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朗読台本「特別な贈り物ー水の惑星ー」(4分前後)

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たくさんの星が生まれていた遠い遠い昔のこと。いつもならシンと冷たい宇宙も、この日は違います。
なぜなら天の川銀河の女神とアンドロメダ銀河の神の結婚式の日だからです。

宇宙にはたくさんの銀河があり、それぞれひとつずつを神や女神が治めています。その中でも天の川銀河の女神とアンドロメダ銀河の神は穏やかな性格で有名で、誰がどう見てもお似合いの2人でしたのに、周りがいじらしく感じるほど奥手でもありました。お互いの気持ちを確かめるのに何億年という歳月をかけるくらいでしたから。それはもう、周りはやきもきとさせられていたそうです。
そんな2人がようやっと結ばれるとあって、彗星たちは走り回ってこのお祝い事を言い広め、惑星たちは彗星に振り落とされた星の粒たちを捕まえるのに忙しく、恒星たちは2人の為に張り切って光の道を作ります。失敗もハプニングも許されません。

光の道の真ん中で、2人がお互いの銀河の繁栄と悠久の時を誓い合ったその時、どこからか小さな星が2人の間に飛び込んで来ました。見たことのない星でしたから、どこか別の銀河から飛んできた迷子かもしれません。
結婚式を中断されて他の星たちは文句をたくさん言いましたが、2人はそれをなだめて、泣いている星の話を聞いてやりました。

「泣き虫だからと、生まれた銀河からはじき飛ばされて、飛んでいるうちに体も小さくなって」

声を震わせて泣く星を哀れに思った2人は顔を見合わせました。さっきまで文句を言っていた星たちも、話を聞いて一様に黙ります。自分がもし同じ目に遭ったらと考えると、誰もが泣きたくなったからです。
銀河の神々の中には少々乱暴な性格の者も居ますから、この星の話もまんざら嘘ではないのでしょう。

全員が結婚式どころではなくなったと考え始めた頃、アンドロメダ銀河の神は何かを思いついた顔をして、泣く星の耳にそっと囁きます。星はそれを聞いて急に笑顔になって、神の手の中に飛び込みました。
天の川銀河の女神と他の星たちが不思議に思っていると、神はそっと手の平を広げます。その真ん中には宝石のように青く輝く美しい惑星が!

神は星に重力を与え、涙が星の周りを覆うようにしたのです。そうしてできた青い惑星を女神に贈ります。女神は、神が何をしようとしているのかを理解して、その星を嬉しそうに受け取りました。星はホッとしたようにまた少しだけ泣きました。

女神は、その星がずっと美しく照らされるようにと、自分の銀河の恒星の近くに青い惑星を浮かべました。それは宇宙中を探してもここにしか無いと思えるほど、特別な結婚の贈り物になりました。こうして泣き虫な星は『水の惑星』という名前を貰い、居場所までできたのです。
天の川銀河の女神とアンドロメダ銀河の神も、まれに見る盛大な祝福の中で、無事に結婚式を挙げました。

めでたし、めでたし。


台本解説

恒星・・・自ら光り輝く星のこと。
銀河・・・たくさんの恒星が集まってできた天体。地球を含む太陽系は天の川銀河の中にある。天の川銀河に一番近い銀河はアンドロメダ銀河。
惑星・・・恒星の周りを回る星のこと。自らは光らない。

どうして地球にはたくさんの水が液体で存在できるのか。そんなことを神話風なお話にしてみました。

見る角度によって、その人の真価が変わるというのは人の世の常ではありますが、なるべく人の良いところに気づける人間になれるよう、勉強や経験にこれからも励みたいなと、そんな気持ちもちょこっとだけ混ぜつつ・・・・・・。

あなたはこの台本をどんな風に読みますか?

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まつかほ(STORYマルシェ)
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