【前編】体験・没入型のゲーム「マーダーミステリー」を見て楽しむ、とは。
▼はじめに
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▼見て楽しむマーダーミステリー?
さて、物語体験型・ユーザー参加型の推理ゲーム「マーダーミステリー」ですが、その楽しさ・面白さの本質は、ユーザーとしてとあるキャラクターになって、探索・会話・推理・投票などの行動を通じて、その時一度限りの物語を“主観的”に体験することにあります。
その一方で、誰かがマーダーミステリーを体験をしているところを、動画配信などを通じて、鑑賞するという楽しみ方があります。これは近年絶大な支持・人気を得ている、「ゲーム実況」と同様な楽しみ方と言えると思います。ゲーム実況で言えばプレイヤー=配信者の、マーダーミステリーでいえばプレイヤーが担当するキャラクターの発言や、プレイヤー同士・キャラクター同士の会話、特にマーダーミステリーでは意外な情報に驚いたり、証拠を突き付けられて慌てたり、平気で嘘をついたり、そんな日常とは違った表情が見れることが主な楽しみとなっていると思われます。タレントやアイドルなどが、人狼ゲームをプレイする動画が定番的にありますが、ある種そこにマーダーミステリーが加わった状況だと思っています。
▼三代目J SOUL BROTHERS×マーダーミステリー
まさにこの原稿を執筆している前後で、『三代目J SOUL BROTHERS マーダーミステリー ライブリハ殺人事件』という番組が、ABEMA TVにて配信されています。三代目J SOUL BROTHERSの名前すら聞いたことがない、という人はほとんどいないと思いますが、念のため補足説明をさせてください。
三代目 J SOUL BROTHERS、正式には三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEは、リーダーを務めるEXILE NAOTO・小林直己・ELLY・山下健二郎・岩田剛典の5名のパフォーマーと、今市隆二・登坂広臣の2名のボーカルからなる、7人組のダンス&ヴォーカルグループ。2010年にメジャーデビューし、2014年には「R.Y.U.S.E.I.」、翌2015年には「Unfair World」で2年連続でレコード大賞を獲得。2019年に開催された三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2019 “RAISE THE FLAG”では125万人を動員し、1ツアーにおけるグループ史上最多動員数を記録しています。
この記事を書こうと思ったきっかけにもなったのが、この三代目J SOUL BROTHERSによるマーダーミステリーの企画で、約2年前にいわゆる中国型のマーダーミステリーが国内に持ち込まれて以来、恐らくマーダーミステリーが組んだ?相手としては最大規模・認知度の存在だと思います。もちろん、その客層が大きく異なっていることも事実です。
『三代目J SOUL BROTHERS マーダーミステリー ライブリハ殺人事件』ですが、ABEMA TVで2021年8月21日(土)、22日(日)、そして週をまたいで28日(土)、29日(日)の4日間、23時~30分弱の番組が生配信されるというもの。その後1週間はアーカイブを視聴可能。ただし、8月22日(土)に配信された#1に関しては、YouTubeでも視聴可能なようです。
さて、『三代目J SOUL BROTHERS マーダーミステリー ライブリハ殺人事件』には特徴がいくつかあります。
▽本人役で参加していること
ゲームを体験するプレイヤー=物語内のキャラクターとしていて、演じる側も、見る側も分かりやすくなっていました。
▽調査と密談がセットになっていること
カードを引いて情報を得る調査と、限られた人とだけ会話をする密談を一体化して、構成をよりシンプルにしていました。
▽4日間に渡って配信していること
三代目のファンにとっても馴染みがない企画であるだろうことから、見やすいスケジュールである土日の夜を2週にわたって計4回放送タイミングを分けつつ、YouTubeで#1のみ配信するなどして、後から視聴・参加出来るようにしていました。また、配信されるごとに友達と考察出来るタイミングが生まれているとも思います。
まだ番組が完結していないので、最終的な感想を書くことは出来ませんが、恐らくマーダーミステリー未経験であろうメンバーが、手探りながら次第にどういう面白さがあるゲームなのか、気がついていくところの好感を感じたのと、僕は彼らのパーソナリティに関しては詳しくないですが、パフォーマーの岩田剛典さんが恐らく特に頭のいい方だと思われ、プレイングに魅かれながら#2までを見ました。
▼見て楽しむマーダーミステリーのちょっとした歴史
この記事を書くにあたって、明確にマーダーミステリーを体験している動画が上げられたのはいつだろう、とひとまずYouTubeを調べてみたのですが、2020年春くらいまでしか遡れず、辿りつくことが出来ませんでした。どなたか、検索の仕方かこの動画が恐らく日本初だよ、というものが分かる方がいたら、是非ご教授ください。
あまくで私見ですが、見て楽しむマーダーミステリーとして、マーダーミステリーを体験しているところを人に見せるものとして作られたものの最初は恐らく動画だと思っていて(テレビドラマや演劇公演などではなく)、時期は2019年末くらいなのではないかと思っています。ただ、2019年内の動画が見つけられなかったので、あくまで推測になっています。そして、個人でアップしたようなものではなく、何かしらのプランを持って発表された企画は、こちらになると思います。
▼マーダーミステリー・ザ・ライブ
マーダーミステリー・ザ・V
「マーダーミステリー・ザ・ライブ」は、ドワンゴとマーダーミステリー専門店・Rabbitholeがタッグを組んで制作し、ニコニコ生放送で配信されている番組です。第一回の配信は、維新奇談『四つの眼窩』というタイトルで、小野賢章さん、上尾晉一郎さん、藤田咲さんら人気声優が出演するということと、恐らく初めて個人の配信ではなくメディアとしてマーダーミステリーを取り上げた番組として、話題になりました。諸々の事情があり、これまでの「マーダーミステリー・ザ・ライブ」のシリーズの中で、唯一いまでは見ることが出来ないのが残念です。
現在、Rabbitholeで店舗・オンラインの両方で公演している作品ですが、配信当時はマーダーミステリーを楽しんでいる人たちはネタバレを恐れて見ていない方が多いと思います。また、その後も基本的に配信のためにシナリオが書き下ろされて初出となり、その後追ってRabbitholeで店舗公演がスタート、という流れが定番になっているため、タイムシフトなどで後から見ることが出来るものの、視聴して楽しむ人と、体験して楽しむ人と、層が大きく分かれている印象があります。もちろん、それが悪いということではなく、ゲーム実況しかりで、真ん中にゲームやマーダーミステリーというものがあり、それをそれぞれ好きな方法で楽しんでいる、と捉えています。
その後シリーズ化され、ニコニコ超会議では「超マーダーミステリー・ザ・ライブ」と銘うたわれていたり、大人気女性Vtuberグループ「ホロライブ」に所属のVtuberをプレイヤーとして迎えた「ホロライブミステリー劇場/マーダーミステリー・ザ・V」というものがあったり、枝分かれしながらもトータル7作が配信されています。
2020年3月19日配信
マーダーミステリー・ザ・ライブ #1『四つの眼窩』
2020年9月12日配信
マーダーミステリー・ザ・ライブ #2『V Tuberは人を殺す夢を見るか』
2020年12月26日配信
マーダーミステリー・ザ・ライブ #3『双極星スクランブル』~星のウタは喧騒に消ゆ~
2021年3月13日配信
超マーダー・ミステリー・ザ・ライブ #4 維新奇談『京都炎上』-陽炎編-
2021年5月1日配信
超マーダーミステリー・ザ・ライブ #5 維新奇談『京都炎上』-狂炎編-
2021年3月20日配信
ホロライブミステリー劇場 #1『女登呂温泉・湯けむり殺人事件』
2021年8月27日配信
ホロライブミステリー劇場 #2『呪説 堕トシモノ』
マーダーミステリー・ザ・ライブは、スタートこそ声優さんたちが出演していましたが、#2以降はマーダーミステリーの人気作品「LYCAN」の作者でもあるテラゾーさんや、人気配信・実況者のハヤシさん、むつーさんといった顔ぶれに変わりました。また、Vtuberたちが出演する別ライン「ホロライブミステリー劇場/マーダーミステリー・ザ・V」が作られたのは前述の通りです。僕があまり詳しくなく恐縮なのですが、こちらに出演しているVtuberたちは、Twitterのフォロワーが平均60万人といった顔ぶれで、中でも2021年3月20日に配信された、ホロライブミステリー劇場 #1『女登呂温泉・湯けむり殺人事件』マーダーミステリー・ザ・Vは、総再生回数が70万回ほどになっているそうです。
またマーダーミステリーとしては、個人的には『双極星スクランブル』~星のウタは喧騒に消ゆ~』が独特のシステム(犯罪の捜査としてリアリティがあるように感じられ、ミステリー映画・ドラマなどで見慣れたものと近い体験が出来る)があることと、芸能界が舞台になっているところにシンパシーもあり、特にオススメの作品です。また、維新奇談『京都炎上』シリーズは、2作が連続ものというか、基本的に同じキャラクターを担当できる点が特徴の作品でした。
また、ニコニコ生放送、そしてサイマルでYouTubeでも同時配信されており、それらは無料で視聴可能なのですが、犯人への投票フェイズで一区切りとなり、YouTubeで視聴出来るのはそこまでとなります。またニコニコ生放送でも、その後のエンディング、そして解説や感想戦などをを見れるのは月額500円のプレミアム会員のみ、というシステムになっています。が、単価として考えると非常に安く楽しめるといっていいのではないでしょうか。
そして、上記の70万回再生を超える、恐らく見て楽しむマーダーミステリーの企画の中で、国内でこれまでに最も多く見られたもの、少なくとも配信番組に限っては最も多く視聴されたものとして、下記のようなものがあります。
(知っている方も多いと思いますが、YouTuberグループ・東海オンエアによる、既に削除されているマーダーミステリー「九頭竜館の殺人」のプレイ動画は除いています)
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