鑑賞記030「表面張(彫)力」
群馬県にあるギャラリーnewrollで、彫刻家の三人展が開催されているので見に行ってきた。
ギャラリーnewroolは、彫刻家の西島さんが移住して開いた工房兼ギャラリースペース。「ギャラリーにしたら面白いんじゃないかなと思った」という面白い構造の住宅をベースに改装をご自身で行ってらっしゃるのをSNSで拝見していて、機会があればお伺いしたいと思っていたところに展覧会開催ということでラッキーでした。
ギャラリーはアポイント制で運営していますので、事前にご予約をお忘れなく。
さて、今回の三人展は「表面張(彫)力」というタイトルで、西澤利高さん、松本涼さん、そしてギャラリーオーナーの西島雄志さんの作品が出展されている。
中之条ビエンナーレで作品拝見してからはまってる西島さんの作品。旧五反田学校の教室いっぱいに羽ばたいてた鳳凰の作品に感動した方も多いはず。こちらには小さい鳳凰さんが居た。西島さんの作品は作品自体の造形も勿論、計算され尽くしたライティングから現れる影も良いので、空間全体を楽しみたい。
そして松本さんの作品。このメビウスの輪、木です。丸太から限界まで木を削っていく。限界まで削り落としたら、素材の木が持つ生の記録を彫り上げていく。
ギリギリまで削ぎ落とされた、限界へ挑む姿がすごい。
そしてこちらの口と鼻。めちゃくちゃリアルで繊細で、今にも崩れ落ちそうな位削られてて。見れば見るほど鳥肌が立つ。
2階にも展示室ありますよーってことで階段登っていったらば。
どーん。威厳のある鹿様がお迎えしてくれたよ。思わず「ひあぁっ」って変な声出ちゃいましたよ。神々しくて、うっとり。もう、それでなくても貧弱な私の語彙は吹っ飛びましたね。ヤバい。
この、断片化されているのに全体像がしっかり脳内補完出来る不思議。ほんとずっと見てて飽きない作品。
そして鹿様の向かいには、西澤さんのアクリルの作品。
めっちゃでかいアクリル板に人の形がうねうねと……うねうねとねじられたような流れなんですけど、これ。ねじったりしてないんですよ。一枚の板をこちらもひたすら削って起こした形なの。なので、横から見たら出っ張ってたりしないんですよ。
じっと見てたら、視覚情報を頭がちゃんと解釈できなくて混乱しそうになる。んだけど、ずっと見て居られる、そんな作品。(表現同じやないかヲイ
三人三様に異なる技術でありながら限界まで攻めていくところは共通してる作家さん達。それぞれの凄いところを一気に鑑賞出来て、これ入場料取ってやるべきじゃないの~こんなに見せてもらっちゃっていいんですか~~しかし凄い世界だわ、、、とクラクラする展示だった。
我が家には西島さんの鹿さんを一作品お迎えしているんだけど、今回の鹿さんもとても良くて、ちょっと挙動不審になっちゃったよね。
設計図などはなく、ひとつひとつその時の感覚で組み上げていくので、違いを結構感じる。
あと、ライティングの大事さを改めて痛感。やはり西島さんの作品は影も絡めて作品だと思うので、自宅での飾り方は時間かけて道具揃えてきちんと飾りたいなと、思っては……いる……w(←行動しなさいよw
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「表面張(彫)力」
西澤利高 松本涼 西島雄志
【期間】2021年11月3日(祝)-23日(祝)
金・土・日・祝日 開廊 (4日と22日は開廊)
【営業時間】13:00 - 18:00
【会場】newroll(群馬県吾妻郡東吾妻町新巻689-1)
※アポイント制です。下記サイトより事前予約をお願いします。