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社交を重んじない学士会館への不満

先日、[日本の会員制クラブ#2:学士会館|Can't Buy Me Fun]と題してごく中立的な紹介レポートを書いたのですが、今日はこの学士会館に対する不満を書かせて下さい。不満と言っても、現場のスタッフを非難したり、個別のサービスに文句を付けようというような下品な試みではありません。もっと深いところというか、この組織のビジョンそのものに対しての意見です。

上の記事にも書いたのですが、この組織は明らかに同窓会ではありません。少なくとも、各大学別の同窓会活動を主眼とはしていません。この組織は、異なる7つの大学の卒業生や教職員を主たる会員として、彼らの交流を目的とする純然たる社交クラブなのです。なのに、ちっとも社交が重視されていません。

それが証拠に、どんなイベントに参加しても、主賓の話が終われば即解散です。将棋なら将棋、野球なら野球、政治なら政治と、その日のテーマに知的関心のある、似たような性向の会員たちがせっかく集まっているのに、です。時間の無駄、機会の損失という点で、もったいないこと、この上ないです。

また通常、どの社交クラブにも相互利用可能な(reciprocal)他のクラブとの提携関係があります。国内に限らず、海外も、です。例えば以前の記事「日本の会員制クラブ#1:神戸倶楽部|Can't Buy Me Fun」で紹介した神戸倶楽部も、国内外に多くの提携クラブを持っています。けれど、学士会館にはそれが一つもありません。一か所も、です。この事実だけでも、学士会館は社交クラブとしての国際基準には合致しません。努力が足りないし、そもそもそうした外へ向かう意識、ビジョンが欠けているのです。

学士会の会報

その一方で、写真のような会報が数か月に一度送られて来ます。政治、経済、科学、文化など、著名な大学教授らによる記事はどれも充実しているのですが、正直、私はいりません。中央公論や文芸春秋など、似たような雑誌はマーケットに一杯あるじゃありませんか。難しい理系の話はそもそもちんぷんかんぷんですし。学士会館よ、お前は出版社か、と聞きたくなります。

要はこの団体、幹部連中が各大学の学長経験者らのいわば天下りなので、経験上、彼らの最も良く知る組織、つまり学会か何やら協会とかと勘違いしてるんですよね。学士会館が学会なわけないでしょう。こんな会報作りに割くエネルギーがあるんだったら、もっと会員同士の交流=社交に目を向けましょうよ。目指すのは一流の会員が集う一流のプライベート・クラブなんですから。

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