三悪の活躍を見よ!—タイムボカン—
≪概要≫
原作:タツノコプロ企画室
企画:鳥海尽三、柳川 茂
総監督:笹川ひろし
制作:タツノコプロ
≪あらすじ≫
ついに完成したタイムマシン・タイムボカンの試運転で、どこかの時代へとタイムスリップした木江田博士。しかし、戻ってきたタイムボカンには博士の姿は無く、オウムのペラ助と、宇宙一高価と言われる宝石「ダイナモンド」が残されていた。博士の助手の丹平と孫娘の淳子は、タイムボカンで博士の捜索を開始。しかし、悪玉トリオのマージョ一味も、ダイナモンドを狙って丹平たちを追いかける。(1)
©タツノコプロ
≪はじめに≫
タイムボカンをご存じだろうか?ご存じではない人にはヤッターマンはご存じだろかと問い返すと肯定の返答をする人が増えるだろう。それほどヤッターマンは人気であるが今回はその原点でもあるタイムボカンをとり上げる。ヤッターマンを知っている人も、知らない人も是非見てほしい。原点を知ることは何も悪い事ではないのだから。
≪独自性≫
【児童向けタイムトラベルもの】
この作品は珍しく子供向けのアニメにタイムトラベル要素を組み合わせたものであるがそれによって何かSFの王道な展開があるわけではないので注意したい。飽くまで物語の展開としてタイムトラベル、タイムマシンが使われるだけである。
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【ロボットアクション】
人型のロボットではないが、彼等主人公が乗っている昆虫型ロボットが戦闘するシーンが毎回描かれる。このシーンがある事自体が特筆すべきこと(戦闘の作画の面の労力がかかる)であるがそれよりも視聴者に飽きさせない様な工夫をしているシーンに注目が集まることが多い。個人的にはそちらの飽きさせない工夫の点を楽しみにこの作品を見ていたがアクションシーンもしっかりしている断言する。
【三悪】
視聴者を飽きさせない工夫、それはテンプレートになっている勧善懲悪の展開を一種のギャグとした事である。悪役が毎度毎度主人公たちに倒される、それをギャグにすることで一種の可笑しさ滑稽さが出て、次の回でも倒されると分かっていながら一生懸命作戦を練り主人公達を倒そうとする悪役に愛着が沸き、共感する。これがシリーズ化し、度々リメイク作品が出るなど今も人気が高い理由である。悪役のこの様な活躍が描かれることで必然的に主人公側の描写が少なっていくが。
≪表現能力≫
【ロボットのデザイン】
タイムボカンのデザインがなかなかに良い。タイムボカンはロボットといより乗り物と言った方が良いがこの虫を原型にしながらも愛着のある丸みを帯び、女の子でも見られるように気持ち悪さを感じさせない様に工夫している。チョロ坊デザインは不格好であまりスマートではなくシルエットも良くはないがそれを引き換えにしてもどのタイムボカンのデザインも愛着が沸く身近なデザインで子ども向けを意識したものでとても良い。
【夫婦漫才】
タイムボカンまたタイムボカンシリーズの見どころと言えばやはり小原乃梨子氏演じる女ボスと八奈見乗児氏演じる頭脳派キャラの夫婦漫才である(この作品ではマージョとグロッキーである)。女ボスの方がボケたら頭脳派キャラがツッコミ、頭脳派キャラがボケても女ボスがツッコムと見事なコンビネーションを見せてくれる。
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≪構成力≫
【木江田博士が見つかるまで】
物語として木江田博士が見つかることで一区切りつくが木江田博士が見つかる前と後では若干話の構成が異なる。博士が見つかる前は主人公達丹平、純子、チョロ坊、ペラ助が中心になっていたが、見つかった後からは三悪が中心になっている。この主人公が中心となっている構成では目新しさは無く、尖ったところがない見応えのないものであった。
その為主人公が中心の木江田博士が見つかる前のエピソードで見るのを止めた人が多いだろうが是非木江田博士が見つかるまで見てほしい。王道展開をギャグにしたある種のナンセンスが待ち受けている(しかし4話の「へんてこ西遊記だペッチャ」は序盤の話でも後期のナンセン具合を楽しめるのでこれを見て視聴し続けるか判断してほしい)。
【主役の扱い】
前述したとおりこの作品の魅力は既存の王道展開をギャグにしたところにあるので主人公側の目線が話を進むごとに少なくなっている。それを不満に思うのも無理がない。オープニングでも主人公を中心に描写しているのだから主人公を中心に物語が動いていると思うだろう。事実物語を動かしているのは主人公組ではあるが画面を支配しているのは三悪であり後世に語り継がれているのも三悪の活躍ばかりである。今では主人公が除者で三悪が主役級の扱いになっており、シリーズとなったタイムボカンシリーズでもやはり三悪が中心的な役割になっている。当時を見ている人にとっては三悪が憎いかもしれないが今の令和の時代では三悪は憎めない存在になっている、そこに不満を持つのは無理のない話である。
【恐怖マンネリ化】
ここまで木江田博士が見つかった後が面白いと言っていたがその後期のほうでも話にピンキリがあるのは否めない。お決まりになった今週のハイライトも段段マンネリ化して新しい、退屈になっているのも否めない。タイムボカンシリーズの元祖となる今作でもこのマンネリの気配がするので後のシリーズにどの様な変化を出すのかが問題だろう
≪おわりに≫
今現在私はタイムボカンを見終わり、ヤッターマンを見ているがやはりマンネリ化していると印象が強い。三悪のドタバタもずっと同じような展開をしていると感じているのでこのままこの先のシリーズまで見られるか不安である(30話まで視聴済み)。恐らくこの次のヤッターマンの感想文は半年後くらいになっていると思うで覚悟していただきたい。
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(註)
(1)引用元
ヘッダー画像©タツノコプロ
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