フットバレー初
短編小説シリーズ 『Joga!』 始動!
第1話|運命の出会い
高校を卒業したイッサは、プロサッカー選手の夢を諦めたばかりだった。
心の奥では未だにサッカーへの情熱が燃えていたが、未来への不安が彼の心を支配していた。
そんなある日、彼はかつて東洋一美しいと称されたビーチで思い悩んでいた。
波の音を聞きながら、イッサはふと目を閉じた。ロナウヂーニョの華麗なプレーが頭に浮かぶ。
彼がサッカーを始めたきっかけは、ロナウヂーニョのプレーを見た瞬間だった。その輝く笑顔と優雅な動きに憧れた彼は、いつしかプロになりたいと思うようになった。
しかし、夢は叶わなかった。
「どうしてこんなことになったんだろう…」
と独り言を呟く。
そんな時、ビーチの向こうから楽しそうな声が聞こえてきた。何人かの若者たちがフットバレーを楽しんでいる姿が目に入った。
興味を惹かれたイッサは、しばらくその光景を眺めていた。
「何をやってるんだ、イッサ?」
彼の目の前に現れたのは、サワキだった。彼はブラジルからフットバレーを日本に持ち帰った人物だ。
「サッカーのことを考えてた。どうしても、もう一度ボールを蹴りたい気分なんだ」とイッサは少し沈んだ声で答えた。