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毎回ハズレなし「知ってるワイフ」

  主役の2人の壮絶な夫婦喧嘩の予告編を見て、見てみよか、と見始めた「知ってるワイフ」がとても面白い。面白いというのはコメディとしてでは全然なくて、ほんとうに上質なドラマになっている。そして、まだまだ面白くなりそうなのだ。

 毎回、ぐっと引き込まれるし、芝居していないように見えていた大倉くん、どうやら巧者のようだから戸惑ってしまう。私は初回の、「妻と子が横たわるベッドにあとからよじ登って寝ようとする(が妻にリビングへいけと言われる)」大倉くんの俯瞰ショットに、大いに胸を打たれた。この、若い夫婦のリアルな存在感。広瀬アリスの美貌も霞みかける生活感、よれて濁ったイケメンの悲哀、激しくぶつかり合うけど、罵り合っているようで、どこか最後の線を越えないでいるように見える夫婦喧嘩。このドラマ、このベッドのシーンで、かなり上質と見た。

 今日、いつものごとくTwitterで春馬くん語録をチェックしていたところ、

「この素晴らしい脚本を書いてくださるのは橋部敦子さん。橋部さんの描かれるセリフは登場人物が、なぜその言葉を使ったのかを想像させてくれるやり甲斐のある脚本です」(2013.12.19 月間TVガイド 「僕のいた時間」)

というのが上がってきました。橋部敦子・・・もしや・・知ってるワイフの・・・。

 やっぱりそうでした。春馬くん、君はすごいね。君の指摘は鋭い。セリフを構成している「言葉」の選び方に感じるところがあったんだね。実際、このドラマは春馬くんが体重を落とし、運動を制限し、「気持ちも落ちた」と語っていたように、かなりつらい仕事だったようではあるし、その頑張りに対して、このドラマの三浦春馬という俳優の仕事のなかでの位置付けとしては、視聴率という点でも、ドラマのなかの彼の魅力という点でも、あまり成功したとは言い難いように思う。

 「知ってるワイフ」の大倉くんは、本当に演技がうまい。平成22年の五百円玉をより分けている姿になにかとってつけたような演技らしいものは匂い立たない。本当にダメな男だけれど、罪のない小学生男子みたいな単純さと素直さが視聴者から愛される主人公になっている。いわゆるテレビドラマの登場人物的な松下洸平と良い対比になっていて、ますますくたびれたこの男にリアルさが感じられてドラマにぐいと引き込まれる。

 大倉くんは作品に恵まれているのかもしれない。まだ、「窮鼠はチーズの夢を見る」と、「知ってるワイフ」しか見てないからなんとも言えないけれど、この2作品では彼の存在感が際立つ。他の誰にも似ていないという気もする。かっこいいも、うつくしいも、好き、素敵も、どれも違う。もはや、イケメンにも見えない。ただ、とてもいいのだ。

 

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