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子どもの頃の見たロボットアニメのよう—プロメア—

概要

原作:TRIGGER・中島かずき
監督:今石洋之
脚本:中島かずき
キャラクターデザイン:コヤマシゲト
アニメーション制作:TRIGGER
制作:XFLAG
配給:東宝映像事業部(1)


あらすじ

 燃え上がるのは世界か、魂か―――。
 全世界の半分が焼失したその未曽有の事態の引き金となったのは、突然変異で誕生した炎を操る人種〈バーニッシュ〉の出現だった。
 あれから30年――攻撃的な一部の面々が〈マッドバーニッシュ〉を名乗り、再び世界に襲いかかる。
 対バーニッシュ用の高機動救命消防隊〈バーニングレスキュー〉の燃える火消し魂を持つ新人隊員・ガロと
 〈マッドバーニッシュ〉のリーダー・リオ。

 熱き魂がぶつかりあう、二人の戦いの結末は――。(2)

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特徴

 炎を操る人類とそれが出来ない人類との貧困の差と人種差別的な内容でありながら戦闘シーンが見ごたえがある作品。武骨なロボットデザインとシャープでデフォルメ調なキャラクターデザインのギャップで進められるテロリストとの戦いから宇宙移住そして宇宙人来訪に至る大規模な舞台の中、自分の信念の為に戦い続ける。


良い点


子供向けアニメの様な描写

 ロボットの合体シーンや必殺技の名前が画面一杯に出てくるシーン、主人公が口上を言ったりするシーンが子供向けのロボットアニメの様で何処か懐かしく泥臭い熱い展開想起させる。

戦闘

 リズミカルにキャラクターが武器を振り、敵を倒していく、そのテンポが心地よく見ていて飽きはせずこの描写に多くの資金と時間が割かれたのが伺える。スローモーションを多用せず、リズミカルに溜と素早さを上手く使いこなしている。しかしロボットや人物、背景までもCGを使っているので荒々しい筆タッチや極度デフォルメを効いた手書きの戦闘を期待している人には満足いくものではない。そしてCGアニメ特有の実写の様な滑らかな動きで素早い攻撃と除けの描写はなく、手書きアニメのでやりたいことにCGが力を貸していると考えた方が妥当である。

ギャグシーン

 王道なギャグテイスト、子供アニメを見ているような分かりやすくそして明確に落ちがついていると分かっているので後の展開に引きずることは少ない。キャラクター造形の表現に僅かな助けてとなっている。


悪い点


物語の流れ

 テロリストが氷によって捕縛されるシーンや主人公ガロのロボットの装甲が剥がれるシーン、合体ロボットによる共闘などの戦闘描写が良いので戦闘描写を先に考えて後にそのシーンに合う展開を考えたと思うほどシーンは良くできているが繋げの、次の展開による主人公の心情と決意の場面が弱い。ご都合主義展開により無理矢理物語を動かしている感が否めない。そして戦闘の溜はあるが、物語の溜はなく一本調子で進むので主人公二人の友情の描写などが薄く、これも感情移入を妨げるものとなっている。

登場人物

 主人公を含める主要な人物がその都度その都度出される真実に主人公が流され戸惑う描写でさえ感情移入が出来ず、掘り下げも未熟なまま終わってしまっている。故に熱い展開に振りきれず、消化不良である。彼らが何の為に戦うのかは口で説明されるが仕草や表情としての描写としてはない。モノローグを付けろとは言わないが話の規模を大きくする前に身近な描写に注意を向けてほしい。

暑い物語に似合わない

 話の展開やキャラクター造形(性格や内面的なもの)泥臭い熱血ものを意識していながらキャラクターデザインはシャープで泥臭さを感じない。それに加えて劇中の歌がおしゃれな洋楽風の曲になっているがこれもミスマッチになっている。ロボットデザインは武骨で機械的なもの王道なものでどっちにも振り切れていない。

声優

 登場人物の造形の浅さには声優を雇っていないのも一理ある。特に主人公のガロとリオである。他の消防団の団員やテロリストの仲間は出番が少ないがよくあるテンプレートのキャラクター(科学者、冷静、筋トレ好きから予想できる性格)と声優の演技故にどの様に考え、行動し、仲間の事を信頼しているのか表現され、感情移入が出来るがこの二人は絵だけの情報が一人歩きし声を伴っていないせいで掘り下げをできていない様に感じる。その為別々の立場であった二人が共闘するシーンは暑くもなく敵に力を借りるなんてという怒りもせず只脚本がこの展開をやりたいと納得できただけであった。


感想

初視聴のTRIGGER作品

 TRIGGERの作品は初めて見たが悪役のキャラクターや味方を裏切った爺さんや物語に直接的には関わらない消防団のメンバー、必殺技や変形などに見られる要素には好感が持てるが物語を動かす主要なキャラクターはラスボス以外には全くと言って良いほど魅力を感じない。だがこのラスボスに関しては味方だと思っていたら名誉の為に他を犠牲に出来る悪役という記号が急に付いたようなものであったが。

王道ロボットアニメ
 他のレビューなどを見ているとこれが王道ロボットアニメだと書かれるものが多かったがこの括りにも疑問がある。個人的なロボットアニメの印象はガンダムを中心にするSF戦争アニメの武器として使われるものが多いのでどちらかという哀愁もので熱血とは程遠く、熱血ロボットアニメ一般的に言われるものは80年代後半から90代出てきたあの当時特有の雰囲気全体から出たものだと産物であると考える。



(註)

(1)、(2)、(3)以下から引用、画像転載

リンク

公式サイト

本予告


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