「指名検索×ヒット商品を分析する」〜おにぎり篇〜
この度、ヒットしている商品やトレンドをノバセルならではの視点で語るコラム「ノバセル式 インサイトの見つけ方」を開始することになりました。執筆を担当させていただきます、ノバセルの戦略プランナー青山碧花《あおやまみか》です。
先日、OMO5東京大塚 by 星野リゾートに宿泊しました。星野リゾートを中心に大塚駅全体で、周辺のお店をも巻き込み活性化を図っていて、その中に気になるお店がありました。「おにぎりぼんご」創業60年のおにぎり屋さんなのですが、めちゃくちゃ並んでいて。調べてみたら、開店の2時間前から並ぶ人がいるくらいの行列店。スイーツでも、ラーメンでもなく、“シンプルでスタンダードな老舗のおにぎり”屋さんに、なぜそんなに行列が出来ているのか?
◆「“おにぎり”のヒット分析」
ということで、第二回は「おにぎり」を題材に分析していきます。
「検索が右肩上がりで伸び続けている“おにぎり”」
ここ数年でおにぎり専門店が増えていて、“タピオカ”、“高級食パン”の次は、“おにぎり”じゃないか?というほどのブームが巻き起こっているらしい。Googleトレンドの数値を見るとわかりやすく、おにぎりの検索が伸びている。
「“おにぎり”の検索を牽引している店」
共起ワード検索で見ると、専門店では「ぼんご」がその検索を牽引している。
さらに、「おにぎり ぼんご」で検索した人が、事前・同時・事後でどんな検索をしているのか紐解いていく。
同時検索以外ではおにぎりではない店も多く、事前検索にはかき氷専門店「ひみつ堂」、事後検索には天丼専門店「金子半之助 店舗」、老舗町中華料理店「四つ角飯店立川」、生ドーナツ専門店「アイムドーナツ 店舗」など、最近話題の気になる“行列店”を検索している。ここからも「おにぎり」が定番の主食から、流行グルメになっていることがわかる。
「”おにぎり”の流行を後押しするもう一つのブーム」
「ダイエット中だから、炭水化物食べないようにしている」という人が結構多い印象もあり、「炭水化物抜きダイエット」の検索ボリュームを調べてみた。
2014年~2015年に盛り上がりを見せた「炭水化物抜きダイエット」だったが、現在はかなり検索が落ち着いており、その代わり急激に検索を伸ばしているのが「グルテンフリー」と「ヴィーガン」。グルテンフリーとは、小麦などに含まれるグルテンを摂取しない食事や食品のこと(※1)。ヴィーガンとは、動物性の食品や動物由来の製品を使用しないライフスタイルを実践する人々のこと指す言葉(※2)。ちなみに「グルテンフリー」や「ヴィーガン」と同じ時期に盛り上がってきたキーワードが「低糖質」。しかし、「低糖質」はここ数年で検索ボリュームが落ちてきている。
※1 https://vegewel.com/ja/style/glutenfree
※2 https://green-note.life/4634/
「グルテンフリー」や「ヴィーガン」もは、Instagramの検索でもかなりの盛り上がりを見せている。
「グルテンフリー」「ヴィーガン」の考え方を取り入れている人でも、食べることができるのが、「おにぎり」。「グルテンフリーパン」「ヴィーガン対応麺」などの商品も増えているが、「グルテンフリー」「ヴィーガン」のルールの中でも、「おにぎり」であれば、比較的多い選択肢の中から好きなものを選んで、お腹いっぱい食べることが出来る。「行列グルメ」としてのおにぎりブームもあるが、このように、食生活の多様化にも対応しているのがおにぎりなのである。それこそ「高級食パン」「バナナジュース」も同じロジックで、永久不変の「定番商品」に、「世の中のトレンド」を掛け合わせてブームが誕生している。
◆「“おにぎり”の次のブームを予想」
「おにぎりぼんご」の事後検索で多いのが、「どらやき」「ごま大福」「たい焼き」など、あんこ系の和菓子が多い。和菓子の検索もジワジワ上がってきている。
先ほどの「グルテンフリー」「ヴィーガン」のブームが続くとなると、小麦粉を使用せず、米粉を使用した、「大福」に突然火が付く可能性が高い。
「“おにぎり”の次のブームに来るのは、“大福”なのでは?」
フルーツが入っていたりクリームが入ってるフォトジェニックなものではなく、コンビニエンスストア各社でも、定番商品としてずっと置いてあるシンプルな豆大福が来るのではないかと思っている。「フルーツ大福」のブームも記憶に新しいが、やはり定番の「大福」の検索ボリュームに比べると、検索数が少ない。
ちなみに、昭和レトロブームの流れなのか、「喫茶店」の検索も伸びている。これを考えても、あえての”古き良き”が再注目されるトレンドもある。
ちなみに、あの有名メジャーリーガーも、YouTubeの登録者数が約200万人いる女優さんも「グルテンフリー食生活」をしているらしい。たとえば、今売っている「大福」のパッケージに、「グルテンフリー対応」「ヴィーガン対応」のシールを貼るだけで、突然の爆売れもあるかもしれない。
◆「最後に…」
このように、“日常のふとした気づき”をフックに、「検索データ」から心の流れを読み解き、インサイトフルなマーケティング戦略を作るのが得意です。ぜひ「検索データ」も分析して欲しい。新しい切り口のマーケティング戦略を考えて欲しい。など新規のご依頼も随時受けております。
「ノバセル」までお問合せください。
執筆:青山碧花(あおやまみか)