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たった5分で専門家級?「Deep research」の威力と使い方
2024年2月3日に発表されたChatGPTの可能性をさらに広げる新機能――それが“Deep research”です。
ChatGPTが自らウェブを検索し、必要に応じてPythonや画像解析を駆使して情報を深掘り。短時間で専門家レベルのレポートをまとめ上げる姿は、まさに“未来のリサーチ”と呼ぶにふさわしい革新です。
今回は、Deep researchの概要と実際の利用事例を動画と共に、このエージェント型リサーチ機能の魅力を余すところなく紹介していきます。
Deep researchとは
「Deep research」はChatGPTで動作するエージェント型のリサーチ機能です。
これまでのChatGPTは、モデルが学習済みの知識をもとに文章生成を行う一方で、外部サイトへのアクセスや新しいデータの取得といった“オンライン検索”は得意ではありませんでした。Deep researchはこの制限を取り払うために開発され、以下のような能力を備えています。
複数ステップの自律的なウェブ検索
ユーザーが求める情報に合わせてインターネット上で検索し、新しい事実やデータを取得する過程を自律的に計画・実行します。最初の検索キーワードだけでなく、検索中に得られた結果をふまえて検索戦略を柔軟に変化させていきます。外部ツールとの連携
Pythonツールを用いた数値計算やグラフ描画、PDF・画像など様々なファイルの閲覧・分析が可能です。これにより、オンラインに存在する統計データや論文、画像リソースなどを直接取り込み、推論に活かせます。“論文風”の包括的な出力
Deep researchは単に情報を集めるだけでなく、情報の整理・要約・考察を行い、引用(出典)つきのレポートを出力できます。エージェントが人間のアナリストのように思考プロセスを辿って情報を選別・統合し、最終的に専門家レベルのレポートを提供してくれるイメージです。
主要機能と特徴
1. 自律的な検索とプランニング
Deep researchは推論モデルをベースに強化学習で鍛え上げられており、検索計画の立案から実行、結果の分析・統合に至るプロセスを一貫して担当します。例えば、
市場調査であれば、競合商品や海外のレビューサイトを巡回し、比較表や分析結果をまとめる
学術調査なら、学会や論文データベースを検索して要点を抽出し、引用や参考文献と共に整理する
といった、多段階のプロセスをモデル自身が動的に組み立てて進めます。検索中に新しいキーワードや関連情報を発見すると、自ら検索計画をアップデートしながら深掘りしていきます。
2. マルチモーダル対応と外部ツール活用
Deep researchはPythonツールを呼び出してグラフや図表を生成したり、ウェブサイト上の画像やPDFを解析したりできます。たとえば、
数値データの可視化:取得したデータをPythonでグラフ化し、画像を最終レポートに埋め込む
文書ファイルの一括分析:複数のPDFを読み込み、共通点や差異を一覧化する
など、人間が手間をかける作業を自動で行えるよう設計されています。このように言語モデルと外部ツールの連携がスムーズに行われることで、より高度な分析・ドキュメント生成が期待できます。
3. 包括的なレポート生成
Deep researchが最終的に生成する出力は、学術論文やアナリスト報告書に近い形式を想定しています。具体的には
明確な見出しと章立て
参照元URLや引用文献のリスト
図表や画像の挿入
途中の考察と結論
などを1つのドキュメントとしてまとめ上げます。これにより「どのサイトや資料を根拠に論じたのか」も明示されるため、結果の再検証や追跡が容易になります。
得意領域・活用シーン
ビジネスや市場調査
競合分析や製品比較、ターゲットユーザーのニーズ把握など
通常のウェブ検索では時間のかかるリサーチを、自動で集約・要約
学術研究・論文執筆
学会発表や論文の下調べ、参考文献の収集
必要に応じて外部ツールで統計処理や可視化も行い、結果を引用つきで整理
医療・サイエンス分野の最新情報取得
膨大な論文データベースや医学サイトをめぐり、エビデンスを集積
最新の臨床試験結果やガイドラインを探索し、要点をまとめる
複雑な計算や分析が必要なケース
不動産、市場株価データ、SNSトレンドなどの大規模データを収集し、Pythonで統計解析
可視化したグラフや図表をレポートに埋め込んで解説
一般的な情報収集
旅行プランや家電製品の比較検討など
単なるQ&A以上に詳しく調べたい場合に、Deep researchによる多角的なアプローチが可能
利用範囲と料金プラン
Deep researchは膨大な計算リソースを要するため、まずはChatGPT Proユーザー向けに提供されてます。今後、PlusやTeamプラン、そしてEnterpriseへの拡大が順次予定されています。月あたりの利用可能なクエリ数に制限はあるものの、将来的には高速化・効率化されたモデルがリリースされ、より多くのユーザーに開放される見込みです。
Proプラン:現段階で1ヶ月あたり100クエリの利用上限
Plus・Team:今後1か月程度を目途に順次公開予定
Enterprise:さらなる大容量・高信頼の要件に応える形で提供
実際の使い方と利用事例
では、ここから実際の使い方と併せて利用事例2選を紹介していきます。
ChatGPTでの使い方
ChatGPT上で「Deep research」モードを選択
特定の要件(市場調査、学術調査など)を入力して、「詳細なリサーチ」ボタンをクリックすると、Deep researchが開始されます。
![](https://assets.st-note.com/img/1738627181-FKlgdbNXBv7wkjzMqR8heDAL.png?width=1200)
リサーチに向けた要件のやりとり
検索の意図を明確にするため、Deep research側から「調べたい対象地域は?」「期間の定義は?」などの確認質問が投げかけられます。オンライン検索・外部ツールの活用
提示された要件にもとづき、Deep researchがウェブ全体を検索。新たなキーワードを見つけると検索戦略を自動で更新しながら、必要に応じてPythonツールや画像解析を行います。リアルタイムの思考プロセス表示(サイドバー等)
調査途中の「なぜこのサイトを見ているのか」「どのデータを抽出したのか」といったモデルの推論経緯がサイドバーに可視化されます。レポートの完成
最終的に、学術論文風の体裁で引用つきのレポートが出力されます。内容次第では5分程度でリサーチまとめが出力されます。
利用事例1:農業×DAOの事例調査
まずは、「農業×DAO」の最新事例を調査してみました。
結果、海外の小規模農家向け融資プロジェクトから国内のNFT活用事例までスピーディに把握できました。結果の要約がわかりやすく、初心者でもweb3たブロックチェーンの概要をすぐ理解できるのも魅力です。
6分程度で引用文献と共にアウトプットが出てくるので、実際のリサーチ時間を大幅に短縮できます。論文執筆やブログ発信、マーケティング調査など、幅広い場面で役立ちます。
利用事例2:日本国債市場の可視化事例
次に、2024年から2025年にかけての日本国債(10年債)の利回り推移を調査・可視化した事例を紹介します。
まずは日銀や財務省など公的機関のデータを収集し、金利が上昇した時期や要因を整理してもらいました。
その後、得られた数値やイベント(マイナス金利解除や追加利上げのタイミングなど)などグラフ化に必要な情報を整理してもらい、市場の動きを視覚的に把握できるよう工夫しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1738627591-5kxJdB3wMfnSrFZpiVvN4Kmz.png?width=1200)
※実際のグラフ作成には、ClaudeのArtifacts機能を活用し、テキストベースで抽出した情報を効率的にビジュアル化しています。
Deep researchを通じて膨大な情報源を整理・分析し、短時間で質の高いレポートを作成できる点は大きな利点です。
画期的なポイントと今後の展望
1. 応答速度の制約からの解放
通常の対話モデルは数秒~十数秒で回答を返すよう設計されますが、Deep researchは長時間かけてでも網羅的に調べるというコンセプトです。ユーザーからすれば、5~30分かかっても手動よりはるかに早く・包括的に調べてくれるため、知的労働の効率化に繋がります。
2. AGI(汎用人工知能)への一歩
OpenAIは、本機能のような「自律的にタスクをこなし、学習しながら自分で行動計画を組み立てる」仕組みをAGI開発の重要なマイルストーンだと捉えています。人間がオンラインリサーチを行う際の試行錯誤を機械に担わせ、さらに拡張した形で活用する道筋が開けるかもしれません。
3. 精度と信頼性の課題
Deep researchは既存のChatGPTに比べて事実誤認(いわゆる“ハルシネーション”)の頻度が低減したとはいえ、なお誤った推論や誤情報の引用が起こる可能性はゼロではありません。また、参照元サイトやPDFなどの信頼性評価が難しく、虚偽データの取り込みリスクもあります。今後の更新で、確度の高い情報のみを採用するフィルタリング機能の強化や、モデルによる「不確実性の明示」が期待されます。
4. 法的・倫理的側面
特に医療・法律・金融といった専門性の高い領域では、モデルが作成したレポートの責任の所在や、権利処理・プライバシー保護の問題が浮上しうると考えられます。これらを踏まえ、OpenAIでは利用規約や倫理ガイドラインを整備中とのことです。
まとめ
「Deep research」は、ChatGPTが従来抱えていた「新しい情報を参照・収集できない」という制限を克服し、オンライン上の膨大なデータを自律的に集めて推論を深める機能です。複数ステップの検索計画を実行し、ツール連携で情報を視覚化しながら、最終的にレポートとして提示してくれます。その可能性はビジネス調査から学術研究、日常的な商品選定まで広範にわたります。
一方で、依然として誤情報の扱いや信頼性評価などの課題が残り、開発元のOpenAIも「まだ初期段階」と位置づけています。しかし、AGIに近づく技術的基盤としては大きな進歩といえ、今後のバージョンアップやインフラ整備によって、より安全で強力なリサーチエージェントへ成長していくことが期待されます。
今後は、この技術のさらなる向上と共に、どのように人間のリサーチ作業を“拡張”し、より豊かな知的生産へ貢献していくのか――Deep researchの進化が注目されるところです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
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