「最後の決断〜Escape from the Philippines」 執筆ノート(第1回)
今回は、本編をお休みして、取材メモのようなものをお送りします。
このたびは「最後の決断〜Escape from the Philippines」をお読みいただき、誠にありがとうございます。まだ、ほんのさわりの部分ではございますが、すでに多くの方々にお読みいただいており、心より御礼申し上げます。
さて、毎週1回「執筆ノート」と題しまして、執筆の際に取材したことをご紹介しようと思います。目的は2つ。1つは、本編をよりお楽しみいただくための情報源として。もう1つは、フィリピンに興味を持っていただければ、という気持ちでございます。
【マニラ市?マニラ首都圏?】
ご存知の方も多いとは思いますが、フィリピンの首都はマニラです。ところが少々厄介なことに、首都=マニラ市というより、マニラ市を含む17の行政地域の集合体を総称し、「マニラ首都圏」が形成されているんだそうです(フィリピン政府観光省ホームページより)。そして一般的に「マニラ」と呼ばれる際はこのマニラ首都圏(現地では「メトロマニラ」と呼ばれています)を指し、その中にあるマニラ市は「マニラシティ」と、分けて呼ばれるとのことです。ちなみに、マニラ市の面積は38.80平方キロメートル、マニラ首都圏となりますと636.00平方キロメートルにもなります。東京23区の合計面積が約622平方キロメートルですから、マニラ首都圏は東京23区とだいたい同じ面積ということになります。蛇足ですが、現在小説の舞台として出ている「マラテ」という地区はマニラ市、マニラシティにあります。
(まとめ)マニラと言ったら一般的には「マニラ首都圏(メトロマニラ)」。マニラ市は「マニラシティ」。
【フィリピンの玄関口、ニノイ・アキノ国際空港】
フィリピンを旅行する際、ほとんどの方が利用される”玄関口”が、マニラ首都圏にある「ニノイ・アキノ国際空港」です。1987(昭和62)年に、現在の名称に変更されました(旧名称はマニラ国際空港)。NAIAと略称で呼ばれることがあります。
ターミナルは全部で4つあり、私たちが主に利用するのはターミナル1あるいはターミナル3です。ところが、利用する航空会社、国際線or国内線の違いでターミナルが明確に分けられているということもなく、時にわかりにくいのが難点。加えてターミナル間の移動は一旦空港の敷地から出る必要があるため、国際線から国内線への乗り継ぎの際、厄介なことになることしばしば、だそうです。さらに、しばしば利用するターミナルが入れ替わることがあるため、情報のアップデートをし忘れますと、空港の外に出る際、面倒なこともあります。ちなみに、現段階では以下の通りです。
ターミナル1 国際線専用 (フィリピン航空、日本航空、大韓航空などが乗り入れ)
ターミナル2 国内線専用(フィリピン航空、PALエクスプレス、フィリピン・エアアジアなどが利用)
ターミナル3 国際線(セブ・パシフィック航空、全日空などが乗り入れ)
国内線(セブ・パシフィック航空などが利用)
ターミナル4 国内線専用(セブゴー、エアスウィフトなど、主にローカル路線)
見ていただいての通り、一見すると「なんだ、ターミナルごとに分かれているじゃないか」と思われがちですが、ターミナル3はご覧の通り、国際線・国内線共用です。また、国際線であればターミナル1・3のいずれかを利用することになりますが、これらの間は無料のシャトルバスこそ走っているものの、運転間隔が長く、アテにならないため、乗り換え時間が短い場合はタクシーなどを利用することになります。さらに、それぞれのターミナルはあまり便利でなく(ターミナル3だけはまだマシという話も)、CNNの観光ガイド「CNNGo」での「世界で最もムカつく空港ワースト10」5位にランクされるのをはじめ、各旅行サイトなどで酷評の嵐。おまけに空港アクセスが劣悪で、この辺も低評価の一因のようです。最近ではセブ島(セブ・マクタン空港)やクラーク国際空港への直行便が日本からも就航していますので、マニラに降りない人も増えています。
なにかとムカつく空港とはいえ、「あ〜、フィリピンに来たぁ〜」と感じる方も少なくない、玄関口のお話でした。
【こんな感じでフィリピンにまつわる情報も配信してまいります】
あくまでも執筆時の取材結果に基づくため、だんだん情報が古くなるかもしれませんが、不定期ながらもお送りできればと思います。お楽しみいただければ幸いです。では引き続き、小説本編をお楽しみください。