自分の能力(?)

少し前、いとこからある写真が送られてきた。

私が大好きなアイドルグループV6のデビューシングル「MUSIC FOR THE PEOPLE」の宣伝ポスターの写真だ。

偶然入ったゲームセンターに飾られていたという。他にも今昔多数のアーティストのポスターが貼られてあったらしい。

いとこが「どこで古いポスターを入手するんだろうね」と疑問を投げかけてきたので、私もそれに同意した。

それに続けてメッセージを送った。次のようなものである。

「どこかの音楽業界で働いていて、ポスターとかも入手できる、と言うか余らせている人がいる。その人はレトロゲームや祭りでの屋台のゲームなどが好きだから、趣味でそのゲームセンターを運営しているんじゃない?本業の方でもらったポスターは家にあっても邪魔だから、ゲームセンターの壁に貼っていると。家も片付くし、きたお客さんも(私のような特殊な客とか)が喜ぶしいいことづくめだよね。」

とかなんとか、こんな感じのことを返信したのだ。

すると相手からは「え、待って、全部想定?強すぎる笑」と返事があったのだ。

ぱっと思いついた、現実かどうかもわからない、ただテキトーに思いついただけの作り話をしたら、驚かれた上に強すぎるとコメントをいただいたわけだ。

ここで「強すぎる」に関して深く掘り下げていく。

最近の若者たちの間ではぽたりと当てはまる語を思考することなく、広い意味で解釈できるような言葉を積極的に使う傾向があると思っている。

かく言う私も使用する。ただ最近は気をつけて語を探すようにはしている。

ここで言う「強すぎる」に相当する語を見つけたいと思う。

私の作り話に驚いた上で、こう発言している。

・短期間で作り話を作れることに驚きを隠せない。
・その作り話を人に披露しようと思ったことが、私には恥ずかしくて出来ないだろう。
・作り話を作れる能力に対して才能があると思っている。
・作り話の内容がぶっ飛んでいて面白い。
・自分の能力と私の能力を比較して、私の方が強い能力を持っていると感じた。
・類稀なる才能を持っている。
・際立った内容であることに感心した。
・内容の品質が良い。
・激しく感情を揺さぶられた(?)
・作り話をでっち上げるという能力が高い。感心した。
・気が触れたのではないかと案じている。

といったところだろうか?

どちらにしろ、ゲームセンターに古いポスターがあったと言うだけの事実に対して、オーナーである人物について考えた話を作った、というところに彼女は驚いたのではないかと考えている。

最近の言葉は、深く考えずに使えるので便利である一方、ぴたりとハマる言葉を探すのに少々時間がかかる。

少々どころではない結構時間がかかる。便利な言葉を使いすぎて脳が麻痺しているのかもしれない。

意識して言葉を探すよう気をつけなければならないと思う。


当初考えていた話の流れから脱線してしまったが、考えていたことも記しておこう。

作り話をでっち上げたことに関して驚かれた、という事実は私も驚いた。

テキトーな思いつきを述べただけだったからである。

本業で生活していけるだけの稼ぎはあるのに、あるからこそ(?)趣味でやっている店も繁盛させられて、副業も軌道に乗ってる人生なんて夢があるよなあ、と思っただけなのである。

全ては作り話にすぎないが。

何が言いたいのかというと、そうやって勝手に人の人生を想像することは、私にとって普通のことであるということだ。

でも彼女にとっては普通ではなかった。だから驚いていたのである。

「自分にとって普通だと思っていることは、他人にとっては普通じゃない」ということを、まさに実感した瞬間だったのだ。

特になんの取り柄もない、できることも特にない、と思っていた私が、初めて実感できた「自分の普通、他人は違う」ということであった。

昔からなんでもできて眩しかった憧れの彼女だが、私にも彼女より少しだけでも優れているところはあるんだ、と思えて、少し自信につながった。という話である。

本当に昔からなんでもできて、容姿も優れていて、1つしか変わらないのに私よりなんでもできる完璧な人、一生敵うはずがないと思い込んでいたので、まさに一縷の兆しが見えた瞬間でもあった。

なんでもないようなことに思えるかもしれないが、コンプレックスでしかなかった彼女に対しての気持ちが少し軽くなったのだ。私の人生において間違いなく、今後を生きやすくする出来事だったと言えるだろう。

他人には普通じゃないということは自分の武器になるということ。

その武器を磨いていけば、私もいつか強くなれるのではないだろうか。


与えられた事実に関して、その裏側にあるストーリーを考えることは、私の、これからの人生を踏み出す一歩に、準備しておける武器に、良い影響を与えるだろう。

磨いて、使って、鍛錬して、きっと私の強い味方となる武器になるだろう。

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