会員制クラブが日本で余り知られていない理由
日本にもそこそこの数の会員制クラブがあるのに、そしてその歴史は結構古いのに、実態が余り知られていないのは、おそらく三つの理由があるように思います。
1)エクスクルーシブ(排他的)という本質を持つ会員制クラブの性格上、一般大衆への周知広報活動は極めて限定的で、結果としてクラブの存在そのものが余り大っぴらにならない
2)クラブの会員自身も、他人には余りそれをひけらかさない→但し、この人ならクラブに入れても良いと思うような一定レベルの人たちだけには事実を告知するが、そうした人がクラブに入った後はやはり同じように口を噤む、その繰り返し
3)会員制クラブに関する日本語の書籍がない(おそらく英語でもない)
おそらくそんな感じでしょう。個人のブログなどでごくたまに「某高級会員制クラブに行って来ました!」的な記事を見かけることがありますが、その大半は会員本人にお呼ばれした、連れてって貰った、ラッキー!・・・みたいな一過性の体験談ばかりです。毎度のことながら、期待して読むと内容の薄さにがっかりします。
少ない、というかほぼ皆無と言って良い会員制クラブ関連書籍の中で、唯一の例外が上の写真の『欧米クラブ社会』(木下玲子著)という本です。新潮社が発行するForesightという論壇誌で1990年代に連載していたものをまとめたものです。ただその内容は、ダボス会議とかナショナル・ギャラリーとか何とか委員会とか、確かにある種のクラブなのかもしれませんが、少なくとも私が理解する会員制クラブ、プライベートクラブではないので、目次を見るだけで結構がっかりしたりします。
そんな中で、第一章で扱われているバーニングツリーカントリークラブだけは本物の高級会員制クラブです。立地が首都ワシントンDCの郊外なので、会員には歴代の大統領や閣僚など、大物が名を連ねます。上のサイトを実際にご覧頂ければわかる通り、どうすれば会員になれるかについては全く何も書かれていません。おそらく現会員による紹介制を採用しているのでしょう。ただ一つ、女性には入会資格のないことだけははっきりしています。古(いにしえ)のgentlemen's clubの伝統の色濃い、そして庶民には絶対手の届かない、これぞ会員制クラブという存在です。