
数の感覚、数の概念(その1)
新しい子どもたちとの出会いもいただいて、新学期も始まり、
春ですね。
算数苦手、数学嫌い、という子に対して親御さんから
「数の感覚がわかってないんじゃないか」という
ご相談を受けることがしばしばあります。
数の感覚
これについては、常々考えていることがあります。
数の感覚って何でしょうね。
そもそも、では大人たちは数の感覚を持っているのでしょうか。
ぼくは、数の感覚を持っているのだろうか。
結論からいえば、人間の脳が感覚として自然に認識できる数は、
1,2,3,たくさん
ではないかと考えています。
それ以上の数は既に、抽象概念、人工物だろうと。
いやいや、4,5もわかるよ。
10だって、1,234,567,890だってわかるよ。
うん、それもわかるのです。
だけど、本当に感覚としてわかっているのかな?
たとえば机の上に、17個の豆が乱雑に転がっているとして、
一目見て、直観的に、17個だとわかるでしょうか。
(2個や3個なら、できると思います)
子どもたちにクイズを出します。
「1億の次は?」
多くの子は、「2億!」って答えます。
うん、それが自然だと思います。
(1億を束として考えている、ということですよね)
感覚として数を理解するのってかなり難しい。
考えるきっかけになったのは、漢字です。
一、二、三、、、、ここまではとても直感的です。
四、これは、、、ギリギリ
五、これは既にかなり難しい、まあ何とか
六、これってもう、○○○○○○ではないだろう。
七、四より簡単に見える
八、もっと簡単になった
九、五より多いと思えない。
十、以下同様・・・
漢字がそうなだけなんじゃない?
写真を添付しましたが、やはり4くらいからすでに難しくなりそうです。
「手で数えるよ!」という子はかしこいですね。
手だと、5までは直感的にわかりますね。
ぼくは小学生の頃、授業中にひまで「1億まで数えよう!」と
思ったことがありました。ところが、授業が終わるころでも数百レベル。
次の授業もしっかり使って数えましたが、まだ数百レベル。
え、これっていつまでやらなきゃならないの?
計算しました。(我ながらかしこいな)
1秒に1つ数えるとして、(実際にはノートに書いていたので、大きな数を1秒で書くこと自体無理)
100000000秒÷60⇒1666666分(切り捨て)
1666666分÷60⇒27777時間(切り捨て)
27777時間÷24⇒1157日 (切り捨て)
1157日÷365⇒3.16年 (切り捨て)
寝ないつもり?
それでも、3年以上。
今、小6だから、数え終わるのは中3。
やめました。 (よかった。よくやめた)
それ以来、友達が「俺のほうが1億倍すごいぜ!」みたいなことを言ったら、「1億なめんな!」と。
国家予算が、100兆円?
世界の人口が、70億人?
日本の人口が、1億2千万人? (国民の声を聴くってどうやって?)
人間の細胞は、数十兆?
マンボウは、3億個の卵を産む?(すごすぎる)
では、大人たちはどうして、できているように思っているのか?
どのタイミングで、数の感覚を習得していくのでしょう。
* 実際には、今回のコロナ騒動を見ても、
* 400人だー、1000人だーと騒いでいるのを見ても、
* わかっていないように見えるのですが、それは別の話で。
日常生活や学校生活の中で経験できる数があり、
みんなそれなりに「わかった気」になって暮らしています。
これからの子どもたちは、それでは足りないと思うのですが、
少なくともそのレベルの感覚を身につけるためには
どうしたらよいか。
それを次回書いていきたいと思っています。