「上手く笑えるようになったよ」百鬼あやめ『melting』への解釈
お世話になっております。かまたけと申します。私のnoteでは主にホロライブに関する楽曲・MVへの個人的な解釈や感想を中心に投稿しています。記念すべき最初の解釈投稿はお嬢こと百鬼あやめさんの『melting』にしようと思います。こちらの楽曲は私にとってもかなり思い出深い1曲で自分の経験と照らし合わせた時、思わず泣いてしまうような。そんな1曲になっています。ホロライブ好きなあなたも、初めて知るあなたにとっても良い記事になるよう努めます。それではよろしくお願いいたします。
『melting』について
初公開は現地ライブで
2024年3月16日 17日に幕張メッセで実施された「hololive SUPER EXPO 2024&hololive 5th fes. Capture the Moment」のStage3で初公開された百鬼あやめさん(以下お嬢と表記)の『melting』。初公開がライブということもあって、皆さんの思い出にも深く刻まれた1曲なのではないでしょうか。
そんな「『melting』ですが、先日2024年9月3日(火)にお嬢の活動6周年と同時にアニメーションMVが公開されました。これまで楽曲の歌詞を通して様々な想いを馳せていた方が多かったと思いますが、そこに映像が付くとさらに解釈が広がりますね。ということで今回はアニメーションMVも公開されたということもあり、私なりの『melting』への解釈を書いていこうと思います。最後までお付き合いいただければ幸いです。
自分を認め、前へと期待していく物語
自分を認められない気持ちの先で
「理想の自分」と「現実の自分」のせめぎ合い。理想の自分はいるんだけど、自分に自信がない様子。「何もない」だからこれで充分だった。ここの「何もない」っていうのが「自分に誇れるものがない」って聞こえるようでめっちゃ分かるな…と。周りと比較してみんなはそれぞれ大事にしてるものや得意分野があって、それが輝いて見えて。でも自分には何もなくて。そんな自己肯定感の低さをごまかすように「泣けるなんて幸せ」という歌詞が投入される。「何もない自分」を何とか肯定するように言うこの言葉が筆者には刺さります。
「ずっと一人でいい」っていう歌詞。私も高校1年生の頃は思ってました。クラスで最初にできたグループと私の性格が合わず。「かまたけは面白くない」と裏でハブられた時を思い出します。自分のことも認められず、周りと意見も合わず、環境にいずらい雰囲気。「一人でいい」って思ってしまうんですよね。しかし、「でも見つけてくれた」の歌詞から、少しずつ雰囲気が明るくなっていきます。
サビの部分に来ました。MVではジャケットにも描かれていた青空が描写されています。どのMVにも言えますが、一枚一枚がとにかく美しい。淡い青空が素敵です!
ここの歌詞が筆者は大好きです。とても「暖かいメッセージ」感じます。「ちょっとずつ上手く笑えるようになったよ」や「そっとそっと今日越え」という言葉選びがとにかく優しい。そこにお嬢の歌声が加わればもう聴く人の心の隅々にまでこの楽曲の「暖かさ」が染みてくると思います。
「もう昨日は変えられないけれど」という歌詞。昨日とは自分のことを認められなかった時間やそんな自分を責めてしまった時間だと解釈しています。そう「だけど」少しずつ上手く笑えるようになっていく。それは「そのままでいいよ」って肯定してくれる人がいるからなんですよね。筆者にもそんな経験あります。人間一人では生きていけない。誰かの支えで、誰かの一言で「前へと期待しよう」と思える。それがどれだけの救いか。1番だけでもう泣けてきました。
自分のことを認め、手を伸ばしていく
何もなくても、特別な日ではなくとも、ただそこにいてくれるだけで自分の心が救われていく。ここの歌詞も素敵です。何より努力の跡を「汚れたつま先」と表現する言葉選びには天晴です。「もがいて来た」という歌詞はそれだけ理想の自分と現実の自分とのギャップに苦しむ姿が浮かぶのではないでしょうか。「もがく」ってまだ諦めていない人の努力表現だと思うんですよね。なんとか理想の自分に近づきたい。あがくことに苦しみつつも前に進む力強さを感じます。
「傷付けてばかりいてごめん」の歌詞。筆者に刺さりまくりです。恐らくお嬢と一緒にいる女の子、ずっとお嬢を励ましてくれてるんですよね。けど、お嬢は自分に自信がないから「ほっといてよ!」状態。そんな場面状況が浮かびます。このワンシーンすごく共感できるな…と。自分に自身がないときって人からどれだけ褒められてもつい疑ってしまうんですよね。だから、その褒めてくれる言葉が慰めのように聞こえて、お世辞に聞こえて。だからつい差し伸べてくれる手を振り払ってしまう。
ひどいことをした自覚はある。「許してなんて言えない」。だからせめて自分を変えようと前を向く。その歌詞が「嫌いな私責めるのはもう止めよう」だと筆者は考えています。嫌いな私という歌詞には色んな感情が込められていると思います。自信がないから言い訳して逃げようとする自分への苛立ちだったり、そのせいで誰かにあたって傷つけてしまったり、でもからっぽでどうしようもないと嘆いて動けなかったり。そんな自分が嫌いだったけど、責めるのはもう止めようと立ち上がる姿。最高です。
2サビに来ました。1サビの頃よりも歌詞が前向きになっています。それまで自信がない自分が嫌いだったお嬢。でも、あの日「そのままでいいよ」って肯定してくれた君がいたから色んな事を始められた。皆さんにもそんな経験があるのではないでしょうか。そして「前よりちょっとだけ ほら笑ってる気がした」という歌詞。笑ってるって断言するのではなく、「気がした」っていう表現が素敵だと思います。「笑ってる」だと成長が完成した表現になりますが、「気がした」と書くことでまだ未完成というか、明るい雰囲気が出始めた頃を表しているように思えます。これから成長していく人に寄り添った歌詞で素敵です。
そっとそっと今日を越え、前へと期待していく
ラスサビ前の落ちに入ります。ここの歌詞は「言葉にできない暖かさ」を伝えようとしていてグッときます。MVもどこか落ち着いた雰囲気で、暖かい光がお嬢を包み込んでいました。小さくてとても些細な事、これは「そこにいるだけで救われるんだ」という歌詞の違った表現でしょうか。なにもなくても、特別でなくともただ「そこにいてくれるだけ」で嬉しい。心が暖かくなる。お嬢の綺麗な高音ボイスで歌うことでさらに落ち着いた雰囲気を感じさせてくれます。
そしてラスサビに入ります。「上手く笑えるようになったよ」という歌詞と共にお嬢の笑顔が描写されます。そしてこのワンシーン、お嬢を救った女の子がずっといたわけではないんですよね。文化祭ライブの途中でやって来ています。これって良い意味で「あなたがいなくても、私は笑えるようになったよ!」という最高のメッセージだと思うんです。つまり、「あなたのおかげで私上手く笑えるようになったよ」っていう成長描写だと筆者は考えています。最高の物語や。1番と同じ歌詞ですが、受け取り方が全然違うというか。ラスサビのほうが成長を感じますよね。
1番は「あなたがいてくれるから」笑える。ラスサビは嫌いな自分を責めるのを辞めて、成長できたからこその「あなたがいなくても」笑えるようになったというメッセージが込められている。それに気づいたとき、筆者は涙が出ました。一人の女の子が自分自身を認め、少しずつ前へと期待していく物語。筆者はそんな『melting』が大好きです。
おわりに
『melting』を通して自分も成長できた。
『melting』への解釈、いかがだったでしょうか。自分を認められないという課題は人生において尽きない悩みかもしれません。筆者もこの楽曲を始めて聴いた当初は特にメンタルガタ落ちの時期でした。だからこそ、この楽曲が刺さりましたし、感動を深めることができました。
何より「嫌いな自分責めるのはもう止めよう」という歌詞。私にはとても響きました。この楽曲を聴いて私も少しずつ自分を認めていこうと、前へと期待していこうと。そう思えました。最後になりましたが、『melting』制作に関わった方々には頭が上がりません。いつも最高の作品を世の中に届けてくださり、ありがとうございます。読者の皆様も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。