岐路
はっきり言えば、
「今作が一番下手」ではなく、今までずっと下手で
過去5年間この程度の技術でよくやってこれたもんだと
呆れるくらいレベルの低い農業をやっていたのだ。
心底情けない。
でも時間は引き戻せないから、今作の残り半分は歯を食いしばって
経験を来作からの糧にしていくしかない。
萎れが激しく見るからに望みのない株を引き抜き、
普及センターに持っていき顕微鏡で株元の罹患部を見たら
お手本のようなフザリウム菌の姿がそこにあった。
ネクトリア、あるいは立枯病と呼ばれる。
根が健全に働かないので、作物体の地上部に様々な病気を呼び込み
さらに木を弱らせるので大きな減収に直結する。
薬散しても施肥を見直しても大して効果が現れないのも当然、
おおもとの根がやられているからだ。
罹患株の根元を割ってみたら、黒くボロボロに腐れていて
(意外とその先の根は白く健全に伸びている)
そこから茎に伸びる維管束が褐変している。
どの程度の割合で被害株が存在するのかは全くの未知数。
曇天明けの日射で萎れるピーマンの木を見ると
そのほとんどが病気にかかっているようにも見えるし、
日没前に萎れからやや回復した姿をみると
意外と最小限の被害で済みそうな気にもなるし
そうやって気持ちの浮き沈みを繰り返して、消耗して、
でもきっとなんとかなると自分に言い聞かせる
といことを繰り返して2週間が経った。
あと3ヶ月余り、長く厳しい戦いになりそうである。
胆力が試される。