「潮が舞い子が舞いトリビュート フィルムみたいに忘れない」内容紹介
2023年12月31日開催のコミックマーケット103にて、阿部共実『潮が舞い子が舞い』合同誌「潮が舞い子が舞いトリビュート フィルムみたいに忘れない」を頒布します。日曜日 東地区 “ノ” ブロック 33aにてお待ちしております。
内容紹介
1. 「鬼火」(絵詞) 中島通一郎 鈴木けいな
言葉づかいが荒くて、直截で、感情の制御もうまく出来ない縫部。
「車崎はちょっと性格が悪いんじゃないか」(『潮が舞い子が舞い』2巻15話)
そんな車崎に言ってしまった言葉を、自分の中で苦く反芻する彼女はいつの間にか夜の海にたどり着く……。そんな苦々しくもみずみずしさ溢れた小品です。
2. 「大人とか判ってられない」(漫画) 鈴木けいな
学校を退勤後、那智先生と摩耶先生とが餃子とビールで一杯やる話です。
3. 「クラゲの海」(小説) 今泉万砂漊
時は9月、なんとなくクラゲを見つけようと海辺にやってきた水木。しかしあいにくクラゲはおらず、ふとそこへ通りがかった百々瀬を連れて、二人は水族館へと赴く。幼なじみで、もうすっかり落ち着いているはずの二人なのに、柄じゃなさすぎる「水族館デート」を通して、どこかふよふよとクラゲのような浮遊感に包まれてしまう。そんな透明な小説です。
4. 「僕らの読書、妄想、受難」(『潮が舞い子が舞い』読書会)
『潮舞い』に心をめちゃくちゃにされた同人たちによる、読解~解釈~妄想までシームレスに繋がった読書会の様子をまとめました。『潮が舞い子が舞い』というタイトルの意味合いについてや、阿部共実クロニクルの中で本作をどう位置付けるのか、等々の本作における大きなテーマに真正面から取り組んでいます。
もちろん各々の好きなキャラクターへの愛(憎)を語ったり、作中語られなかった彼らの内面についても踏み込んだりしており、特に作中屈指のミステリアスさをほこる狐塚さんと湖港さんの内面に迫っています。
他にも、水木の彼女像や、成人後の飲み会における各キャラクターの振る舞いについて、というような妄想でしかない話もあり、ニヤニヤ出来ること間違いなしの記事となっております。
5. 「潮風は長編漫画の夢を見るか? ――阿部共実と施川ユウキと黒田硫黄の〈海〉、そして無風状態――」(批評) 石川ライカ
筆者が愛してやまない阿部共実や施川ユウキ、黒田硫黄といった作家を通して「長編漫画」とはどういうことか、「長編漫画を描く」とはどういうことかについて考察した論考です。そして三者三様の〈海〉の表象を分析し、『潮舞い』から『バーナード嬢曰く。』、『茄子』や『セクシーボイスアンドロボ』、果ては芥川龍之介や中原中也、はっぴいえんど、いしいひさいち『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』、ゲーム『MOTHER2』などにまで接続させる超アクロバティックな内容となっております。
6. 「The Breeze of Sea and Children WIHE WHISKEY 湖港の註文「ジャックダニエルロックダブル」」(コラム) ロックダブラー・卯井月
無類のウイスキー好きである筆者が、『潮舞い』3巻29話におけるバーでの湖港さんの註文に驚愕したことがきっかけで生まれたコラムです。「ジャックダニエルロックダブル」という湖港さんの註文がいかに凄まじいかを解説しています。
7. イラスト 鈴木けいな ほたる
鈴木けいな、ほたる(Twitter:@collapse_666x)の二氏によるイラストがあります。こればかりは実際見ていただかなくては仕方ないのですが、どちらも『潮舞い』への愛に満ち溢れた素晴らしいイラストとなっております。
8. 「かわいい!」(小説) 今泉万砂漊
本編8巻84話に引き続き、「かわいい」ものへの愛を語る砲と、それを聞く円と槌江を描いた、ほほえましい小品です。
9. 「この公園で」(小説) 中島通一郎
潮田豊彦をはじめとして、数々の芸術やカルチャーが好きな一万田が、お笑いで目をつけたのがコント師サスペンダーズ(古川彰悟、依藤たかゆき)だった。百々瀬と五十嵐にサスペンダーズへの愛を語る一万田の話です。
以下ページにて、全編公開中。https://note.com/nouvelle_bergman/n/n79e1598c5492
10. 「潮が舞い込む海辺の田舎町」(エッセイ) 神戸舞
『潮舞い』の舞台である神戸市舞子出身の筆者によるエッセイです。地元の方ならではの視点というか、その土地に根ざしたまなざしによって透過された言語風景には、より鮮明に、かつ切実な『潮舞い』世界の像が結ばれます。
11. 「潮が舞い子が舞い紀行」 御田胡瓜 中島通一郎
さる10月某日に『潮舞い』の地を訪ねて神戸、舞子、垂水に降り立った筆者二人による紀行文です。
12. 「風呂の日」(漫画) 長井K
本編10巻話に関連して、「湯上がりの女子の私服がみたい」という邪な欲望に突き動かされ、スパ銭「太平のゆ」に赴く剣持、弓立、刀禰を描いた漫画です。
13. 「登山に就いて」(漫画) 中島通一郎
上京した前島と狐塚が高尾山に登る話です。
14. 「大人になって」(漫画) 鈴木けいな
百々瀬とバーグマンが地元の中華屋で飲みつつ食いつつ、高校時代のことを振り返る話です。
表紙イラスト メディアカ(メディアカ研究室)
どの作品も非常に力が入っており、素晴らしい出来となっております。この阿部共実と『潮舞い』に引きずり回されたボクラの一種異常とも言うべき熱量が見事パッケージされました。同人誌「潮が舞い子が舞いトリビュート フィルムみたいに忘れない」は、A5判/136p/800円で頒布致します。それでは、当日ブースでお待ちしております。
追記
BOOTHにて通販もやっております。↓
潮が舞い子が舞いトリビュート フィルムみたいに忘れない - ヌーベルバーグマン - BOOTH