転職を決断した話

幼い頃から「強い女性」に憧れていた。
強い女性の定義は人それぞれだが、例えば私の場合ディズニープリンセスのポカホンタスが当てはまる。ポカホンタスはインディアン部族(アメリカの先住民)の長の娘で、ある日父親から縁談の話をされ、“自分の成すべきことは結婚ではなく他にあるのではないか“という疑問を持ち始める。そしてイギリスからきた青年と恋に落ち、それが戦争の引き金となったが最終的には悩み抜き行動した末に愛する人・家族を守る道を掴み取った。
そういう、誰かに依存せず自分自身でプライドと品位を保ちながら道を切り開くことのできる女性、それが私の憧れだった。

そのような思いを根底に持ちながら月日は流れ、私は東京で社会人として働き始めた。
実際東京で働くのは楽しかった。学歴や経歴の高い人たちと一緒にプロジェクトを進め、誰かの役に立つことの対価としてお金がもらえることは自分自身のプライドに一定直結していた。初任給も手取30万以上で、文句の付け所などない。

そんな中、私は東京を離れ転職することを決意するに至った。
理由は、書いてしまうと平凡でシンプル。結婚を意識し始めたからである。
なんだ、王道かよ!!
正直に書いてしまうと、私は結婚を機にキャリアを一時ストップする選択は絶対にしたくないと思っていた。自分一人でしっかりと立つ強い女性になるには、この社会においてはキャリアを確立させることがそれに当たると思っていたからだ。ただ自分が現実に直面すると、いかにその考えが勘違い甚だしいかが理解できた。

1,誰かと一緒に生きるということ
私の彼は現在関西で働いており,大学院時代に知り合い付き合ってから丁度2年が経とうとしていた。遠距離になってから1年過ぎである。周りから”遠距離はうまくいかない”と言われていた割には順調だと私は思っている。お互いやりたいことに打ち込みながら,1,2ヶ月に一回はどちらかの地域で会うなどし関係を良好に保っていた。
関係性自体に問題はない。ただ,仕事を終えて家に帰った時,同僚や先輩と楽しく飲んで帰宅する道中、無性に感情が寂しくなる時がある。美味しい店を見つけた時,公園で綺麗な桜が咲いていた時,一番共有したいと思う相手は遠くにいるその寂しさ。
何が一人で立つだ。こんなにも脆いじゃないか。

よくドラマなどで,結婚や恋愛には目もくれず,ひたすら目の前のエキサイティングな仕事にバリバリ打ち込む女性がテーマになったりするが,自分はそうではないのだとこの一年で思い知らされた。
遠距離をずっと続ける選択肢はない。そうなるとどちらが転職をする方がいいのか。
それを文章に起こすと長くなりそうなのでここでは割愛するが、私が関西に行く選択肢がベターであるという結論になった。
昔はあんなにも自分が嫌がっていた、結婚で自分のキャリアを軌道修正する人生に今踏み込もうとしている。簡単に気持ちの折り合いがつけられるわけでもない。だけど、それでも一緒にいたいと思う。例えば明日死んだとして,最後に思うのは「あーもっと働いとけばよかった」であろうか?


2,子供のこと
女性にとっては特に一大問題の子供。結婚するしない,子供をもつ持たないは完全に個人の自由であり尊重されるべき選択であることは前提として,女性の生殖機能にはリミットがある。

彼も私も子供が欲しいと思っている。私は大学院を卒業して社会人になったため,2年目にして27歳。キャリア成熟度と年齢がマッチしておらず,正直もっと自分のために時間もお金もキャリアも注ぎ込みたい気持ちは山々ある。けれど現実問題,生殖機能の限界からはどうやっても逃れられない。晩婚化している現代に合わせて、女性の身体も進化してくれれば,女性はもっと生きやすくなるだろうと思わずにはいられない。
ただ子供が欲しいのならば,30歳を過ぎてから子供を出産することのリスクを十分に調べ,覚悟を持って挑む必要がある。30代突入まであと3年半。時間は有限だからこそ,今どういう選択をするべきかしっかりと考え決断し,そしてどんな結果が待っていたとしても誰のせいにもしない覚悟をもつ必要がある。

そんなわけで,私は転職活動をスタートする。
彼と一緒に暮らすことができるワクワクと、一方では東京で働くという昔からの夢を一時中断する不安。正直不安の方が大きい。だからこそこの場で吐き出しながら、少しずつ進んでいきたいと思っている。ここで真剣に考えなければ、きっと後悔すると分かっているから。
出産し、子育てに追われてヘトヘトになった自分が、「こんなことだったらあの時仕事を辞めなければよかった」などという言葉を旦那に投げるようなら、それは地獄の始まりだ。だからこそ、今一度自分と真剣に向き合い、まずは転職に全力をかける。妥協して会社を選ばないよう、情報収集と自身の棚卸しを始めていきたいと思う。
願わくば、数年後この記事を見返してこの時に抱いていた不安を一蹴できるような、そんな自分になっていたい。

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