歩いて行く。
最寄駅というとなんだか難しい位置にあるこの古民家。
ちょうど駅の近くに用事があるのだけど、車を置けるところがない。
駐車料金を払うか、歩いていくか。
時間は夜に近い夕方。
昼間だったら絶対に歩こうなどという無謀な考えは浮かばないところだが、外の気候はよく、涼しげな風がゆったりと流れている。
駅まで何分くらいで着くのか一度は歩いてみたいと前々から思っていたので、これは良いチャンスかもしれない。
必要な荷物を持って家を出る。
いつも車へ向かうルートとは違う道を選ぶのが新鮮だ。
しばらく線路沿いに歩いてみる。
道の横にはススキや草が生い茂っている。
蝉の声に、鈴虫の声と他の虫たちの声が混じっている。
夏だな。
ツバメが電線に止まっている。
少し低いところにある電線だったので、ツバメの姿がよく観察できる。
羽繕いをするツバメを、顎下の赤いのが見えるくらいの距離で下から眺めれるのは良いものだ。
フンをされないように注意しなければならないが。
部活帰りであろう学生が自転車を進ませていた。
毎日自転車で通学しているのは本当にすごい。
自分もかつて通学していたけど、友達の存在って大きかったよなと改めて思ったりする。
ふと、道に仰向けで寝転がっている3人の集団を発見した。
縦に並んで通行者の邪魔にならない端の方に集まっている。
学生かもしれないが、なぜ帰らずにあそこに屯っているのだろう。
知り合いを待っているとかだろうか。
そしてみんな天を仰ぎながらスマホで何かをしている。
この地における夏の風物詩としよう、
適当。
歩いていると、車で通っている時には見逃してしまっていたお店を発見した。
しかも近々そのお店は閉店してしまうらしい。
それはぜひ閉店前に一度訪問してみたいものだ。
少しじめっとした空気に包まれながら、ようやく目的地へと辿り着いた。
前もってGoogleマップで確認し、予測していた時間と大差なく到着することができた。