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心から好きだと思えた本(ムラブリ)

予想通り、想像以上( #ムラブリ

きっかけは、『ゆる言語学ラジオ』でした。いつもの通り、お二人の楽しい話のあとで、著者の伊藤雄馬さんが登場。話もおもしろかったのですが(タイムカードが押せない話など)、わたしが「!!!」と思ったのは、「メーアウユークレ」と伊藤さんがムラブリ語で話しかけてくれた時。なんとも力の抜けた、優しい、やわらかい言葉だと思いました。そして美しいと思いました。

本書は、

第1章 就活から逃走した学生、「森の人」に出会う

第2章 駆け出しの言語学者、「森の人」と家族になる

まではおもに、伊藤さんがムラブリの世界に入っていった研究者の苦労話(苦労話はおもしろい)。
二文字屋さんという、自分とはまったく違うタイプの人からの学びなど、たくさんの運に恵まれたと伊藤さんは繰り返します。

第3章 ムラブリ語の世界
第4章 ムラブリの生き方

一番おもしろかったのは、このあたりです。現代の一般の日本人とはまったく異なる概念世界に生きる人々をどのように理解するか。「真に受ける」ことは言葉で言うほど簡単なことではないと思いますが、間隔として体に入れることは、普段わたしが算数などを教えているときも、重きを置いていることです。

第5章 映画がつなぐムラブリ、言語がつなぐ人間
第6章 ムラブリの身体性を持った日本人

後半はさらに、ドラマチックな展開から、よくわからない方向に(笑)。
身体と言葉の関係など、繊細な領域に話は進みます。

総じて、わたしと似たような人が現代日本にもいたのだなと、心が下がりました(心が下がるについては、第3章)。
そして、カラム・ドゥ・モイ。心から好きだと思える本でした。


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