血を抜く行為


皆さんの趣味はなんですか?


私の趣味は実は献血だったりします。


初めて献血に行こうと思ったのは、高校2年生の時。それまで自分の血液型を知らず、ある時母親に「献血に行ったら無料で検査して血液型教えてくれるで」と言われたので、16歳になるまで楽しみに待っていたのです。(当時は16歳になると200ml献血が受けられました)



それまで大きな事故や怪我のない、健康優良児だったので、病院などで一度も採血されずに生きてきました。


ドキドキしながら高校の最寄駅にある献血センターに行きました。


献血って、まず検査で軽く血を取って、検査基準をクリアしたら本採血するんですね。


血液型が分からない人のみ、検査の段階で、血液型検査キットを使って、目の前で何型か調べてくれるそうです。(当時はですが)


A型の血に反応する液体と、B型の血に反応する液体に、それぞれ一滴ずつ自分の血を落として、A型の液に反応すればA型、B型の液に反応すればB型、両方の液に反応すればAB型、どちらも反応しなければO型というわけです。反応済みのキットを見本で見せてもらいましたが、反応すると液体の中に黒いブツブツが出てくるようでした。


で、私は親の血液型から考えると、A型かO型のどちらかでした。私の中では、自分は割ときっちりした性格だし、絶対A型でしょ!と信じて生きてきました。


液体の中に血を垂らしてぐるぐる回すと、どちらの液にも反応は見られず、「あ、O型でしたね」と言われました。



O型と分かった時はかなりビックリして、すぐにメールで母親に「O型だったんですが。まじです。」と送ったのを覚えています。ちなみに返信は「いや見てたら分かるよ絶対O型と思ってた。お母さんとお姉ちゃんは部屋もクローゼットの中も綺麗やけど、くろろは部屋の見栄えは綺麗にするけどクローゼットの中身はぐちゃぐちゃやろ」でした。今思えば、母姉→A型、父私→O型という対立がそこで出来上がった気もします。


O型という血液は、A型にもB型にもなれない、何にも属せない、他人に血は分けられるが、他の血は受け入れられない、そんな血液型だと知ったのは、血液型から性格判断をする本を読んでからでした。


その後、医者の軽い問診があるのですが、ちょうどその時、アレルギー用の目薬を差していて、それが引っかかったので、そこで本採血はできずに終わってしまいました。


でも初めてそういう場所に行って、看護師さんたちもそれを知っていたので、「せっかくだし、お菓子もジュースも飲んでまったりして帰っていいよ」と言ってくれました。


テニス部の部活帰りで、汗だくのジャージにラケットケース背負ってきたので、なかなかチャレンジャーな若者と思われたと思います。「若いのに偉いね」といろんな看護師さんに言われました。


ジュースを飲んでいる時に出会ったおばあちゃんにも、「あんたえらいね。ワタシはもう300回以上献血してるけど、輸血される人はこんな若い血のほうがええやろね。今日は無理やったんか。でもまた調子整えておいでや」と言われました。


その後結局初めて本献血したのは大学生になってからなのですが、その時にも看護師さんに「若いのにえらいね」「痛いけど頑張ってね」「基準値よりもだいぶ濃いなぁ良い血やなぁ」などと言われ、腕の痛みを感じながらも、自分が人の役に立っている、自分が生きているだけでこんなに認められて褒められることってあるんだと、感激した覚えがあります。


それから献血が趣味になりました。献血を受ける上で様々な制限があり血の基準値もあるので、行っても受けられない日もありましたが、それを抜いても30回弱は献血しています。


高校の旧友と3人で献血部なるものを立ち上げて、大学時代に遊びの代わりに活動したりもしてました。LINEの誘い文句は「元気?そろそろ血抜いとく?」でした。


400ml全血も成分献血もしましたが、400mlの方が15分程度で終わるし、抜かれたー!という気分になれるし、血を抜くと身体がリセットされる気がしてクセになっていました。リスカとかはしたことないのですが、一種の自傷行為だったのかもしれませんね。



そんな大好きだった献血で血を抜く行為なのですが、最近は病院で検査のために血を抜くことに変わってしまいました。


私はこの採血が大っ嫌いです。



誰の役にも立たない、自分の薬が基準値を下回らずに効いているかどうかだけを見るためだけの作業。


双極性障害は薬無しでは上手く生きられないと世間一般には言われています。私は唯一、生きているだけで認められていた場所さえも、病気で失われてしまったのです。



だから薬を飲みたくない。一生献血していけるような健康優良児でいたいんです。軽々しく薬飲めば良くなるなんて言わないでほしいです。その薬を飲む行為が私を苦しめているのです。


いつかまた血を抜く行為で人の役に立ちたい


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