NFTはオワコンなのか!?
NFT(非代替性トークン)は今、様々な領域でその可能性を試されています。一部では「オワコン」と揶揄されるものの、本質を見れば、これは我々の社会のインフラとなる可能性を秘めた、画期的な技術であることが分かります。今回は、NFTが人々の行動履歴をブロックチェーン上に可視化し、AI技術を用いて価値化する未来について考察します。
1. NFTはオワコンなのか?
NFT(非代替性トークン)については「オワコン」か否かという議論がしばしば行われますが、私の見解としては、これはインフラの一部となる技術であるため、"「オワコン」になることはない"と考えています。この点は、インターネットやオンライン会議ツールのような、便利であるからこそ私たちが意識せずに使っているインフラと同じです。
NFTやブロックチェーンも同様に社会に浸透し、当たり前のように使われる世界が来ると考えています。
しかし、現状のNFT市場には投機的な要素が強く、取引量や売上高に焦点が当たる傾向にあります。これは今のフェーズだけであると捉えています。
将来的には私たちのオンライン上の行動履歴がNFTのようなブロックチェーンに刻まれる世界が訪れると予想しています。
2. 行動履歴をブロックチェーン上に可視化することの意義
私たちがオンラインで買い物をする際、その行動履歴はAmazonのようなプラットフォーム内にしか残らず、情報はすべて同社に持っていかれてしまいます。しかし、もし私たちが行う一つ一つの行動をブロックチェーン上残して行ける時代が来たら、購買履歴のような行動がオープンな場で可視化されるようになるでしょう。
これが実現すれば、特定の人が良質な農産物を買っていることが可視化され、それに基づいたVIP向けの提案が可能になります。また、履歴書を書く際にも、過去の行動履歴がNFT化されていれば、その人が何をしてきたかという情報がブロックチェーン上で確認できるようになります。
3. AI技術による行動履歴の可視化と価値化
現在、AI技術を用いることでブロックチェーン上の行動履歴を可視化・言語化するプラグイン「Web3 User Activity」が存在します。
これを活用すれば、ある人が過去、ブロックチェーン上でどのような活動を行ってきたかが可視化され、それに基づいた分析が可能になります。
また、AI技術は今後、私たちの行動履歴をラベリングし、それぞれの行動がその人の特性を表す一部として機能します。
たとえば「エコ志向」、「高級志向」、「ヘルシー志向」など、様々なラベリングにより、それに基づいたサービス提供やマッチングが可能になります。
しかし、こうした全ての情報が公開される状況はプライバシーの観点からみれば課題も生じます。現在、プライバシーを保護しつつ情報を公開するためのゼロ知識証明(ZK)のような技術が研究されていますが、まだ実用化の段階ではありません。
ブロックチェーンの全体公開の原理とプライバシー保護の必要性の間には緊張関係が存在しますが、そのバランスを取る新たな技術開発が求められています。そのため、これからブロックチェーンやNFTの技術はさらに進化し、これらの課題を克服していくことが期待されます。
4. NFTを理解し、未来を見据える
現在のNFT市場はまだ初期の段階にあります。しかし、その可能性は計り知れず、それを理解し、活用法を想像し、未来を予測することが重要です。
昨年、出版した「シンNFT戦略」では、NFTが音楽業界やイベント業界、旅行業界など、異なる業界にどのような影響を与え、そしてそれらがどのように社会全体を変えていくのかについて詳しく説明しています。
ぜひ、併せてお読みいただけると幸いです。
まとめ:NFTが切り開く未来
このように、NFTとAI技術の組み合わせによって、我々の行動履歴は新たな価値を持つようになるでしょう。しかし、それと同時にプライバシーの問題も顕在化し、新たな技術開発が求められています。NFTは現在の市場とは全く異なる未来を切り開く一つの手段であり、その理解と活用が求められています。我々がNFTの真の価値を理解し、その可能性を最大限に引き出すことで、未来の社会をより良くしていくことができるでしょう。
NFTは今後の社会を理解するための一つの鍵であり、それを理解し、活用することが求められています。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。