水木しげるの戦争-漫画で読む「戦争と日本」ー敗走記ーー
著:水木しげる
出版:株式会社リイド社(1)
「ただいまより 祖国に向かって決別の礼をする 全員 右向けーっ 右」
太平洋戦争従軍者である水木しげるが記したニッポンの姿。
敗走記、セント・ジョージ岬、白い旗、沖縄に散る-ひめゆり部隊哀歌-、姑娘、グリーン島脱出記 KANDERE、レーモン河畔、ダンピール海峡、ごきぶり、地獄と天国、戦争と日本、全11作品を収録。
嬉しい大判で蘇る水木マンガ。(2)
(3)
『敗走記』
水木しげる氏の実体験を基にしたと思われる短編。敵の攻撃からどうやって逃げ延びたのか。
『セント・ジョージ岬—総員玉砕せよ—』
玉砕命令から戦場の状況により転進をした部隊の最後。
『白い旗』
硫黄島に残った海軍部隊、玉砕から負傷し生き残った者達の為に振る白旗。
『沖縄に散る—ひめゆり部隊哀歌—』
徴兵された兄とひめゆりに入った妹の奇妙な運命。
『姑娘』
部隊が辿り着いた町には若い女の気配がした。女と男の物語。
『グリーン島脱出記 KANDERA』
ある部隊があった原住民の町。そこでの取引を重ねて信頼関係を築いていたかに思われたが実際は敵軍のスパイだった。その原住民の娘と交際していた軍人は部隊を守るために結婚する。
『レーモン河畔』
ラバウルに住んでいるホセ一家の所にオーストラリア軍が駐留することになったがそこに日本が進軍しているとのことであった。
『ダンピール海峡』
この軍旗を手放すことなかれ。その言葉に取りつかれた男の妄執。
『ごきぶり』
名パイロットだった男、大戦後に刑務所に送られ処刑されることになった。ごきぶりの様に逃げ回る男の一生。
『地獄と天国 前編』『地獄と天国 後編』
水木しげる氏の実体験をもとに南方から本土に戻るまでのマンガ。『敗走記』とは別の視点からの話で二度楽しめる。
『戦争と日本』
ねずみ男が教える、いかにして我々は戦争に参加したのか。
南方から帰った水木しげる氏による戦争についての漫画である。ご都合主義のお涙頂戴の話も多々あるが水木しげる氏の作品の魅力はそこではなく、人の下種さや自分勝手さ、捨てられない善性に藻搔く描写である。そこを楽しめる人はお勧めである。
戦争の話は敏感に感じる人もおり、水木しげる氏の戦争観に対して意見がある人もいる。だがそれを内包しても漫画としての面白さを評価する必要性はある。それをご理解して戦争文学を読んでほしい。
(註)
(1)amazonの商品ページより転載
(2)トーチ当該商品ページより引用
(3)amazonの商品ページより転載
トーチ当該商品ページ
http://to-ti.in/product/senso_nippon
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