい「愛」

矛盾を音楽で

冷え切った太陽に 見放されて
ずっと 縛り付けられている 星の上

逆らったメッセージが 流れ出して
落ちて 凍った街の上 砕けていく

 「冷え切った太陽」や「逆らったメッセージ」などいきなり解釈が難しい言葉が出てきました。ただここらの歌詞は負の感情を言葉にしていることがまず感じ取れます。ただの太陽ではなく、冷え切った太陽に見放されているため、救いもないほどに孤独な状態であるのかなと思いました。逆らったメッセージは元のメッセージがいわゆる「アンチのひと言」で、飲み込もうとしてもそれが逆らって流れ出してくる。やがて冷え切った孤独の凍った街(すいちゃんの心?)に落ちて心が砕けてしまう。そんな解釈をしてみました。ホロライブという事務所に所属し、大勢の仲間に囲まれていても、配信の時は1人。ファンと接することもあれば、心無いひと言をぶつけてくる人と関わってしまうこともある。その際に生じる悩みは「自分1人だけのモノ」という意味でこのような冷え切った歌詞が生まれたのかなと思いました。

きっと誰も ただ独りで
口を噤みながら 笑いながら 泣いているんだ

 「笑いながら泣いている」という歌詞。ひと言で矛盾していることが分かりますが、これが『Newton』の歌詞で表されている醍醐味だと思いました。この辺りは後ほど書いていきます。大勢の仲間に囲まれているのだけれど、「自分にしか分からないだろうと思う悩み」があるから「誰もが独り」という言葉が出てくる。そんな孤独な悩みに対して口を噤みながら、笑いながら、泣いている様子。口を噤むは「我慢している様子や言いたい事が言えない様子」でだけど「ファンや周りの人を心配させないよう」に笑いながら、そして時に「悩みに押しつぶされて泣いてしまう」こともありながら生きていく。笑う・泣くは矛盾した言葉ですが、すいちゃんの日々の葛藤が少し垣間見える歌詞だと思いました。

「これじゃない」「愛してる」
「大嫌い」「大好き」
痛く、重いくらいの 想いが溢れる

 「痛く、重いくらいの想いが溢れる」はもちろんVSingerとして活動を通して考えることでもあると思いますし、VTuberとしての活動全体を通しても言えることなのかなと思いました。何に対して大嫌いや大好きを伝えているかは人それぞれ解釈があると思います。活動全体のことで言えば「誰かのひと言で傷つく」と何もかも「大嫌い」と考えてしまう。けれど、ファンの暖かい言葉や自身の活動のことでファンを喜ばせられる発表ができる時は「やっぱりこの活動が、ファンが大好きだな」と考えることもある。そんな重力の中のふわふわとした矛盾や落差の気持ちをを音楽にして表した楽曲が『Newton』だと私は考えています。

今日も矛盾して 冴えていく
この感情は 音の中で初めて 惹かれ合うんだね
歌の中で初めて 響きだすんだね

 矛盾の話は先ほどした通りで「大嫌い」と「大好き」の繰り返しの話になります。そしてそれに気づくことが「冴える」という言葉になっている。この感情を音楽に落とし込むことで初めて誰かと繋がれる、惹かれ合うというメッセージを感じます。実際にインタビューでもネガティブなの感情をエンタメに消化できればという話も出ていたので、まさにその気持ちが今回の『Newton』に反映されていると思います。

振り回されて、自分で選んで

冷え切った体温と 並んだ無表情に
臆病になっていた 街の上

 活動の中で辛い気持ちになっている星街すいせいを表しているのでしょうか。「臆病になっていた」という気持ちはすいちゃん目線で恐らく語られていますが、冷え切った体温と無表情の話は自分目線でも他人目線でも語れると思います。他人視点の場合、無表情な人間に見つめられている、これは配信のコメントやネットの書き込みのことを表していると考えました。文字で言いたいことは伝わるけれど、表情が分からない・気持ちまでは分からない。だから生命を感じられない「冷え切った体温」と表情が分からない「無表情」という言葉を用いたのかなと。自分目線(すいちゃん視点)で考えると純粋に落ち込んでいる状態と取れます。

敵わない暴力と 史上稀な超重力に
名前も 選ぶものも
決めつけられている、なんて

 「敵わない暴力」は誹謗中傷のような心無いひと言、「史上稀な超重力」は先ほど少し書いた「大嫌いや大好き」といった心の振れ幅のことを表していると思いました。そんな振り回されている現状のせいで、自分で何かを選ぶことができない、まるで「誰かの表情を伺って選ぶものを勝手に決めつけられている」ような状態を歌詞で表現しているのではと思いました。

 ここの「決めつけ」ですが、何を決めつけられているのでしょうか。あくまで私の解釈ですが「VTuberだから」というマイナスなレッテルを貼られることを意味しているのかなと。言葉を選びますね….。みなさんもどこか感じることはないでしょうか。今でこそ大分VTuberという存在は認められていますが、それでも彼女らの存在を認めない人はいます。認めないは認めないでその人の価値観ですが、それを通り越して心無いひと言をぶつけてくる人もいる。そういう人たちのVTuberへの偏見という決めつけなのかなと思いました。

どこかで 吐いた言い訳が
声を奪ったまま
呪いみたいになっていたんだ 今更

 この歌詞は「星街すいせいの強さ」を表している歌詞ですよね。そうやって偏見の目を向けられて自由に動けないことを「言い訳」と捉えているのかもしれません。そんな言い訳が声を奪う。歌うことを奪ってくる、VTuberとして活動することを奪ってくる。極端なことを書きますが、「もうVTuberやめようかな」っていう状態なんだと思います。きっと何度も経験した葛藤なんだと思います。だからこそ彼女の楽曲が心まで届く。

「変われない」「解ってよ」
「信じて」「嘘つき」
嫌になるくらいの 想いが渦巻く

 感情の嵐を感じられる歌詞です。「変われない」「解ってよ」はすいちゃんの言葉に聞こえます。解釈が難しいですが、ファンの我々が想う理想の「心に芯がある強い星街すいせいになってよ」という気持ちに対して「本当はそこまで強くないから変わることはできない、解ってよ」というアンサーなのかなと。「信じて」「嘘つき」はファンに対して「これからも活動頑張っていくから!」という信じて欲しいという気持ちに対して、でも時に頑張れないこともあって、ファンの気持ちを裏切ってしまう時もあるから「嘘つき」と言われることもある現実を表しているのかなと思いました。

今日も 振り回されていく
もう両足が 飛び上がる準備をしている
何もかも反発して 崩壊して 滲んでいく

 そんな嫌になるぐらいめぐらせた気持ちに「今日も振り回されていく」。そんな気持ちから抜け出すように飛び上がる準備をしている。ここの解釈ですが、重力の中だとふわふわしているので、自由に身動きが取れません。ですが、今回は「飛び上がる準備をしている」ということで「自分から身動きを取ろうとしている」ことが分かります。これって「大嫌いや大好き」のように心の振れ幅が大きい重力の世界から抜け出そうとしてる、「誰かの言葉で心を揺らす世界から、自分で物事を決める」ために動き出していると解釈できると思いました。『Newton』、奥深いですね…。


「大好き」

「否定したい」「信じたい」
「嘘だよ」「そうだよ」
「嫌いじゃない」「好きじゃない」
「全部が」「一つが」
「変わりたい」「解りたい」
「どうしたい?」「どうしよう」

「聞かせない」
「聞かせて」

 1つ1つの言葉が対になっています。そして「変わりたい」「解りたい」は先ほどの「変われない」「解ってよ」のアンサーとも言えます。ここのだんだんラスサビに向かっていく感じがめちゃくちゃ好きなんですよね。必死に伝えようとしている感じが伝わってこの楽曲の推したいポイントの1つです。『Newton』というタイトルにもある通りの心の振れ幅を分かりやすく表している歌詞です。「否定したい」けど「信じたい」。「嘘だよ」と言うけれど「そうだよ」とやっぱり肯定する。「嫌いじゃない」けれどやっぱり「好きじゃない」。その全部が、1つずつに対して本当は「変わりたい」「解りたい」。なら「どうしたい?」と自分に聞くけれど「どうしよう」と迷ってしまう。その迷いを聞かせたくない、打ち明けたくはない。けれど…「聞かせて」と優しく自分に問いただす。

 葛藤の中であがきならが「自身の活動をどう思っているのか」を自分に問いただしている様子が浮かび上がる最高の歌詞です。ここは私たちが見ている「ステージに立つ歌姫‟星街すいせい"」ではなく、等身大の人間臭い星街すいせいが見られて本当に大好きな歌詞です。こんなかっこいいい人でも悩んでいるんだなって。それを音楽にしてくれたことが何よりも嬉しいです。

「伝えたい」「愛してる」
「大嫌い」「大好き」
痛く、重いくらいの 想いの先まで

 ここは1番の歌詞を繰り返しています。どの楽曲にも言えますが、1番と2番で同じ歌詞を繰り返していても受け取り方が違ってくるんですよね。1番の歌詞はまだ迷いを感じられるというか、振り絞った先の「痛く、重いくらいの想い」なのかなと。けれど、2番の歌詞ではたくさん迷ったけどそれでも伝えたい「痛く、重いくらいの想い」と私は解釈しました。

今日もまた 歌い 叫んでいる
この感情が 音の中で初めて 惹かれ合うまで
あなたのその胸で 響き出すまで

 葛藤することは多々あるけれど「今日もまた歌い叫んでいる」。何のためか。この感情が音楽に乗ってあなたの胸で響き出すことを願って。「この感情」というのはステージに立つ芯の通った強い気持ちを持つ星街すいせいだけでなく、「葛藤や矛盾を抱えながらも活動していく人間臭い等身大の星街すいせいの気持ち」のことを表しているのだと思いました。誰に響いて欲しいのか。「あなた」は恐らく星詠み(ファンの愛称)のことを表していると思います。

「愛してる」

「大嫌い」

「嘘だよ」

「大好き」

 今回の記事のタイトルや小見出しにもしています「大好き」という言葉。この「大好き」にいったいどれだけの気持ちが込められているのか。『Newton』の歌詞の中で私が1番好きな歌詞です。というかもうメッセージみたいなものですけどね(笑)楽曲を聴いてくれている全ての人に向けて、この活動そのものに向けて、そんな活動を続ける星街すいせい自身に向けて「愛してる」と叫ぶ。けれど、時に辛いこともあるから「大嫌い」とつい言ってしまう。でも言ってしまったことを後悔して「嘘だよ」とごまかしていく。そして最後に伝えたいことは葛藤や矛盾はあるけれど、やっぱり「大好き」というひと言につながっていく。まさに2ndアルバム『Specter』やライブの締めにふさわしいハッピーエンドな楽曲になっていると感じました。私は2ndライブに参加できていませんが、すいちゃんも最後は「大好き!!」と叫んだんだとか…?

 伝えたい事はたくさんあるけれど、最後は全部まとめて「大好き」と言える星街すいせいの最高の人柄を表していると思います。VTuberとしての活動を、音楽を、星詠みを、自分自身を愛しているんだなって。それがとにかく伝わってくる最高の楽曲です。


おわりに

等身大を歌う

 『Newton』への解釈、いかがでしたでしょうか。私もこの解釈投稿を書くまでは「なんでNewtonっていう曲名にしたんだろ」と考えていましたが、書いていくうちに気づくこともたくさんありました。2ndライブについて言及しているインタビューがあって(下にリンク貼っています)、すいちゃんが「私はよく強いとかって言われてるんですけど、全然気にしいで。こんなにたくさん応援してくれてる人がいるのに、ちょっとした言葉で傷ついたりとか、言いたいのに言えないことがたくさんあったりとか、すごくツラい日がけっこうあって。そういう自分がすごいイヤになったりとかして。でも今日、直接応援してくれてるみんなを、こんなにたくさんのみんなを見れてなんだか吹っ切れました! ありがとう!!」と話していました。

 『Newton』はまさにその気にしてしまう弱さや傷ついてしまう脆さを表した楽曲だなって。それと同時に色んなことがあるけれど最後は「大好き」で締めくくる「その痛みさえ愛している星街すいせい」を感じられて何度も書きますが、本当に大好きな楽曲です。

 最後になりましたが、今回はMVがないことから、写真がなく記事も文字ばかりで読みにくかったかなと思っています。それでも私の『Newton』に対する解釈の気持ちが伝わればと思います。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。それではまた次回!!



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