地方創生のカギは「お金に強い農家を作る」

農業界を明るく照らす「農テラス」です。

今回はお金にまつわるお話です。


最近、お金にまつわるセミナーや講座の講師を務めさせて

いただく機会が増えてきました。


具体的には農業の「財務管理」についてです。


ザ・イ・ム・・・。

難しいワードですね。


なぜ?私にこの講座の役割が回ってきたのかというと、

わかりやすいから。


なぜ、分かりやすいのかというと、

私が「財務」が苦手だから(笑)


財務やお金や計算が苦手な私ですが、

農業をやる上で欠かすことができない分野でもあります。





原価に気づいた瞬間


20代の頃はがむしゃらに農作業にあけくれていましたが

農業経営は一向に良くならず、それどころか支払いに追われる日々が続きました。


うまくいかなかった理由は27歳の時に設備投資した4800万。

全くお金のことは考えず、勢いだけで借入をしたのが「仇」となり、

お金に苦労する30代を過ごしました。


損益計算書も貸借対照表もキャッシュフローも全く知らなかった「あの頃」

農大で習ったのかもしれませんが、全く習った記憶がない(笑)


親、親戚、先輩たちなど

お金周りのことは教えてくれる人は誰一人いませんでした。

もちろん、当時の農協営農指導員も普及所の人も。


つまり、あの頃はお金の勉強をする環境がありませんでした。

いや、あまり必要がなかったのかもしれません。

なぜなら、時代はバブル景気に浮かれていて、「作れば売れる時代」だったからです。


さて、行き詰った32歳の私はここでやっとあることに気づきます。


それは「原価」

一体、ナス1本作るのに一体いくらかかっているのか?


そのころ自分で居酒屋を始めた後輩と何気に話をしていた時、


山下さん、農業は原価っていくらくらいなんすか?

って聞かれ、ハットした。


げ・ん・か?


これまで一度も考えたことがありませんでした。


後輩の実家も農家。私と同じ農家のせがれ。

ただ、農家を継がずに飲食業へ進んだ。


山下さん。農業って原価が高いから儲からないでしょう。

よくやってますね。


その点、飲食業はいいですよ。原価が低いから。

お客さんが来てくれさえすれば儲かりますからね。


なるほど、ビジネスや商売は原価が低い方が儲かるのか!


なんで、これまで気が付かなかったんだろう。


私の周りには「いいもの作ればなんとなる」信者の農家ばかり。

しかし、農業の本質は利益を出すこと。


そうだ!農業もビジネスなんだ!


目からうろこが落ちた。


農業を生産業としか見ていなかった私は「お金」のことは「無頓着」


いいもの作って「農協」や「卸売市場」に持ち込めば

納品書も請求書も発行せずとも数日後に通帳に入金されている。


生産や栽培管理に必要なタネ、肥料、農薬、その他資材も

農協や農業資材屋さんに行けばその場でお金を支払わなくとも

買うことができる。


つまり、お金のことなど考えなくとも

勝手にお金が振り込まれ、勝手にお金が引き落とされるシステム。

だからこれまで困ることはなかったのだ。


ただ、それは収入が多くて、支払いが少ない時の話。

収入よりも支払いが多くなれば

通帳残高は減っていく。


ここで、大概の農家は「騒ぎ始める」のです。


ヤバい、お金が足らない、儲からない、農業なんかやってられないと。


これが日本農業の実態だと思います。

そして私もそのど真ん中にいたのです。


この時やっと気づきました。農家が儲からないのは

「どんぶり勘定」だからということに。



原価を下げる工夫

それに気づいた私は必死に「原価」学びました。

すると、生産原価が70%を超えていることに気が付きました。

これじゃあ儲かるはずがないよね。


愕然とした私は

誰から頼まれたわけでもなく、原価を下げる努力を始めたのです。


ただ、これがめちゃくちゃ苦しかった。

なぜなら原価を下げるって「お金を使わない」ってことだから。


例えば0.02mmのポリマルチ。これは一般的には使い捨ての資材です。

ですが、私は表裏表と3年使いまわします。

更にボロボロになりかけたそのポリは除草剤を使わないでいいように

防草シートに応用しました。これで年間20万の経費が浮きました。


他にも支柱は市販のものは買いません。

近くの山に入り雌竹を切ってきて支柱として使いました。

これで30万の経費削減になりました。


もちろんトラクターやトラックは古いのを長く使います。

トラックはエアコンもない、ついにはラジオも使えない旧式。

トラクターはシバウラのトラクターを愛用し続けました。

これにより減価償却の大幅削減につながります。


私の事例は極端かもしれませんが、

読者の皆さんはまず、どこにいくらお金を使っているのかを

把握することから始めてはいかがでしょうか?


きっと、「支出に無駄が多かった」なんてことに気が付くかもしれません。


お金に強い農家が増えれば日本が変わる!

私が推奨する儲かる農家の作り方には大きく2つあります。

ひとつは高く売る。つまり「価値」を上げる方法を教えること。

これは農業経営の攻めの部分です。


もう一つは安く作る。つまり「原価」を下げる方法を教えること。

これは農業経営の守りの部分です。


経営の原理原則は攻めより守りを固めること。

つまりお金を「稼ぐ」ことより

お金が「減らない」ことが先なのです。


もし、日本の農家が「原価」に興味を持って「原価計算」を始めたら

おそらく儲かる農家が増えることでしょう。

なぜなら

原価に気づけば、人は勝手に原価を下げる努力を始めるからです。


つまり、これが「経営者の視点」であり、

農業をビジネスと捉える稼げる農家のスタンスなのです。


ここからはいつもの私の持論です。


農業が元気になれば地域は明るくなるでしょう。


地域が明るくなれば地方は活性化するでしょう。

これこそが本当の「地域創生」だと考えています。


「お金に強い農家」を作ることは、単に利益を上げるためだけではありません。

それは、農業者一人ひとりが自分のビジネスをしっかりと持ち、

経営者として自立すること。


その結果、彼らは安定した経営を続けられるようになり、

家族や後継者にも安心を与えられるでしょう。

そして、その影響は、周囲の農家や地域社会に広がり、

共に支え合い、成長していく未来を創造します。


一人ひとりの農家が力をつけ、農業が強くなれば、地域は活気を取り戻します。

地域が元気になれば、地方の若者たちも農業に誇りを持ち、

次世代を担うリーダーが育っていくでしょう。


農業を強くすることは、地域の未来を明るく照らすこと

そう、農業者が経済的にも精神的にも自立し、豊かになることで、

私たちの地域は光を取り戻すのです。


それこそが「地域創生」の本当の意味ではないでしょうか。


一人ひとりの農業者が持続可能な経営を実現し、それを支えることで、

私たちは次の世代に誇れる地域を残していくことができるのです。


この一歩一歩が、やがて大きな変化を生むと信じています。


農業界を明るく照らす農テラスは

全国1718市町村に次世代農業者(経営者の視点を持つ農家)を

輩出する人材育成を行っています。


皆さんと共に、農業を強くし、地域を明るく照らしていく未来を、

私は楽しみにしています。


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