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重複した物語ーイノセンスー

概要

原作:士郎正宗
監督:押井守
制作:プロダクション I .G
製作協力:スタジオジブリ(1)

あらすじ

 イノセンス それは、いのち
 映画「イノセンス」の舞台は、人々が電脳化され、声を出さずとも、コンピューター端末を打たなくとも、ネットワークを通じたデジタルコミュニケーションが可能になる一方、肉体の機械化も進み、人とサイボーグ、ロボットが共存する、2032年の世界。魂が希薄になった時代。決してそう遠くない近未来を舞台に物語の幕が開く。
 主人公は、続発するテロ犯罪を取り締まる政府直属の機関・公安9課の刑事バトー。バトーは生きた人形(サイボーグ)である。腕も脚も、その身体のすべてが造り物。残されているのはわずかな脳と、一人の女性、素子(もとこ)の記憶だけ。
 ある日、少女型のロボットが暴走を起こし、所有者を惨殺する事件が発生。「人間のために作られたはずのロボットがなぜ、人間を襲ったのか」。さっそくバトーは、相棒のトグサと共に捜査に向かう。電脳ネットワークを駆使して、自分の「脳」を攻撃する“謎のハッカー”の妨害に苦しみながら、バトーは事件の真相に近づいていく。(2)

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特徴

 背景や機械、一部人物などが主にCGで出来ており、写実的な人物描写と合わせて神秘的な雰囲気を持つ作品である。前作の『攻殻機動隊』のSF的要素が別の側面を見せた事で広がりを見せながら、女性の登場人物が殆ど出ないハードボイルドな作品となっている。作品の舞台が前作より中国的であり、オレンジの色彩も似合ったものになっている。


良かった点

 前作と同じく、背景や音楽、色彩は一級品となっており映画としての映像美が保たれている。脚本は引用が多くそこにこの作品のテーマとなる心身二元論が合わさり、前作は神話的だったが今作は説教的側面が強い。やはり作品としての独自性があり、そこを楽しむことができる。


悪かった点
 

 人物描写が足りてなく、登場人物の台詞が引用が多く占めているせいで心理描写、説明不足な点が多々ある。そして登場人物全体の喋りがぼそぼそとしているせいで何を言っているのか分からないところも多々ある。そしてテーマが前作と重複しているので全体としての締まりがなくなってしまいぼんやりとした中身の無い印象だけの作品になっている。


まとめ

 この独特の雰囲気を楽しむ分には良いが、作品としての完成度は前作に劣り、この作品自体が前作の残り滓となっている感が否めない。押井守氏の作品を楽しむのならやはり前作『攻殻機動隊』を見、そのファンディスクとして今作を楽し分に良いだろうがそれ以上の価値はない。


(注)


(1)https://www.movieplus.jp/lineup/detail/?film_id=CS-0000000200804419-000から画像転載
(2)https://www.production-ig.co.jp/works/innosence/から引用
(3)https://www.production-ig.co.jp/hotnews/2018/031302.htmlから画像転載


リンク

制作アニメーションスタジオ当該商品ページ

https://www.production-ig.co.jp/works/innosence/

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