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電球が照らす私の世界⑤(終)

今度は最初から息子に頼んだ。

もうすっかり暗くなっていたので、懐中電灯で照らしながらだったけれど、簡単に作業は終わった。カーテンを閉め、スイッチを入れる。

パチッ!

「おおぉぉぉー!」思わず声に出してしまう。なんと明るい。
そこには新世界が広がっていた。
この感謝を誰に伝えればいいのだろうか!エジソン?それとも×××電力?

自分の世界に光が降り注ぐと、何でも出来そうな気がしてくる。これは全く大袈裟ではないのだ。
さらに、隅々まで明かりが届くと、部屋が3割ほど広く見えてくる。ちょっと片付けようかと言う気にもなってくるし、随分前の読みかけの文庫本の続の続きでも読もうかという気さえ起きてくるから不思議だ。

まるで世界が変わってしまった気分だ。本当は世界ではなく、気持ちが変わったのかもしれない。
それからは、電気のスイッチを入れる度に「ありがとう」と呟いている。
すこぶる明るい、晴れやかな日々だ。
気持ちが晴れやかになると、ちょっとした心配事など、スーッと消えてしまうし、思いがけない(嬉しい)事が起きたりする。

恐怖に向き合うのは、とても勇気がいる。ひとりでは無理かもしれない。
だったら、だれかを頼ればいいだけだ。
そして、自分の目でしっかりと確認したら、そこにあるのは、自分が創り出した幻想だという事に気がつくのかも知れない。

あとは、新しい世界に感謝すればいい。

おしまい

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